
男性は20人に1人! 色覚異常の人が抱える危険
Q.色覚異常の症状を、治すことはできますか。
市川:先天色覚異常の人は、遺伝的な理由によって生まれつき見え方が違うため、現時点では治療する方法がありません。
ただ、症状が進むこともありません。症状が軽度の方は、軽度のままです。
後天色覚異常の人は、原因となる網膜や視神経、脳などの病気や怪我などが回復することで治るケースもあります。
Q.色覚異常の人が生活するうえで、どのような危険がありますか。
市川:色覚異常の程度にもよりますが、交通ルールには十分に注意する必要があるでしょう。
ほとんどの人が信号灯は区別できますが、人によっては⽇光の加減で⾚信号に気づけなかったり、夜間の運転時に、前の車のブレーキランプが点灯しても、瞬時に危険を察知することが難しかったりする場合があるようです。
特に気をつけなくてはいけないのが「一灯式信号」です。緑・黄色・赤の灯った信号機では、並びで色を判断することができます。
しかし、1⾊しか灯らない⼀灯式信号は、⾚か⻩⾊かの判断がつかずに見誤ることがあるので、徐行や一旦停止を守って、細心の注意を払う必要があります。
色覚障害があるからといって、運転免許証がとれないわけではありません。色覚異常になった本人が、自らが赤い色の判別が弱いと認識し、注意を払うことが大切でしょう。
Q.色覚異常の人は、どれくらいいますか。

市川:日本人男性の5%、女性の0.2%が、先天色覚異常だと推計されています。男性は20人に1人の割合、つまり小学校のクラスに1人は先天色覚異常の人がいることになります。
1994年まで、色覚異常の検査は小中高校で行われていました。しかし、当時は色覚異常を「色盲」と呼び、不必要な社会制限が多くありました。
いじめや差別につながることを恐れ、2003年に色覚異常の検査は廃止されてしまいました。そのため本人が色覚異常の自覚がないまま、生活を送っている子どもが大半です。
しかし色覚異常を抱える人は、黒板の文字が見えづらかったり、掲示板の色分けされた連絡事項を見逃してしまったりと、無自覚に不自由な生活を強いられています。
また色覚異常を持つ6人に1人が、進学や就学時に色覚異常が判明し、進路を断念していることがわかりました。具体的に断念したケースとしてパイロット、美容師、看護師などが挙げられます。
そのようなことが起こらないよう、2016年からは任意の色覚検査が奨励されています。早いタイミングでの検査を、多くの親御さんにおすすめしたいです。