中高生が「小説以外に読む本」ランキング “リアルな生き方”を求める「韓国エッセイ」が人気

出版ジャーナリスト・飯田一史この本おススメ! 第14回 「中高生向け 理科・歴史・エッセイ・学習本」 (4/4) 1ページ目に戻る

出版ジャーナリスト:飯田 一史

女子編『死にたいけどトッポッキは食べたい』

●女子中高生編●
1位 『聖域』…41票
2位 『私は私のままで生きることにした』…21票
3位 『ざんねんないきもの事典』シリーズ…16票
4位 『死にたいけどトッポッキは食べたい』…13票
5位 『嫌われる勇気』…9票
6位 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』…7票(※ある年に1校のみからの大量得票)
7位 『ミッケ!』シリーズ…6票
7位 『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』…6票

こちらは票数が非常に少ないですが、それでも傾向は明確にありますね。『死にたいけどトッポッキは食べたい』は高校生編の『私は私のままで~』と同じく韓国エッセイの代表的な作品で、あまり前向きに生きられない作者が綴った内容の「生き方」本です。

『死にたいけどトッポッキは食べたい』著:ペク・セヒ/翻訳:山口ミル(光文社)
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『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』著:髙橋政史(かんき出版)

『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』は、より実利的なノート術の本ですね。「成績を上げたい」という気持ちが反映されていると言えます。

集計結果として、中高生がよく読んでいる小説以外の本は、

・理科、歴史の学習漫画や読みもの
・生き方(ちょっとひねった、または寄り添う系。当事者の経験から語るものが強い)
・勉強法、学力に関する本

にほとんど集約されてしまいます。

大人からすると「もっと社会問題に興味を持ってほしい」「大学で勉強したいと思っている専門課程にかかわる本は読まないの?」と感じるかもしれません。

ただ、そういう本は仮に読んでいたとしても、それぞれいろいろな分野のものを読んでいて、まとまりがないもの。思春期で、受験を控えている年ごろの人たちの共通の悩みやニーズを集めれば、自然とこのような結果になるのです。

30年前のヒット本は『五体不満足』

ちなみに過去の人気本はどうだったかと言うと、1990年代は、四肢がない状態で生まれてきた乙武洋匡さんが大学生になるまでの人生を綴ったエッセイ『五体不満足』が1位。

2000年代は、実の家族による壮絶な虐待からのサバイバーが書いたノンフィクション『“It”と呼ばれた子』シリーズが1位。

2010年代は、高2から塾で猛勉強して名門大学に受かった女子高生と塾の先生とのやりとりや、勉強法、周囲との人間関係の悩みを描いた『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』が1位。

ただ、時代の空気も間違いなく反映されています。例えば今の時代で、児童虐待の経験を語った本が、中高生に一番読まれるノンフィクションになるとは考えにくい。ですから、親や教師、司書世代が、若いころに感銘を受けた本を子どもにそのまま渡しても「ピンと来ない」という子がいると思います。

また、『五体不満足』や『“It”と呼ばれた子』は、ある種の社会問題を扱った本とも言えなくもないのですが、「当事者の語り」というフィルターを通したほうが、中高生には刺さりやすくなります。

第三者的に「これが問題だから知っておくべき!」という語り口よりも、「私の経験では」「自分はこう考える」「私はこうしている」と、主観を軸に語っているほうが届きやすい。

中高生側からしてもしっくりくる本はなかなか見つけにくいものですが、この記事が10代の本選びの参考になればと思います。

文/飯田一史

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飯田 一史
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飯田 一史

Ichishi Iida
出版ジャーナリスト・ライター

青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。 出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。国内外の出版産業、読書、子どもの本、マンガ、ウェブカルチャー等について取材、調査、執筆している。 JPIC読書アドバイザー養成講座講師。 電子出版制作・流通協議会 「電流協アワード」選考委員。インプレス総研『電子書籍ビジネス調査報告書』共著者。 主な著書に 『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』 『「若者の読書離れ」というウソ』 (平凡社)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ウェブ小説30年史』(講談社)ほか。 ichiiida.theletter.jp

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青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。 出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。国内外の出版産業、読書、子どもの本、マンガ、ウェブカルチャー等について取材、調査、執筆している。 JPIC読書アドバイザー養成講座講師。 電子出版制作・流通協議会 「電流協アワード」選考委員。インプレス総研『電子書籍ビジネス調査報告書』共著者。 主な著書に 『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』 『「若者の読書離れ」というウソ』 (平凡社)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ウェブ小説30年史』(講談社)ほか。 ichiiida.theletter.jp