【不登校】子どもの回復を「待つだけ」は勉強や将来が不安… 「見守り方」を識者に聞いた[専門家3者対談]

おおたとしまさ×井本陽久×相澤樹3者対談3/3「学校に行っていない子どもの見守り方と勉強」 (3/3) 1ページ目に戻る

不登校で社会とつながれなくなるわけではない

司会:「勉強が遅れて進学できるんだろうか。この先、仕事はできるんだろうか」という、将来へのご心配もたくさんいただいています。

おおた:子どもがフリースクールに通うようになって「いいとこが見つかりました! 今通ってます」と親御さんはいったん安心するんだけど、しばらくすると「でも実はあまり勉強しない居場所系で、これで将来は大丈夫なんですかね」と言い出す。不安はなかなかなくなりません。

そもそもみなさん学校に行って勉強した記憶ってあります? 多くの方はそんなにしてないですよね。SNSとかで「学校へ行かなくて将来困っても誰も責任とってくれないぞ」といった投稿を見かけますが、学校行って困っても誰も責任とってくれないじゃないですか。同じですよ。

井本:学校へ行っていれば大丈夫ではまったくないです。

おおた:「勉強しないで大丈夫ですか」ともよく聞かれますが、受験でやった勉強なんて大人になってほとんど覚えてなくても実際に暮らせてますよね。単に勉強だけであれば今、便利なツールもたくさんあるし、まあ暮らしていけるでしょう。

でもその質問の奥には親御さんの「学歴社会で受験のための勉強ができてなくて受け入れられるんですか」という不安があるんですよね。

僕らは「学校に行かないと将来困るはず」と思い込まされてきたし、「不登校差別」も現実にまだあるから差別される側になってしまうのも怖い。これは大人が本格的に社会を変えなきゃいけないと思います。

これからはフリースクールのような一条校(文科省に基づいた一般的な学校)以外の場を経由して、社会でゴキゲンにやってる人がどんどん増えるだろうし、それがわかってくると「学校行かなくてもいいんだ」という認識が一気に加速すると思います。

井本:学校に行くか行かないかにかかわらず、道はいろいろあると思っています。

親御さんの「将来、社会に戻れないんじゃないか」という心配はわかるんです。ただ、ここは冷静に見てほしい。不登校が将来、社会とつながれなくなる原因になるわけじゃないんです。

僕がまず見なければいけないと思うのは、不登校という状態そのものより、その手前にある本人の傷つきです。

「学校が苦しい。もうこれ以上傷つけられたくない」と感じ、行かない選択をするわけですよね。その傷をさらに深くするのが「無理解」です。

周りに理解されないまま、ああしろこうしろと言われてしまうと、「うるせえ」「嫌だ」と反抗しつつも「やっぱり自分はダメなのか」ってなってしまう。そしてますます自分の存在価値を感じられなくなって、怖くて外に出られなくなる。

だからまずは子どもが傷ついていることを理解しないと。その子の状態を理解しないまま、親自身の不安から働きかけを重ねると、結果として傷つきを深めてしまうことがある。

おおた:「将来が心配だから、不安だから」って、今を否定されちゃう状態が続いてるのが一番よくない。それが、その子の傷を深掘りして動けないほどにしてしまう。学校に行かないことが問題なんじゃないんですよね。

司会:最後に「学びとは何か」を教えてください。

相澤:私が今現場で信じている「学びって何か」っていうと、私たちが「いろんな事象をおもしろがっていることを子どもたちに見せ続けること」と思っています。

私たちのおもしろがっている姿を見せることで、子どもたちが「もっと知りたい」と思えるような驚きや新鮮さを積み上げていきたい。まず私たちの「あり方」なのかなと考えつつ日々やっています。

井本:「学びとはこれだ」とひとつの定義に固定してしまうと、その新しい学びを子どもたちに「させよう」としてしまい、子どものことを見なくなってしまう。

だから「学びとは何か」「生きるとは何か」ということを「常に問い続ける」ことだと思うんです。まさに「探究」。それに尽きるかなと思っています。

おおた:「学習」と「教育」と「人材育成」ということが今ごっちゃに語られていて、それがすごく混乱をもたらすんじゃないかなと思っています。

そこを意識化していくと、これからの教育の議論は整理しやすくなるんじゃないかなと思って、今後、そんなことを書いていきたいなと思っています。

─・─・─・─・─・─・

全3回にわたってお届けした教育対談。

親はスムーズにいかないわが子を見ると、つい「大変だ、親の私が何とかしなければ」と焦りがちですが、親自身が自分の中にある前提や不安を問いながら、子どもには今、どんな世界が見えているのか、理解しようとし続けることが大切だと教わりました。

急いで正解を探すのではなく、これからも子どもと一緒に悩み、迷いながら、探究をし続けていきたいと思います。


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\親の不安を安心に変える、新しい居場所の探し方/

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おおたとしまさ

おおたとしまさ

教育ジャーナリスト

1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。

1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。