タブレット純 壮絶イジメ「ズボンを脱がされ常に標的」 子ども時代を救った特技のモノマネ

シリーズ「不登校のキミとその親へ」#9‐2 歌手・お笑いタレント タブレット純さん~イジメとモノマネ~

歌手・お笑いタレント:タブレット純

イジメていた人に「大物になるよ」と言われた

笑われることに救いを求めていたのは、あきらめというのとはちょっと違うかな。イジメを憎んで人を憎まずというか、自分をイジメている相手にやり返したいという気持ちはなかったんですよね。

どうしてイジメをするんだろうとか、なぜ自分がターゲットなんだろうとかを考えても仕方ない。人間なんてみんなヘンなんだ、思春期の世代なんてどっか頭がおかしいんだ、生きるっていうのはつらいことなんだと、どこか達観してたのかもしれません。

頭がおかしいといえば、こんな不思議なこともありました。中学校時代に自分をすごくイジメ続けて、いちばんの天敵みたいな存在だった人が、卒業間際に急に優しくなって「これまで悪かったな。俺のこと恨んでるだろ」なんて謝ってきたんです。技術家庭の時間に、そっと近づいてきて作業を手伝ってくれたりもして。

正直、その人が死んでくれたらと思ったことが何度もあったんですけど、謝られて全部どうでもよくなって、すごく泣いちゃったんです。向こうとしては無意識に罪悪感を薄めたかったのかもしれない。そう考えると泣いてる場合じゃないんですけどね。

卒業間際に謝ってきた人はもうひとりいて、二人ともぼくに同じことを言ったんです。「お前は将来、絶対大物になるよ」って。なんでそんなこと言われたのか、そこも不思議なんです。イジメられていてもずっとヘラヘラしてたからかな。

せめてもの罪滅ぼしに、ホメておこうと思ったのかもしれません。「絶対大物になる」と言われたことが自信になったとか、その後の支えになったとか、そういうことはぜんぜんないんですけど。

小学生のころのタブレット純さん。  写真提供:トルバ
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ただ、自分の場合、イジメられた経験が今につながっているという部分は、確実にありますね。どんな経験もプラスになるみたいな無責任なことを言うつもりはないんですけど、ぼくがイジメられたのはある種の宿命だったのかなと思ってます。

とくに理由もなく、気が付いたらイジメる側じゃなくてイジメられる側にいた。誰もができるわけじゃない経験をしたからこそ、理不尽を受け止める切なさとか、味方がいない孤独感とか、わかることがたくさんあった気はします。けっして強がりとかじゃなくて。

今、こうやって人に笑ってもらう仕事をしているのは、自然にそっちのほうに導かれていったと感じています。大げさに言うと、自分の使命だったのかもしれない。今つらい状況にある人が、ぼくのモノマネやおしゃべりで笑って少しでも救われた気持ちになってくれたら、とってもうれしいですね。

イジメから救った特技

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