
「あの子のおかげで私も変われた」不登校・4つのフリースクールをさまよって親子がたどり着いた「正解」のない答え[教育ジャーナリストがルポ]
特別公開『フリースクールという選択』おおたとしまさ著 1/4(全4回) (3/3) 1ページ目に戻る
2026.05.12
教育ジャーナリスト:おおたとしまさ
その場にいられること自体がすごい
4年生になる直前に出会ったのが、ヒカモリです。ヒカモリがほかの3つと違ったのは、自然の中にあるところ。緑な感じ。
もし、みんなといっしょに活動ができなくても、そこにいるだけでOK!って思っちゃいました。そこにいるだけできっと何かを感じるだろうから。森の力ってすごいですね。
それまで行ってみたフリースクールでは、その場になじまなきゃいけないというプレッシャーが、ユズルにも私にもありました。
でもヒカモリでは「別にいいんじゃないですか。その場にいられること自体がすごいんじゃないですか」って言葉をもらえて、私も「そうだよな」と思えて楽になって。
それからはほぼ毎日、休まずに通えています。いまユズルは、生きていくうえで誰かといっしょに楽しい時間をすごすことの大切さみたいなものに気づきはじめています。もうそれだけで十分です。
「あなたはどうしたいの?」の裏の下心
ヒカモリに来てから、ユズルはみるみる変わっていきました。それに気づいてから、私もユズルに甘えてたんだなってわかりました。
「あなたはどうしたいの?」っていう言葉の裏には必ず「本当は私はあなたにこうしてほしいんだけど」みたいな下心があった。
だから私の目指す答えを言ってくれるまで遠回しに追いつめた。そういうコミュニケーションのパターンみたいなものを、私がつくっていたんだって。フリースクールに「行く? 行かない?」もそうですよね。
「この子のせいで」が「あの子のおかげ」に
思いどおりにいかなくて苦しいとき、私はいつも正解を求めていました。でも、それをやっているうちは、目の前の子どもが見えていないんですよね。だからますます子どもは荒れるという悪循環でした。
いまはユズルも私も「変わったね」っていろんなひとから言ってもらえます。私もね、変われたんです。それは、あの子のおかげです。
あの子がね、頑張ってくれました。親なのに、ユズルのことが大切なのに、「この子のせいで……」と思ってしまったこともありました。でもいまは、あの子のおかげでいまがあると思えています。
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やっとのことでユズルくん親子がたどりついたヒカモリは実在します。どんなところか、本書で訪ねています。
【編集部より】
新刊『フリースクールという選択』(講談社+α新書)では、ユズルくんたちが通うヒカモリをはじめ、日本各地にある多様な学びの場と、そこにいる子どもたちの姿を著者が現地でルポしています。
アバターで登校するメタバース校舎 や、ITやクリエイター系が好きな子どもが続々集まる通信制スクール 、さらには学校復帰より個人事業主として生きていくスキルを養う型破りなオルタナティブスクールなど、親世代の常識をくつがえす教育現場が次々と登場します。
「学校以外の道」を考えることは、子どもがその子らしく生きていくための「前向きな選択」になり得ます。本書が、お子さんとご家族にとっての新しい一歩を照らすヒカリとなることを願っています。
おおたとしまさPROFILE
教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートから独立後、教育に関してさまざまな観点から取材を行い、著書は90冊以上。どこの組織にも属さない在野の視点で現代の教育への考察・提言を続けている。メディアへの出演や講演も多数。
全4回の1回目
2回目を読む※2026年5月13日より公開
3回目を読む※2026年5月14日より公開
4回目を読む※2026年5月15日より公開
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『フリースクールという選択』(講談社+α新書)刊行。
お子さんの「学び」「居場所」の新しい選択肢。多様化するフリースクールの理想と現実をルポしました。


































おおたとしまさ
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。