【不登校】子どもの回復を「待つだけ」は勉強や将来が不安… 「見守り方」を識者に聞いた[専門家3者対談]

おおたとしまさ×井本陽久×相澤樹3者対談3/3「学校に行っていない子どもの見守り方と勉強」 (2/3) 1ページ目に戻る

子どもを変えようとする その心を問い直す

司会:親御さんからの質問で、「親は待つのが大事なのか」「いつまで待てばいいのか」「放っておくのと待つのはどう違うのか」という声を多くいただいています。わが子が不登校になったら親はどのように接したらいいのでしょう。

相澤:おおたさんの本『フリースクールという選択』(講談社)に、登校渋りや不登校になる前にいろんな居場所を知っておくといいと書いてあり、これすごくいいなと思ったんですよ。

前提として「学校に行けなくなっちゃった、どうしよう」ではなく、もし行けなくなったとしても「こういうところがある」とあらかじめ知っておくことは、心のゆとりとしてすごく大きなものになると思います。

登校渋りや不登校は本当にさまざまなケースがあるので正解はないと思いますが、私は「ひたすら子どもから動きだすのを待つだけ」というのは結構リスクが高いなと思っています。

学校に行く行かないは重要じゃないけど、社会との接続がまったくない状態が長年続くと、外に出る一歩目がなかなか難しくなる。

だからこそ、家以外にもう1ヵ所、どこか行ける場を持つことに保護者の方は積極的に動かれたほうが子どもの回復は高まるかなと現場で感じています。

井本:「待つ」ことの良し悪しって単純じゃないと思うんです。相澤さんのおっしゃってることは「じゃあ待たないほうがいいよ」という単純な答えでは決してなくて、大前提として「子どもをよく見る」が絶対にある。

学校へ行かず、もし部屋に引きこもったとしても、それは意識的に選んだというより、身体が動かないほど「今は自分を守らないと壊れそう」という状態になっていることもあると思うんです。であれば、まずはそこを理解することが絶対大事です。

そのうえで子どもを見ながら「ちょっと押してみようか」「今はやめといたほうがいいか」と親なりに試行錯誤する。だから「待つのか待たないのか」「放っておくのか放っておかないのか」の二択は本質的なことではないんですよね。何でも単なるハウツーで動くと危ない。

親と子の関係って、大人の側がつい「主従関係」を持ち込んでしまいやすいところがあると思うんです。親は不安があると、すぐ子どもを変えようとしがちです。

でも子どもは赤ん坊のころから、自分が世界に手を伸ばしたら、世界から何かが返ってくることを知り、さらに手の動かし方を変えてみたらまた違う反応があると知ります。そんなことを繰り返して、世界とのつながりを自分で学んでいきます。

そこに大人が入り、良かれと思って誘導すると「あ、手伸ばしちゃいけないんだ、引っ込めよう」と動かなくなってしまうんです。だから必要なのは大人の向き合い方のチェンジです。

大人が持っている世界を子どもに教えようとするんじゃなくて、子どもが見ている世界を教えてもらおうという姿勢に変えられるかどうか。

子どもは「自分はいつでも世界に手を伸ばしていいし、世界はちゃんと何かを返してくれる」という感覚があれば、困ったときにも、そこからまた自分で一歩二歩と踏み出していける。でも親が心配しすぎると、子どもにその不安が移ってしまい、動けなくなる。

相澤:おっしゃるとおりですね。お母さんやお父さんの状態がそのまま子どもの状態に現れているケースはよく見ます。

井本:ほとんどの親の心配事と相談って「どうしたら子どもがいい方向に変わるだろうか」なんですよ。

おおた:そのいい方向っていうのは、親が考える「思いどおりの方向」っていう意味ですよね。

井本:そうです。だから親がやることは改めて自分自身に「学ぶって何だろう」「生きるって何だろう」を問い続けるってこと。それは子どものためという以上に、自分のためにすることで。むしろ子どもが教えてくれる。だから「子どもを見る」が大事なんですよ。

おおた:子どもに教えてもらうためには、自分がもともと持ってしまっている前提や価値観みたいなものはいったん置いておく。じゃないと無意識のうちに自分の考えを子どもに重ねてしまうんですよね。

親御さんの中には「立派な人間になってほしいなんて全く思ってません」と言いつつも、「でもこれぐらいはできて当たり前ですよね」とおっしゃる方が多いんです。その「当たり前」が当たり前じゃないんだってことを、まず親が自覚しないといけない。

放っておいたほうがいいか、それとも働きかけたほうがいいかなど、どっちがいいかの損得勘定みたいになると、それは子どもに伝わってしまう。

フリースクールとかに見学に行くときも、親が一喜一憂しないことが大事です。

子どもが合わなくてもがっかりしないのはもちろんですが、もし子どもが楽しんで馴染んだとしても喜びすぎないことも覚えておいてほしい。親が喜びすぎると、子どもは無意識のうちにプレッシャーになってしまいます。

この(不登校の)状態がいつまで続くかわからないのは、親として確かに不安だけど「親がジタバタしてもしょうがない」と吹っ切れたとき、初めて子どもが自ら一歩踏み出したという話はよく聞きます。

子どもは「あるがままを受け入れてくれた」「理解してくれた」という安心感があって動き出せることがよくある。これを言うと「じゃあ手放せばいいんですね!」と受けとめられがちだけど、そうじゃない。

「手放したけどまだ動かないんですけど」って言ってるのは、それは自分の思いどおりの方向にものごとが進むことをまだ期待しているってことで、手放したことにはならないんですよね。

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