学習オンライン化の今こそ見直すとき!? 子どもとの距離感とは

オンライン授業でも、子どもの目の輝きを見逃さないヒント〜高濱正伸の 毎日子育てガッツポーズ〜

花まる学習会代表の高濱正伸先生。  撮影:嶋田礼奈
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コロナウイルスと向き合いながらの子育てに不安だらけのお父さん、お母さん。大丈夫です!

「やるべきこと」に大きな違いはありません。

高濱正伸先生から、変化していく社会に対応していく、ちょっとしたコツを紹介していただきます。これからの子育てを笑顔で楽しんでいくヒントにしてください。

(「たのしい幼稚園」11月号(2020年10月1日発売)掲載)より

学びの時間を止めない!

私が主宰する「花まる学習会」では、避難訓練と名付けて、オンライン授業を併用活用しています。とにかくどんな状況下でも、未来を生きる大切な子どもの「学びの時間」だけは、ストップさせてはいけない! と思い、決断をしたのです。

これは、どんなことにでも共通することですが、問題が起きたときには常に、最悪の事態を想像し、備えておく心構えが必要です。

とにかく、子どもの発育は待ったなし。それは、就学前の子どもたちも同じです。学びとは、算数や漢字学習など、作業のような机上の学習だけではありません。

花まる学習会では子どもたちが将来「メシが食える大人」「魅力的な人」に育つことを目標としています。メシが食えるというのは、これからどんな時代に変化していっても、本質的な物事を考えられる思考力と発想力、感性、強い体を持っていることです。

それらの土台は、幼児期の「遊び」や「生活」で身につけられていくことがほとんどだといってもいいでしょう。ですから、幼児期の「今」を止めずに健全に生きていくことが大切なのです。

「無人島論」で考える

ただ、これだけ制約がかかった日々が続くと「コロナ禍では何もできない」「今までは幼稚園に行っている間に家事を片付けたり、歯医者に行ったりできたのに……」「一日中子どもが張りついていて、自分の時間が全然ない」と、口を開けば嘆きばかりになっていませんか? 

でも、恐ろしいことをいうようですが、もしかしたら、これから何年もこんな状況かもしれません。それでも文句だらけの毎日を、しかめ面で子どもと向き合って生活していくのですか? 

例えば、家族で乗っていた船が転覆をして、無人島(まあ、昔は人が住んでいて雨水がしのげる廃屋や飲料用の湧き水がある……くらいの島としましょう)に漂流したとします。そんなときに「あ~あ、前はよかった。コンビニ……便利だったなあ」と、なくなったものにばかりこだわるのではなく、「生き残っただけでもうけもん! 屋根もあるし、水もある。あとは、お父さんが食料を探してくるから安心しろ」と、前を向く気持ちが大切です。

そして、落ちついて「今、あるもの」を見つめると、まだまだいいこともある。がんばってみよう! と、パワーも沸いてきます。何より、心が安定してくるはずです。親が不満だらけで、心が不安定だと、それはそのまま、子どもにも反映してしまいます。
「『今、あるもの』を見つめると、まだまだいいこともある。」と語る、高濱正伸先生。

子どもの報酬は、ママの笑顔

みなさんそうだと思うのですが、子どもがスヤスヤと寝息を立てている顔を見ると、昼間イライラして必要以上に声を荒げてしまったり、泣く子どもを「うるさい」と思ってしまったりしたことに、心がチクっと痛む瞬間がありますよね。

そんなときは、「ああ、この子が元気でいてくれるだけでいいのよ! 子どもを持てた幸せが私の人生に輝きを与えてくれたじゃない!」 と、目の前にあるもののすばらしさを確認するようにするのです。そして次の日は笑顔で子どもをギュッとすればいい。

このコロナ禍で、私は子どもたちに「お母さんを助けてあげてね」「お母さんは、みんなが元気でいることがうれしいんだからね」と声をかけました。すると必ず「うん、わかった!」と、力強くうなずきます。

子どもたちにとって、何がうれしいことかって、それは、お母さんがニコニコしていること。みんな、お母さんの力になりたいと思っているんです。

そして、自分の存在こそが親を幸せにしている。自分には価値があるんだという自信が、子どもの自己肯定感にもつながっていきます。
ママの安定=家庭の安定=子どもの笑顔
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