すぐに“キレる”我が子 もしや「発達障害」?と思ったら[専門医が解説]

#3児童精神科医が説く「キレる子ども」の受け止め方~発達障害~

児童精神科医:原田 謙

発達障害の特性は理解されにくい

キレる子どもの相談を受けていると、その子に発達障害が認められることがあります。発達障害は脳機能に関連する障害です。

発達障害の特性。子どもによっては併発することも。  『キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』より
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こちらの図のように、いくつかの種類があります。発達障害の子は脳機能の働き方が他の多くの子どもたちとは異なります。そのために心理や行動などに特定の性質が見られます。それらを発達特性といいます。医学的には、発達特性によって生活面でなんらかの支障が生じている場合に、発達障害と診断されます。

こだわりや衝動性が強い場合

子どもに自閉スペクトラム症の特性があり、こだわりが強い場合には、例えば同級生たちが遊びのルールを変更したときに強く拒絶して、トラブルになることがあります。

他の子は気にしないような細かい点にこだわって、怒ってしまうことがあるのです。結果として、親や先生、他の子に「言うことを聞かない子」などと思われてしまうことがあります。

「言うことを聞かない子」には、その子なりの理由がある。  Photo by iStock

また、ADHDの特性があって衝動性が高い子の場合、感情が即座に言動に出てしまうことがあります。

例えば同級生にからかわれたとき、それほど悪質なことを言われていなくても、感情的になって強く言い返したり、相手を叩いたりすることがあるのです。行動を制御するのが難しいときがあり、「キレやすい子」と言われる場合があります。

発達の特性は、対応次第でなくなるものではありません。持って生まれた特性です。ですから子どもの行動を直そうとするのではなく、特性によって問題が起きるリスクがあることを理解して、対応する必要があります。

追いつめられて「不適切な怒り」が出る

大人が子どもの発達特性を理解して対応できればよいのですが、うまくいかない場合もあるでしょう。

例えば、不注意の特性がある子は本人なりに気をつけていても、うっかり遅刻や忘れ物をすることがあります。そこで大人がその子の特性を理解して、不注意なところをカバーするような対応を取れればよいのですが、「ちゃんとやりなさい」と咎(とが)めてしまう場合もあります。

そのとき大人は子どもに「過去の経験をふまえて、次の行動を修正してほしい」と期待して、注意しています。子どもがその期待に応えて成長していくことももちろんありますが、発達特性があって特定のことが苦手な子は、何度注意されても、本人が「ちゃんとやりたい」と思っていても、うまくいかないことも少なくないのです。

一生懸命やっているのに大人に理解されない子どもたち

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