「子どもの円形脱毛症」早期治療・あせらず継続を「親ができること・してはいけないこと」[専門医が解説]

子どもの円形脱毛症#3 子どもの心と親のサポート

食事、早寝早起き、シャンプー…神経質にならないで

「大事なのはストレスを感じず、少しでも楽しく過ごせるようにすること」。そう話す齊藤先生が、円形脱毛症の治療にあたるなかで、いつも親に伝えるのが「必要以上に神経質にならないでください」という言葉です。

「たとえば、食事のバランスや早寝早起きの生活リズムを整えたりするのは、とても良いことです。でも、それを“こうしなきゃダメ”と頑張りすぎてしまうと、かえって疲れてしまいます。

シャンプーについてもよく聞かれますが、好きなものを使ってください。弱酸性、無添加など各メーカーさまざまにこだわりがありますが、いずれも円形脱毛症の原因である自己免疫疾患に働きかけるものではないからです」(齊藤先生)

過敏になるよりリラックスして楽しく過ごすことを心がけましょう。同時に、齋藤先生がもっとも伝えたいことは「抱え込まないこと」だと言います。

「お子さんの髪の毛が抜け始めて不安に思ったとき、まず“隠すこと”を考える親御さんも多いんです。でも、それよりも大切なのは、親だけで抱え込まずに、きちんと診断を受けて、適切な治療を始めること。

髪の毛が毎日どんどん伸びるわけではないように、脱毛症は治療を始めても風邪のように数日で治るものではありません。なかには繰り返し症状が出たり、長引いたりするケースもあります。

でも、一時的なものであることも多い。だからこそ、『ずっとこのままかも……』と悲観しすぎず、今できる治療や工夫を続けながら、少しずつ前に進みましょう」(齊藤先生)

病気の発見から診断、治療、そして子どもの心のケアにいたるまで、親として戸惑いや不安を感じる場面も少なくないでしょう。しかし、大切なのは、正しく理解をして、あせらず、抱え込まず、医師とともに必要なケアを進めていくこと。

子どもが安心して過ごせるように、気になることがあればまずは信頼できる医療機関に早めに相談してみてください。

取材・文/稲葉美映子

───◆─────◆───

●齊藤 典充(さいとう のりみつ)PROFILE
なごみ皮ふ科院長。医学博士。北里大学医学部卒業後、国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長、横浜労災病院皮膚科部長を経て現職。専門は、皮膚血管炎や血行障害、脱毛症。

連載は全3回 (※公開時よりリンク有効)

この記事の画像をもっと見る(全2枚)

前へ

3/3

次へ

18 件
さいとう のりみつ

齊藤 典充

Norimitsu Saito
なごみ皮ふ科院長

医学博士。北里大学医学部卒業後、 国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長、横浜労災病院皮膚科部長を経て現職。 皮膚血管炎や血行障害、 脱毛症を専門とし、臨床経験も豊富。医療的な治療だけでなく、患者や家族の不安に寄り添う姿勢を大切にしている。 ●なごみ皮ふ科(神奈川県海老名市)

医学博士。北里大学医学部卒業後、 国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長、横浜労災病院皮膚科部長を経て現職。 皮膚血管炎や血行障害、 脱毛症を専門とし、臨床経験も豊富。医療的な治療だけでなく、患者や家族の不安に寄り添う姿勢を大切にしている。 ●なごみ皮ふ科(神奈川県海老名市)

いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。