ひらがな楽しい! 子どもの「文字への興味」が広がる「おすすめの絵本」3冊 [子どもの本専門書店・店長が厳選]

子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #3~文字に興味を持ち始めた子へ~

ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀

遊びながらひらがなに親しめる本を

文字が読めるようになってくるのは、一般的に4~5歳くらいからと言われていますが、読めなくとも興味を示すお子さんも多いようです。そんなお子さんにはまず、ひらがなに親しめる絵本を贈ってはいかがでしょう。

今回はなるべくシンプルな言葉で、日本語ならではの言葉の楽しさ・奥深さを感じられる3冊を選んでみました。遊びにも発展する本ばかりなので、ずっと“自分のもの”として読めるプレゼントがおすすめ。

お子さんがいつでも手に取れる場所に置いて、ときには文字を書き込んだり、絵本の言葉にひらがなを付け加えてみたり、自由に楽しんでもらいたいなと思います。

ひらがなにも触れられるアートな1冊

最初にご紹介するのは、『ケーキ やけました』(講談社)。大ベストセラー絵本『パン どうぞ』(講談社)で、木版画でたくさんのパンを表現した彦坂木版工房(彦坂有紀ともりといずみの木版工房)によるケーキの絵本。私も大好きなシリーズの中の1冊です。

『ケーキ やけました』(作:彦坂有紀、もりといずみ/講談社)
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とってもおいしそうなケーキの絵とともに、「チーズケーキ やけました」「ひときれ あーん」「アップルパイも やけました」「おおきな おくちで あーん」というフレーズで展開されます。まだひらがなが読めないお子さんでも、同じフレーズが繰り返されると「これが“や”なのかな」「これが“あーん”なのかな」と類推できるので、文字に触れるきっかけにはぴったりですね。

そして、なんといっても注目は、美しい木版画。木版で描かれているなんて信じられない、このこんがり感! まるで本物のようなケーキの絵に、お子さんは目を輝かせるでしょう。

こうした“大人の本気”を詰め込んだ芸術的な絵に小さいうちから親しんでいると、その後の人生がとても豊かになる気がします。そういう意味では赤ちゃんが読んでも素晴らしい絵本ですし、お店では1~2歳のお子さんにもよくおすすめしています。

お子さんが大きくなったとき、親御さんが「実はこの絵、木版画なんだよ」と伝えたら、お子さんはきっと驚くはず。そうして親子で木版画に挑戦するのも素敵ですし、教育にもとてもよいと思います。そんな“未来の体験”も一緒にプレゼントしてはいかがでしょうか。

言葉遊びで文字を知る1冊とは?

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