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小泉悠が「教育をめぐる戦い」を目撃! ロシアの「洗脳」にウクライナは「アプリ」で対抗
東京大学准教授・小泉悠先生に聞く、戦中のウクライナの子どもの教育 #2 (3/4) 1ページ目に戻る
2026.08.11
東京大学准教授:小泉 悠
戦時下でも子どもたちに学びの機会を途切れさせない
──常に戦時下というプレッシャーがある中、ウクライナでは子どもの心の成長と、実際の学校教育にどのように取り組んでいるのでしょうか?
小泉先生:キーウを訪れた際、ウクライナのデジタル・トランスフォーメーション省(DX省)の方たちから、戦争の中でテクノロジーをどのように活用しているのか、話を聞きました。その一つが、「ムリヤ」という教育アプリです。「ムリヤ」とは、ウクライナ語で「夢」という意味。このアプリを使えば、空爆が続く状況でもオンライン授業を受けることができ、教科書もアプリから見ることができます。
特に印象に残ったのは、「これがあれば、占領地域にいる子どもたちも、ウクライナの教育を受け続けられる」という話でした。占領地域の学校では、当然ウクライナ語を使うことは認められず、ロシア側の価値観に基づいた教育が行われています。しかし家庭の中、おそらく人目を避けながらでしょうが「ムリヤ」を使えば、ウクライナの学校の授業を同時に受けることができるのです。
教育というのは、人間の価値観そのものをつくる営みです。誰が、誰に、どのような教育をするのか。それ自体が、実は大きな政治であり、ときには一種の力による支配にもなります。占領地域では、まさにその教育をめぐる戦いが起きているのです。
小泉先生:一方、ロシア側の教育を見ると、愛国心を強調し、軍事的な価値観を取り入れる方向が強まっています。もともとその傾向はありましたが、この戦争が始まってから、さらに強まった面があります。
停戦交渉にも参加していた元文化大臣で、現在はプーチン大統領の顧問的な立場にいるメジンスキーが、現在ロシアの公民の教科書、それも現代史を扱う部分の執筆者になっていることを見ても、愛国教育が強まっているのはわかるでしょう。
ロシアの大学には、以前から軍事教練の制度がありました。エリート大学では、男子学生が卒業までに予備役将校になる仕組みもあり、実はプーチン大統領自身もレニングラード大学時代に砲兵コースを修了していて、軍事的には砲兵出身です。
しかし、この戦争が始まってからは、大学に軍のリクルーターが訪れ、成績の悪い学生に対して、半ば圧力をかけるような形で軍への参加を促すことも起きているようです。































