「誰よりも漫画を読んできた」ことが子どもの強みになった! 漫画研究家の父親の漫画の与え方とは?

「漫画研究家の本棚」 #3 京都精華大学マンガ学部教授・吉村和真先生

コミュニケーションにつながったジャンルを超えた漫画

──お子さんが読む漫画に関し、自分なりの条件などはありましたか?

吉村先生:僕から息子や娘に「これを読みなさい」「これは読むな」と口を出したことはありません。そこに特段ポリシーがあったわけではないのですが、僕自身も子どものころに、親が買ってきた漫画をこっそり読んだりしていましたし、それを親から咎められたこともありませんでした。

だから子どもたちに対しても「家にある漫画は、読みたければいつでも手を伸ばしていいよ」という環境を作っていました。

「家を建てるときのオーダーは『漫画が1万冊置ける家』でしたが、予定外に増えた息子の部屋の様子」(吉村先生)。  写真提供:吉村和真
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吉村先生:読む内容も、基本的には制限しませんでしたが、いわゆる成人向けの漫画は僕の部屋に保管し、「勝手に部屋に入ってはダメだよ」とは伝えていましたね。ただその線引きも、息子が高校生になったあたりからはゆるくなりましたけど。

漫画は、取り上げていないテーマを探すことが難しいほど、多様な世界やキャラクターが描かれています。漫画を通じて、息子は実生活だけでは経験することができないくらい、たくさんの考え方や想像力に触れたのではないかと思います。古い作品だけでなく、妹の『ちゃお』など、少女漫画も読んできているので、「偏食をしない漫画好き」というのは、彼の個性のベースになっている気がしますね。

息子自身も、「ジャンルを超えて読んでいたおかげか、女の子からおじさんまで、性別・年齢関係なく話せるようになった」と言っています(笑)。幅広い作品を知っているから、どの世代の人とでも漫画を話題にいろいろ話ができるそうで、それは彼の強みだと思いますね。

好成績の国語は漫画の影響だった!?

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