毒親から逃れたい「家出少女」を待つ地獄…実体験から語る〈子どもをむしばむ過酷な現実〉

佐藤まどか作『少女と毒』 (2/2) 1ページ目に戻る

作家:佐藤 まどか

地獄の入り口で引き返す

そういう子たちが集まっている場所の一つが、新宿区歌舞伎町のトー横と呼ばれる広場です。歌舞伎町で一斉補導が何度も行われ、以前に比べるとトー横キッズを見なくなりました。しかし、いなくなったわけではありません。全国には他にもたくさん、子どもたちが集まるこういった場所があります。

私自身、子ども時代に歌舞伎町で深夜徘徊をしていて補導されたことがあります。そのころの私は、深刻な家族の問題を抱えて苦しんでいました。学校では先生のパワハラ毒や、苦労知らずのお嬢さんたちの悪質なからかい毒にも辟易していました。登校拒否をし、居場所を求めて家出をし、知り合った不良グループと親しくなり、新宿や渋谷で深夜徘徊をしていました。彼女たちのなかには、かなり危ない橋を渡っていた子もいました。

私が実は怖がりで気難しい性格だったのが幸いして、地獄への入り口で立ち止まり、引き返すことができました。母が私の母でもあることに目覚めてくれたことや、自分自身の将来の夢を見極めたことも大きかったと思います。今よりも危険や誘惑が少なかったのも事実です。

それでも、優等生と非行少女、普通の人生と地獄のような人生は、紙一重でした。

毒を描き、毒を制したい

自ら地獄の入り口を見た実体験、そして現代の闇を描かなければならないという必然性を感じ、苦い過去に向き合い、新たに現代の状況をよく調べ、この物語を書きました。毒をもって毒を制す、といいますが、毒を描く物語で毒を少しでも制することができたら、と祈ります。

厳しい現実に目を背けていては何も解決しません。子どもたち自身が、毒を徹底して避ける、もしくは解毒する必要があるのです。そのためには、まず毒を知ることが必要です。実体験してからでは遅いので、物語の力で伝えることが必要だと、強く感じています。

三部作では、少しずつ希望が増していきます。暗い地下から少しずつはい上り、やがて空から明るい日差しを受けて地上に出るようなものになっています。第3弾は秋に出版される予定です。

物語を通して、思春期の子どもたちが猛毒の底なし沼に落ちる前に気づき、引き返してくれることを、また、それを助ける人が増えるように願いを込めて。

『少女と毒』

佐藤まどか先生自身の実体験から生まれた子どもたちへの強い思いが込められた『少女と毒』は、全国の書店やネット書店にて絶賛発売中です。

「居所不明児童」をテーマに描かれた三部作「消えたこどもたち」の第2弾。中学2年生の少女が、家にも学校にも居場所を失い、追い詰められた先にたどり着いたのは、夜の東京・新宿、歌舞伎町。絶望の淵で見つけた「居場所」は甘い猛毒のように少女を、暗い闇へと引き込んでいきます。

絶望を抱えた子どもたちが集う歌舞伎町で、少女は生きるために「猛毒」に手を染めるのか──。現代の新宿を舞台に、家出少女の絶望と再生を描く、リアルストーリー。

ぜひ、お手にとってご覧ください。

●佐藤まどかの「消えたこどもたち」三部作

第1弾 『少年と悪魔』 Amazonで見る
第2弾 『少女と毒』Amazonで見る
第3弾 『ぼくたちはここにいる』(2026年秋発売予定)

少女と毒

少女と毒

佐藤 まどか(著)

発売日:2026/05/20

価格:定価:本体1400円(税別)

三部作 第1弾『少年と悪魔』
好評発売中​

少年と悪魔

少年と悪魔

佐藤 まどか(著), いとうあつき(絵)

発売日:2025/10/08

価格:定価:本体1400円(税別)

〈こちらもご覧ください〉
三部作 第1弾 『少年と悪魔』
【著者が語る】物語執筆の背景

前へ

2/2

次へ

31 件
佐藤 まどか
さとう まどか

佐藤 まどか

Madoka Sato
児童文学作家

佐藤まどか 『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ童話大賞受賞・BL出版)で作家デビュー。主な著書に『スーパーキッズ 最低で最高のボクたち』(第28回うつのみやこども賞受賞)『ぼくのネコがロボットになった』『リジェクション 心臓と死体と時速200km』(以上、講談社)、『セイギのミカタ』(フレーベル館)、『つくられた心』(ポプラ社)、『一〇五度』(第64回青少年読書感想文全国コンクール中学生部門課題図書)『アドリブ』(第60回日本児童文学者協会賞受賞)『世界とキレル』(いずれも、あすなろ書房)など。イタリア在住。日本児童文学者協会会員。季節風同人。

佐藤まどか 『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ童話大賞受賞・BL出版)で作家デビュー。主な著書に『スーパーキッズ 最低で最高のボクたち』(第28回うつのみやこども賞受賞)『ぼくのネコがロボットになった』『リジェクション 心臓と死体と時速200km』(以上、講談社)、『セイギのミカタ』(フレーベル館)、『つくられた心』(ポプラ社)、『一〇五度』(第64回青少年読書感想文全国コンクール中学生部門課題図書)『アドリブ』(第60回日本児童文学者協会賞受賞)『世界とキレル』(いずれも、あすなろ書房)など。イタリア在住。日本児童文学者協会会員。季節風同人。