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【不登校から医学部へ】中2で成績はオール1「昼夜逆転」したわが子を”夜遊び”に連れ出した母の気づき

不登校から小児精神科医を目指すまで 母親インタビュー第2回「成績オール1と孤独・夜遊び」/全6回 (2/3) 1ページ目に戻る

教育ジャーナリスト:おおたとしまさ

おおたとしまささん(以下おおた):「“普通”を諦(あきら)める」という失意の中で、学校に行かない生活が始まりました。

倉孝子さん(以下孝子):そうしたら通知表が、オール1になったんです。

私も子どもも転校が多かったので、学校によって成績のつけ方が全然違うのを知っていました。評定平均なんて当てにならないな、という気持ちは持っていました。

でも、息子・俊徳(としのり)はまあまあ勉強ができていたから、いざオール1になると、やっぱりすごくショックでした。

不登校になり始めた当初は、テストだけでも受けていました。朝は行けないから、夕方に行って受ける。1〜2教科だけ受けて、残りは家に持って帰って提出してね、というふうになりました。

1がつくような出来じゃなかったのに、家でやった分は参考点でしかないから成績に反映されない、休んでいると提出物がないから努力点がないとみなされて評価はできない、ということでした。

「努力していない」という言葉に、まず納得できませんでした。テストでそこそこの点をとっても、それは反映されない。本人はめちゃくちゃ努力してテストを受けに行って、家でも問題を解いたのに、「努力が足りない」と言われる。

札幌は内申点が中1から高校進学に反映されるので、たとえ中3で学校に行けて頑張って勉強したとしても、ここでオール1がついたら、もう絶対に希望の高校には行けない。これでもう決定的に行けないんだな、と。

それがショックでした。別にトップ校を目指していたわけではないんですけど、普通の高校への進学はもう無理、という状況でした。

でも、ショックを受けている自分がいる一方で、目の前にいる俊徳は、私にとっては何も価値が変わっていない、そのままなんですよね。なのに、通知表にオール1が付いただけで残念な気持ちになるっておかしいな、と気づいたんです。

それで、もういいや、と思いました。俊徳は、自分にとって大切な存在なんだから、成績とか、人からの評価がどうであってもいいや、って。

おおた:そこは本当に、一皮むけた瞬間ですよね。それまで気づかずにすがってしまっていた「学校信仰」みたいなものを、手放した瞬間。

目の前の現実がどうしても受け入れられないときに「自分が当たり前だと思っている価値観や前提のほうが、じつは思い込みに過ぎなかった」と思える人は、そんなに多くないんです。心理学みたいな分野を学んだことがあるんですか?

孝子:そういうバックグラウンドは全くないんですけど。ただ、子どもが生まれてから教育にはすごく関心があって、俊徳が赤ちゃんのころからいろんな勉強会に行っていたんです。

そこで不登校のお母さんたちにも会って、「不登校って誰にでも起こり得るんだな」と思ったことがあったり。

発達の先生のお話を聞いたときに、「一番大事なのは学校に行かせることじゃなくて、親子関係を作ること。子どもが行きたくないと言ったときは、子どもの意見を尊重したほうがいい」と、まだ俊徳が幼稚園のころに聞いていて。それが頭に残っていたんです。

おおた:当時はわりと現実味のない理想論に聞こえていたかもしれないと思うんですけど、それが頭の片隅に残っていて、実際そうなったときに、自分の視点を変える助けになったわけですね。

孝子:周りからの評価ではなくて、自分にとっての、俊徳の存在の大切さを再認識したということなんだと思います。

ママ友・親戚とも疎遠 “宇宙に一人でいるよう”だった

孝子:それまではもう、全く先が見えなくて。俊徳は、学校の友達との関係がほとんど途切れてしまいました。私のほうも、ママ友たちが心配して連絡をくれるんですけど、それを素直に受け取れなくて。どんどん疎遠になって、知り合いが誰もいないような気持ちになっていきました。

親族もやっぱり、残念に思うわけじゃないですか。その「残念だ」と思われている気持ちが痛くて。誰にもこの気持ちを理解してもらえない、責められているような気持ちになってしまって。すごく孤独だな、と思いました。宇宙で一人でいるような感覚でした。

夫が「俊徳は大丈夫だから」と言ってくれていたように、私も心の底では「この子はきっと大丈夫」と、ちょっと思っていたんです。でも、周りはそう思ってくれないんだな、と感じていました。

親族からにじみ出る「残念だね」「この先どうするの?」という雰囲気が、辛かった。心配して言ってくれているんですけど、逆に「やっぱりまずいんだ」と、不安を増幅させました。

でも、心配してくれることが悪いことじゃ全然ないんです。実際、みんな、最大限に気をつかって、言葉を選んで、接してくれていたと思います。

周りのリアクションがどうであったとしても、私はきっと同じように辛かったと思います。ただひたすら、受け手である私の心が、素直に受け取れない心境だった、ということなんですよね。

昼夜逆転した息子を「夜遊び」に連れ出して

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