4歳5ヵ月から通い出した「療育」で変わったのはパパだった!〔自閉スペクトラム『リエゾン』三木先生監修〕
娘5歳の凸凹発見・成長実録記 #2 娘4歳5ヵ月ころの様子とパパの変化
2023.08.05
前回では、3歳を過ぎた娘の様子に違和感を覚え、3歳半健診(受けたのは3歳11ヵ月)の保健師相談から発達相談へとつながり、相談の結果、「意思の疎通にコツがいる」ことがわかった娘。そこで勧められたのが「療育」でした。
2回目では、療育に通う娘の様子や、療育に付き添うことになったパパの意外な変化などをお届けします。
また、当時の私・夫・娘の行動を、モーニング連載の人気漫画でドラマ化もされた『リエゾン―こどものこころ診療所―』の監修者でもある、児童精神科医・三木崇弘先生の解説も併せてお伝えします。
【三木崇弘(みき・たかひろ)】
児童精神科医。国立成育医療研究センターこころの診療部で6年間勤務の後、2019年フリーランスに。以降、クリニック専門外来、公立小学校スクールカウンセラー、児童相談所、保健所、児童養護施設などで活動。2023年4月より地元・姫路へ戻り、児童精神科医として多忙な日々を送る。『モーニング』連載中の漫画『リエゾン―こどものこころ診療所―』監修。
初めての療育を楽しむ娘と疑問を抱く私
発達相談から3ヵ月後。4歳5ヵ月のときに、療育に通うことになった娘。療育先は、児童発達支援センターの外来教室です。
月1回、親子で参加するものでした。毎回、療育内容が違い、お散歩のときもあれば、室内での集団遊びや工作など。
初めてとなる、1回目の療育は、私と娘で参加。娘は初めての場所に若干緊張気味の様子で、いつもならよくしゃべるのに、ほぼ無言で私のそばから離れませんでした。でも、先生たちの笑顔と優しい声かけで、すぐにその場に慣れた様子。
室内に設置された滑り台や、ブランコ、または外のジャングルジムや砂場で、20人ほどいる子どもたちが思い思いに遊び、泣いている子などがいたら、療育の先生4人がサポートし、保護者はその様子を見守る、という感じでした。
そして、1時間ほど遊んだ後、子どもたちのおやつタイムに。保護者は2グループに分けられ、今日の気づきや家での困りごとを、先生も交えて共有する時間が設けられました。
ただ、共有する時間は、全体で15分ほど。それぞれ簡単に今日の子どもの様子について感想を述べる程度でした。
娘は楽しそうでしたが、私としてはただ遊んでいる姿を見守っていただけだったので、特になにかを得た実感はなく、最初だから様子を見るための回だったのかと自分を納得させ、次回に期待することにしました。
【三木崇弘先生】
子どもが場や、人に慣れるためにも、楽しい安心な雰囲気で始めることはとても大切です。
また、その子らしさが一番表れる「遊び」を通じて、しっかりと様子を観察できたことは、実は大きな収穫なんですよ。
集団遊びで「やりたくないことはしない」を発揮
2回目の療育は、「さめおに」という集団遊びをしました。教室の両端に1本ずつ線を引き、線の内側(教室の中心)は海、外側(教室の端側)は陸という設定で、海にいるサメ役(おに)に捕まらないように、反対の陸に向かって走るというものでした。
役割の希望を聞かれた娘は「しない!」と断固拒否。先生からの「一緒にしようか」という声かけに、しぶしぶ承諾するも、1回やったところで「しない~」と涙がこぼれて見学することに。
先生や私から、何度か参加を促されるも、首を横に振って拒否。こうなると、てこでも動かない娘。そのまま、おやつタイムまでみんなの様子を眺めていました。
子どもたちのおやつタイムになり、保護者と先生でグループに分かれての相談の時間に。娘の「やりたくないことはしない」という姿勢について、どう対応すべきか相談したところ「無理強いはせずに、ときどき声をかけつつ、気持ちが向くまで待ってあげるといいですね」と、先生。
たしかに、今までも娘がやりたくないことを強引にがんばらせるも、泣いて終わってしまうことが多々ありました。先生からの言葉に「なるほど」と思いつつ、「気持ちが向くまでって、いつまで待てばいいんだろう……」と、正直気持ちが暗くなったのでした。
【三木崇弘先生】
やりたくない取り組みに、娘さんは一度はよく頑張りましたね!
「やりたくないことをさせる」のは、大人であっても難しいですし、ましてや幼児にそれをさせるのは容易ではありません。
この場合は、やったことのない遊びで戸惑っているのかもしれませんし、本人が様子を観察したり、場に慣れるための時間です。お母さんのお気持ちもわかりますが、待ってあげてほしいと思います。