「塾なしハーバード大」で話題! 廣津留真理&すみれさん親子対談

子どもが勉強を好きになるかは、親の心構え次第!

左・廣津留真理さん 右・廣津留すみれさん
一人娘の廣津留すみれさんが大分の公立高校から塾なし、留学経験なしでハーバード大学に現役合格&卒業したことで話題の母、廣津留真理さん。家庭内での学習指導経験を踏まえて編み出した「ひろつるメソッド®」は、子育て中の親たちの間で高く評価されています。

今回は、ハーバード大学、ジュリアード音楽院を経てバイオリニストとして活躍するすみれさんと共に、「勉強を好きにさせるための親の心構え」について語っていただきました。

“Show Don’t Tell”説明するな、やってみせろ

廣津留真理さん(以下、真理さん):よく日本の親は、子どもに「勉強しなさい!」と言うでしょう。私は常々「あれって英語だと何て言うんだろう?」と考えるんだけど、当てはまる言葉がないんですよ。すごく抽象的な言い方よね。

廣津留すみれさん(以下、すみれさん):「勉強」だと漠然としすぎているかな。「算数の宿題を晩御飯までに終わらせなさい」とか「ドリルの○ページを5分でやりなさい」とか、もっと具体的に言ってもらわないと、子どもも何をどうしていいのかわからない。

真理さん:以前、ハーバード大学の学生800人にアンケートを取った時に、「人間はアップデートするために勉強をする。勉強とは一生するものだ」と答えた人がいて。確かに勉強ってそういうものだなと思った。

すみれさん:本当にそうだよね。

真理さん:だから親が子どもにしてあげられることは何かと言ったら、“Love for Learning”。学ぶことが好きになるよう導いてあげることだと思う。

これをちっちゃい頃に身に着けたら、あとはもう子ども自身が勝手にやっていくから。

すみれさん:小さなうちは勉強を勉強と思わせず、遊び感覚でやるといいよね。

真理さん: “Show, don’t tell.”ですよ。説明するな、やってみせろ。

たとえば我が家の場合、私が本棚の前を通った時に1冊取り出して「昔むかしあるところに」と勝手に読み始めると、興味を持ったすみれさんが「それなあに?」と近寄って来たでしょう(笑)。

まず親が面白がって楽しんで、そこに子どもを巻き込んでしまうのがいいんですよ。「今から本を読むから聞きなさい」じゃなくてね。

親の具体性のなさは子どもに伝わる

すみれさん:あとは朝食の時間に、さり気なくおすすめの音楽を流したりもしてたよね。

真理さん:前日からCDを準備しておいて朝かけて、すみれさんが「すごくいい曲だね、私も弾きたい!」って言ったら、すかさず「あらー、こんなところに楽譜が」と楽譜を持ってくる。(笑)

すみれさん:大人もそうだけど、子どもって「やれ」と言われるとやりたくなくなるから。興味をそそるようなことを、親がゲーム感覚で仕掛けてあげるといいんじゃないかな。

真理さん:一言で「学び」といっても幅広いし、今は進路の選択肢もたくさんある。「自分は受験していい中学校に入りたいから塾へ行く」でもいいし、「スケートが大好きだから才能を伸ばして羽生くんみたいになる」でもいい。

なかには「普通の学校は合わないからフリースクールへ行きたい」「日本の学校が合わないから海外に留学したい」という子もいるかもしれない。そこで大事なのは、親が覚悟を決めることだと思うの。

すみれさん:子どもの将来を左右するのは親によるところが大きいよね。

真理さんまずは親がアンテナを働かせて、「10年後はどんな世の中になっているのか」「その時役立つのはどんな知識・技術なのか」「これを子どもに学ばせたら将来どんないいことがあるのか」を分析する。そのうえで今やるべきことをTo Doリストにして、効率よく学ばせていけばいいと思う。

それをしないで漠然と「勉強しなさーい!」と声を荒げたところで、親に具体性がないのは子どもにも伝わっちゃうから。ITなのか金融工学なのかわからないけど、何を学んだら子どもがハッピーになるのか、親が理解したうえで言わないと効果がないと思います。
娘・廣津留すみれさんは、バイオリニスト。ハーバード大学卒業後、ジュリアード音楽院を修了。2022年2月にソロCDをリリースした。

メリハリをつけることでやる気を出させよう

すみれさん:私は子どもの頃、「宿題とかドリルなんかやらなくていいよ」って言われていたっけ。(笑)

真理さん:すみれさんは真面目だから、ちゃんとやっていたけどね。算数のドリルなんて「1+1=2、3+3=6」とか同じような問題が延々と続くでしょ? あんなの1問できたらあとは同じだからやらなくていい。時間のムダですよ、人生は短いのに。

すみれさん:私は「受験」ていう言葉すら知らなかったんだよね。

真理さん:すごく楽だったでしょ? 近所の公立小学校と中学校に行って、塾も1回も行かなくて。そういう楽しい世界もあるってことですよ(笑)。

よく塾の掲示板に「○○中学合格!」とか貼られてるけど、子どもを商品みたいに扱っている気がしてなんだかなあと思うわ。学校と塾の往復だけじゃなく、他に注目すべき才能があったらそれを伸ばせばいいのに。得意なものとか。

すみれさん:力の配分は、学校の宿題50%、自分のやりたい勉強50%とかって限界を決めないで、両方を100%やるのがベストかな。誰でもそうだと思うけど、私は仕事が異常に忙しい時のほうが効率が上がります。

「時間がないからどちらか1つしかできない」じゃなく、幼い頃から時間を管理する術を身に着けておくことをおすすめしたいです。

真理さん:
タスク処理能力を磨くということね。

すみれさん:そうだね。たとえば「宿題を1時間・バイオリンの練習を1時間」みたいに、時間で区切る。大人になってからも同じで、忙しい時に1時間寝てしまったら時間をムダにしたと思っちゃうけど、それも最初から計画に組み込んで「1時間でこの書類を片づける・1時間昼寝する」といった感じで、スケジュールに入れてしまう。そうしたら罪悪感なく体を休められるし、ダラダラと仕事するより効率的だと思います。

真理さん:メリハリは大事よね。子どもも同じで、「ゲームなんかしてないで勉強しなさい!」と言ったところで言うこときかないんだから、最初からゲームをしたりマンガを読んだりする時間を計画に組み込んでおけばいい。好きなことを楽しむ息抜きの時間は、子どものイライラやストレス解消には必要なもの。

いつまでもダラダラするのはダメだけど、「○時~○時は好きなことをする時間だよ」と決めてあげれば、子どもも伸び伸び楽しめる。そうやってやる気を出させることも大切だと思います。

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いかがでしたか? 

「『勉強しなさい』って言っても、うちの子は全然勉強しない」なんて、子どものせいにしていませんでしたか?

廣津留親子を参考に、あなたも子どもを明るい未来へ、導いてあげてください。
撮影/恩田亮一 文/上田恵子 
廣津留 真理(ひろつるまり)
ディリーゴ英語教室代表/一般社団法人Summer in JAPAN代表理事/株式会社ディリーゴ代表取締役。大分県在住。早稲田大学卒業。

英語指導歴30年、褒めて育てるがモットー。子育て終了後に起業する。一人娘のすみれさんは、大分の公立高校から留学経験なしでハーバード大学に現役合格&首席卒業。彼女への家庭内での学習指導経験を踏まえて編み出した、独自の「ひろつるメソッド®」を確立する。

著書は『英語ぐんぐんニャードリル ひろつるメソッド 最短最速! ゼロから一気に中2終了』、『成功する家庭教育 最強の教科書』ほか。『音声タッチペンつき ひろつるメソッド 小学生の英語 ニャードリル』(5478円〈税込み〉/講談社)が好評発売中。

「塾なしハーバード大」のひろつるメソッド! 「小学生の英語ニャードリル」

廣津留すみれ(ひろつるすみれ)
バイオリニスト。12歳で九州交響楽団と共演、高校在学中にNY・カーネギーホールにてソロデビュー。ハーバード大学(学士課程)卒業、ジュリアード音楽院(修士課程)修了後、ニューヨークで音楽コンサルティング会社を起業する。

テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』金曜レギュラー。2022年2月にCD『メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ』をリリースした。著書は『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』ほか。