
発達障害の特性のある子どもを育てる父親への支援【後編 父親の育児支援】〔言語聴覚士/社会福祉士〕が解説
#15 発達障害の特性のある子どもを育てる父親のサポート
2025.07.01
言語聴覚士・社会福祉士:原 哲也
(3)父親自身に発達障害の特性がある場合
発達障害の特性のある子どもの父親も発達障害の特性を持っている場合、専門職、支援者、そして母親は、その点を考慮する必要があります。
例えば、父親に自閉スペクトラム症の傾向がある場合は、
①子どもの行動の見方や関わり方を具体的に伝える
例:「子どもをちゃんと見て」ではなく、「子どもの手を離さないで」と伝える
②情報を視覚的に示す
例:生活の時間割りやおむつ替えの方法などを表や絵にして示す
③家族における父親の役割を伝える
④子育ての目標を明確にし、共通認識をもつことに努める
などです。③④は常に大事なことですが、自閉症の場合、当然わかるだろうという人の気持ちや状況の理解がないこともあるので、大事なことは改めて話をし、確認する必要があると思います。
また、父親にADHDの傾向、特に衝動性がある場合、「腰を据えてじっくり見る」ことが苦手なケースがあります。
そうすると、子どもが何かをやりとげるまで見ていることができず、結果、子どもをなかなかほめられないことになります。
そのような場合は次のことを実践するように話してみましょう。
① 子どもをほめる基準を細分化して、1つできたらすぐほめる
例:「服を最後まで着たらほめる」から、「シャツのボタンをとめたらほめる」にする
② 子どもが新しいことができたわけではなくてもほめる
例:靴をはくことはすでにできるが、靴をはいたらほめる
また、父親自身が特性のために職場などで対人関係に悩んだり、抑うつ的になっていることもあります。その場合は、必要な支援を得て父親自身のケアを行うことをまず第一に考えてください。