人気絵画教室の「夏休みの宿題会」に子どもたちが夢中! 「絵画コンクールで賞が獲れる絵」を教えない理由
「こどもアトリエ みかづき」の親子で楽しむアート 第7回 「絵画の仕上げ3技法」
2024.08.13
幼稚園から中学生の子どもたちを対象とした少人数制の造形絵画教室「こどもアトリエ みかづき」。
この教室(アトリエ)では、のびのびと創作できる空間を子どもたちに提供し、自由で個性あふれる創作活動をサポートしています。
このアトリエで自分の感性に気づくことで、子どもたちの潜在能力が花開き、想像力という才能の実が大きく育っていくのです。
そんな「みかづき」の主宰者である、デザイナーのあじとみあつこさんが、子どもの個性を伸ばすアートワークを紹介してくれます。親子でも楽しめる独創的なアートワークを、ぜひ楽しんでみてください。
アトリエと絵画コンクール
暑い日が続きますね。子どもたちとの夏休みをいかがお過ごしですか。
小学生がいるご家庭では、子どもの宿題の出来や進み具合にハラハラしはじめるころかもしれませんね。
アトリエでは、毎年、在籍小学生の希望者を対象に“夏休みの図画工作宿題会”を開きます。
近隣の小学校から出される図工の宿題は、主にコンクール出品用の絵画作品。企業や団体が主催し公募するもので、テーマもさまざまです。子どもたちはその中から自由に選び、取り組みます。
コンクールと聞くとつい身構えてしまいそうですが、子どもたちはあまり気にしていません。
宿題会の日は、アトリエ滞在時間が長くなること、そして最終日のお楽しみに期待して、ちょっぴりワクワク気分でやってきます。
ところで、造形絵画教室の中には、受賞や合格を目標とし、そこに指導の焦点を当てた教室が多くあります。私も、構図や色づかいといった絵画の構成において“選ばれるコツ”は確かにある、と考えています。
アトリエの宿題会でも積極的にそういった指導をするべきか──。開講2年目の頃、考えた時期がありました。
きっかけは、「先生! 夏休みのあの絵で賞をもらったんだよ!!」と報告してくれた子どもの様子です。
認められると誰だってうれしい。しかも身近な所ではなく、自分から遠く離れた場所で、知らない大人に認められたのですから!
その達成感とよろこびを、私は当然わかっていたつもりでしたが……少し動揺しました。こんなにもうれしいものなのか。
でも、やはり。“選ばれるコツ”では、同じような絵が並んでしまうことは明らかです。
私のアトリエでそんな景色は見たくない、子どもたちに見せたくない、と思い直しました。
エピソード⑦ 夏休みの宿題会
そんなわけで、『こどもアトリエ みかづき~夏休みの宿題会~』といっても、普段とあまり変わらぬ様子で進んでいきます。
賞が獲れる絵を描かせるのではありません。
いつもどおり、子どもたちの表現したいものがきちんと伝わるように、より良く見えるアドバイスをします。