料理家・栗原友さんが母・はるみさんから受け継いだ“おいしい幸せ”の記憶
料理家で乳がん闘病経験者・栗原友さんの子育て&食育論#2~「子どもに残したい“舌の記憶”」
2021.12.27
料理家:栗原 友
娘のお弁当には嫌いなものを入れない
娘の一食一食も大切にしています。娘の小学校は給食がなくてお弁当を持参しなければならないので、毎日早朝に起きてお弁当作りです。
前は栄養バランスを考えて、娘が苦手なものも入れては、それが残って返ってくると腹を立てる日々でした。今はそれをやめ、嫌いなものは一切入れないようにしています。それは母(料理家・栗原はるみさん)のお弁当の思い出があるから。
私が高校生の頃、「お弁当には好きなものしか入れないで。好きなものしか食べたくないから」と、唐揚げやらチャーハンやらをリクエストしたら、母は本当に好物だけを作って入れてくれました。それも毎日。
高校には学食があるからお弁当はなくても大丈夫なんですが、友達と学食のラーメンをすすりながら、母が作ってくれたおいしい唐揚げなどを友達とほおばるんです。それが楽しみで、楽しみで。
友達も母のお弁当を心待ちにしていました(笑)。それだけ母のお弁当がおいしかったってことですね。もちろん、お弁当は毎日完食。米粒1つとて残したことはありません。
母のおかげで、私は食べ物に関してはいい記憶しかありません。ごはんがおいしいって幸せですよね。そしておいしい記憶ばかりが残っている人生って幸せだなーって思うんです。その意味で、やっぱり“舌の記憶”ってすごく大事。
私も「お母さんのごはん、おいしかった」って娘に言ってもらいたい。お弁当の味を覚えていてもらいたい。そんな思いが心のどこかにあるから、家族にはもちろん、娘の友達にも喜んでもらいたくて、おいしいごはんを作り続けるんだと思います。
「おいしい」って言われると、やっぱりすごくうれしいから。
母から受け継いだ「おいしいごはんの記憶」を、今度は私が娘に刻み込む番。そして近い将来、娘も自分一人でごはんを作るようになってくれたら。あ~、私にタイカレーを作ってくれないかな。娘に「レシピノート」を作って渡すのもいいですね(笑)。
取材・文/桜田容子
※栗原友さんの記事は全3回です。
次は2021年12月29日公開です(公開日までURL無効)
第3回(#3) 料理家・栗原友さんのメリハリ論「手間を省きつつ“母の味”もしっかり残す」
第1回目(#1) 料理家・栗原友「乳がんになった私が4歳の娘にした病気の伝え方と生き方」
桜田 容子
ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。
ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。
栗原 友
料理家 2005年から料理家としてレシピを紹介。東京・築地場外の水産会社に勤務しながら食育の講演会、料理教室、執筆など活動を広げる。現在は、「株式会社クリトモ」代表として、コンサルティングやメニュー開発などのほか、東京・目黒の飲食店「クリトモ式混ぜ麺」「クリトモ式ツナマヨ混ぜカレー」を運営、2021年1月には築地の鮮魚店「クリトモ商店」をオープンさせるなど、経営者としても精力的な活動を行っている。 著書に『ひとりぶん、ふたりぶん 刺身パックでさかなつまみ』(プレジデント社)、『クリトモの大人もおいしい離乳食』 (扶桑社BOOKS)など。父は元キャスターの栗原玲児さん。母は料理家・栗原はるみさん。3歳下の弟は料理家・栗原心平さん
料理家 2005年から料理家としてレシピを紹介。東京・築地場外の水産会社に勤務しながら食育の講演会、料理教室、執筆など活動を広げる。現在は、「株式会社クリトモ」代表として、コンサルティングやメニュー開発などのほか、東京・目黒の飲食店「クリトモ式混ぜ麺」「クリトモ式ツナマヨ混ぜカレー」を運営、2021年1月には築地の鮮魚店「クリトモ商店」をオープンさせるなど、経営者としても精力的な活動を行っている。 著書に『ひとりぶん、ふたりぶん 刺身パックでさかなつまみ』(プレジデント社)、『クリトモの大人もおいしい離乳食』 (扶桑社BOOKS)など。父は元キャスターの栗原玲児さん。母は料理家・栗原はるみさん。3歳下の弟は料理家・栗原心平さん