• #1
  • #最新

小泉悠が「教育をめぐる戦い」を目撃! ロシアの「洗脳」にウクライナは「アプリ」で対抗

東京大学准教授・小泉悠先生に聞く、戦中のウクライナの子どもの教育 #2 (2/4) 1ページ目に戻る

東京大学准教授:小泉 悠

キーウで見た日常 戦争の中でも続く「普通の生活」

すべての画像を見る(全9枚)

──この戦争が始まってすでに4年も経ちましたが、いまだに彼らの生活のあたり一面には戦争の影が暗くたちこめているのでしょうか? また、兵士や一般市民の方の亡くなっている数は、当初より減ったのでしょうか?

小泉悠先生(以下、小泉先生):残念ながら亡くなっている数はむしろ増えていて、前線では今も多くの兵士が命を落としています。一方で、いわゆる「銃後」と呼ばれる一般市民の被害は、第二次世界大戦中のドレスデン空襲や東京大空襲のように、街全体が破壊されて大量の市民が亡くなる、という形とは違っています。

占領地域や前線での戦闘による死者を除けば、一般市民が巻き込まれて亡くなる数は、月に100人台、多いときでも300人台くらいです。

小泉先生:今年(2026)4月、私は開戦後初めてキーウを訪れました。そのときの第一印象は、「思っていたよりも、ずっと戦争前と変わらない」でした。

もちろん、軍隊のポスターは街のあちこちにあり、そこには戦時中の国の雰囲気が漂っていましたが、飲食店やレストランは普通に営業している。街を歩いていると、「いったい何の戦争が起きているのだろう」と感じるほどでした。

とはいえ、この日常が前線で兵士が次々に亡くなっている現実と矛盾するという話ではありません。一見以前と変わりない生活を送りながらも、ウクライナの人々は「ここでみんなが耐えなければ前線が崩れ、国そのものがなくなってしまう」という大きなプレッシャーを感じています。

さらに突然ドローンが家に飛び込み、一家全員が亡くなるような悲劇も日常的に起きていて、多くの人が心を痛めています。ただ、それでも現状の被害だけで「ロシアに屈する」というほどの状況ではない。そうした状態が続いているのだと思います。

戦時下でも子どもたちに学びの機会を途切れさせない

40 件