だけどちょっぴり悩ましいのは、夏休みの宿題がたっぷりあること。とりわけ小学生にとって大きな宿題は、絵と文章をかく「絵日記」です。
「絵を描くのが苦手」「どんな文をつけたらいいの?」と、今からため息をついている子どもや保護者もたくさんいらっしゃることでしょう。
そこで、7月28日刊行の『あきやまかぜさぶろうの 夏休み絵日記ドリル』の著者、あきやまかぜさぶろう先生に「絵日記を楽しく上手に描くコツ」を教えていただきました!
あきやま先生は、知育絵本・ドリルの発行部数が累計176万部を突破する知育のカリスマ。たった10分で、見違えるほど上手に絵が描けるようになるそうですよ。
お母さんの顔を一本線で描いた息子に驚く
あきやま先生:私の息子がそうでした。幼稚園に迎えにいったとき、画用紙に横に一本の線を描いた絵を見せてくれたことがありました。それが「お母さんの絵」だというのです。
「えっ、この線が顔? これは顔に見えないよ」
と息子に言ったのですが、そのとき初めて絵を描けない子どもがいるということに気がついたのです。
それで気になって、他の子はどんな絵を描いているのか見てみました。すると、上手な子のまわりで、その子が描く絵をまねて描いている子、画用紙を前に身動きもせずに描かない子、うまく描けなくて画用紙を破ってしまったりクレヨンを折ってしまう子がいて、愕然としました。楽しいはずのお絵描きが、描けない子たちにとっては嫌な時間になってしまっているのです。
ピアノでもサッカーでも水泳でも、なんでも基本を教わってからするから、できるようになるのだと思います。例えば水泳で、「好きなように泳ぎましょう」と言われても、水遊びしかできないでしょう?
それと同じで、「絵を自由に描きましょう」と言われても、描き方を習っていなければ描けないのです。絵だけは基本を習わなくても描けるはず、というのはおかしいと思いました。「個性的な絵」といっても、最初に基本を学んでから、自分でやってみるようになり、そのあとではじめて自分らしい創造ができるのに。
そこで、幼稚園の子どもたちに、まずは絵の描き方の基本と理論を教えると、ほんの10分後にはしっかりした絵を描くようになったのです。そのときの「自分にもちゃんと絵が描けた!」という子どもたちの喜びの笑顔は忘れられません。
絵を描く3つのコツは、「形と色と構図」
あきやま先生:絵の基本は、描くものの①形の取り方、②色の塗り方、③構図の取り方を知ることです。
実際にキリンやライオンの絵を描きながら見ていきましょう。
① 形の取り方のコツ
誰が見てもわかるような物の「特徴を捉えること」です。ライオンをいちばんライオンらしく見せているものは何でしょうか? たてがみですよね。ライオンなら、たてがみをつけるとライオンらしくなります。
同じようにキリンは首が長いですよね。首を長く描くだけで誰が見てもキリンだとわかるように描けます。
好きな色1色で描く、というのもいいのですが、せっかく12色入りのクレヨンや色鉛筆のセットを使うなら、明るい色、暗い色、中間の色、全部使って描いてほしいです。それぞれの色のよさがありますし、色の組み合わせによって見た方も違いますので、ぜひいろいろな色を使って、より楽しく描いてほしいです。
色を塗ったら、その上から違う色を重ねて塗ってもいいですよね。一度色を塗った上に色を重ねるとワクワクしますね。立体感と深みのある絵になります。
キリンだからと全身を黄色で塗るのはいつでもできるのですから、一度12色で塗るのを体験してもらいたいですね。
描きたいものをまん中に大きく配置しましょう。小さく描きたい! と思うなら、たくさん描いて画用紙を埋めましょう。余白があるとさみしいので、空に雲や太陽、地面に葉っぱなどを描いて余白を埋めるようにします。
絵日記は、その日一番心に残ったことに絞るのがポイント
あきやま先生:日記文には「いつ」「だれと」「どこに行った」「なにをした」「どう思った」を一言ずつ書きます。すると、その日のできごとがわかりやすくなりますね。
次に、日記文に絵をつけましょう。
絵には、その日の印象に残ったことを一つだけ取り上げて書くのがコツです。
もし家族と動物園に行ったのなら、その日見た一番心に残った動物を、スペースの中心に大きく描くのがポイント。
先ほど描いた、首の長いキリンやたてがみのあるライオンなどがあてはまります。上の方には空と太陽、手前に自分や家族を描くとみんなで見たことがわかります。余白を残さず、しっかり塗るとにぎやかな絵になりますね。
絵日記は絵を描くスペースが小さいので、色鉛筆かクーピーを使うといいでしょう。
絵を描くほど楽しい時間はない
あきやま先生:絵を描くのは、コツさえわかれば自分が描きたいものを何でも描けるようになるんだよ、と伝えたいです。絵を描くことほど楽しい時間はありませんよね。私はそう思っています。ぜひ描き方のコツをつかんで楽しく描いてくれたらうれしいです。
あきやま かぜさぶろう
画家・作家。1948年長崎県生まれ。1971年、二科展に初出展した作品が特選を受賞。1972年、二科展銀賞で連続受賞。現在は画家活動をしながら、幼稚園・保育園での絵画教室や幼児教室でも受験指導など数多くの現場で絵画指導を続けている。 『1日10分でえがじょうずにかけるほん』(講談社刊)は、シリーズ累計176万部を突破。お絵描きのコツを子どもにわかりやすく説明し体験させる「あきやまメソッド」で圧倒的な支持を得て、「児童絵画指導のカリスマ」として知られる。
画家・作家。1948年長崎県生まれ。1971年、二科展に初出展した作品が特選を受賞。1972年、二科展銀賞で連続受賞。現在は画家活動をしながら、幼稚園・保育園での絵画教室や幼児教室でも受験指導など数多くの現場で絵画指導を続けている。 『1日10分でえがじょうずにかけるほん』(講談社刊)は、シリーズ累計176万部を突破。お絵描きのコツを子どもにわかりやすく説明し体験させる「あきやまメソッド」で圧倒的な支持を得て、「児童絵画指導のカリスマ」として知られる。