- #1
- #最新

小泉悠が「教育をめぐる戦い」を目撃! ロシアの「洗脳」にウクライナは「アプリ」で対抗
東京大学准教授・小泉悠先生に聞く、戦中のウクライナの子どもの教育 #2 (4/4) 1ページ目に戻る
2026.08.11
東京大学准教授:小泉 悠
子どもたちをめぐるもう一つの戦い
小泉先生:もちろんウクライナも戦時下の国家ですから、同じように愛国教育は行われていると思います。ただ、大きく違う点があります。それは、ウクライナには現在、占領地域が存在しているということです。
ロシア側は占領地域の子どもたちを「サマーキャンプ」と称して各地へ連れていき、ロシア側の愛国教育のような活動を行っています。初期に連れていかれた子どもたちは、今も帰ることができていません。
いわゆる「ロシアによるウクライナ人児童の連れ去り問題」では、約2万人が認定されています。初期には、学校単位で子どもたちが連れていかれたケースもあります。
連れていかれた子どもたちの一部は、北朝鮮に送られ、ロシアと北朝鮮の友好を掲げた愛国キャンプのような活動に参加させられたり、北方領土に連れていかれたりした例もあります。
小泉先生:「洗脳」という言葉を使えば、ロシア側は反発するでしょう。しかし、実際に行われていることを見ると、価値観を一方的に植え付けるという意味では、洗脳と呼ばざるを得ない面があります。
そして、私たちの身近な話で言うと、まさに北方領土がそのような子どもたちを洗脳するサマーキャンプの場所として利用されているのです。この戦争は決してテレビの中の遠い国のことではないのです。
もちろん、占領地域のすべての子どもが連れていかれているわけではありません。多くの子どもたちは親と暮らし、地域の学校に通いながら生活しています。
しかし、今回ウクライナを訪れて改めて感じたのは、「誰が、誰に、どんな教育をするのか」という営み自体が、これほど生々しい戦いの場になっているということでした。
───◆───◆───
次回、最終回となる3回目では、世界中でさまざまな「思惑」や「正義」が錯綜するなか、子どもたちが事実と背景を見極める「世界の見方」をどう育めばよいのか。ひとりの親として模索する小泉先生とともに、親子で平和に向き合うための視点を考えます。
撮影/葛西亜理紗
取材・文/知野美紀子
小泉悠先生の連載は全3回。
1回目を読む。
3回目を読む。※2026年8月12日よりリンク有効
あわせて読みたい
【関連書籍】







































小泉 悠
東京大学先端科学技術研究センター(国際安全保障構想分野)准教授。 1982年千葉県生まれ。早稲田大学社会科学部、同大学院政治学研究科修了。政治学修士。民間企業勤務、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO)客員研究員、公益財団法人未来工学研究所客員研究員を経て、現在東京大学先端科学技術研究センター(国際安全保障構想分野)准教授。専門はロシアの軍事・安全保障。 主な著書に『現代戦争論 ――ロシア・ウクライナから考える世界の行方』『ウクライナ戦争』『現代ロシアの軍事戦略』(ともに筑摩書房)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(東京堂出版)で、サントリー学芸賞受賞。他に『オホーツク核要塞』(朝日新聞出版)、『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)など。
東京大学先端科学技術研究センター(国際安全保障構想分野)准教授。 1982年千葉県生まれ。早稲田大学社会科学部、同大学院政治学研究科修了。政治学修士。民間企業勤務、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO)客員研究員、公益財団法人未来工学研究所客員研究員を経て、現在東京大学先端科学技術研究センター(国際安全保障構想分野)准教授。専門はロシアの軍事・安全保障。 主な著書に『現代戦争論 ――ロシア・ウクライナから考える世界の行方』『ウクライナ戦争』『現代ロシアの軍事戦略』(ともに筑摩書房)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(東京堂出版)で、サントリー学芸賞受賞。他に『オホーツク核要塞』(朝日新聞出版)、『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)など。