子どもの入院付き添いの過酷な背景には小児科病棟の想像を超える人手不足があった
キープ・ママ・スマイリング理事長・光原ゆき氏に聞く「子どもの入院付き添いの実態」 #2 ~人手不足と医療制度の問題点~
2024.12.17
認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長:光原 ゆき
コロナ禍で軟禁状態に置かれたママたち
団体設立当初は、このような医療制度については全く知りませんでしたが、自分自身の子どもの付き添い入院経験から、少しでも付き添い環境を改善したいと思い、NPO法人を立ち上げて活動を続けてきました。
私が付き添い入院中に一番つらかったのは、温かく美味しい食事が食べられなかったことです。ですから、まずは付き添い入院のママとパパを食事の面から応援する活動からスタートしました。
少しずつ協力してくれる人たちも増えて、さらに活動を広げようとしていた矢先に、新型コロナウイルス感染症の流行が起こり、スタッフが集合することが難しくなってしまったのです。
コロナ禍で、ママやパパたちの付き添い入院はさらに大変になりました。保護者がいなければ子どものケアが回らないので、付き添い自体は多くの病院が継続しました。ところが感染を防ぐために、付き添う親は一切外出できなくなってしまったのです。
そのため付き添いのママたちは、病院内に軟禁状態とも言えるような厳しい状況になり、途中でパパやおばあちゃんたちと交代することもできなくなってしまうケースが出てきました。
そこで私たちは、付き添いのママやパパに必要な食べ物と生活用品を詰め合わせて無償で届ける「付き添い生活応援パック」の活動をスタートしました。病院から出ることができずに子どもに付き添っているママやパパに、少しでも役立ててほしいと思ったからです。
───◆───◆───
保育園では当然の年齢に応じたスタッフの配置が、病院では当たり前ではない──。そのような驚くべき事実を今回、改めて教えていただきました。
次回3回目では、ママやパパの声が国を動かしたこと。そして、これからの入院の付き添いが、どのように変わるのかを、引き続き光原さんに教えていただきます。
取材・文/横井かずえ
子どもの入院付き添い連載は全3回。
1回目を読む。
3回目を読む。
(※公開時よりリンク有効)
横井 かずえ
医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL: https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2
医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL: https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2
光原 ゆき
認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長 1996年一橋大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。メディアプロデュース、人事、ダイバーシティ推進業務に従事。先天性疾患を持つ娘を出産後、育児休暇中に亡くした経験から、2014年11月に現団体の設立、理事長に就任。 病児と家族の応援の輪を広げるため、企業や学校、イベントなどで講演も多数行っている。 東京大学医療政策人材養成講座(HSP)3期生、キャリアカウンセラー、認定ファンドレイザー。 キープ・ママ・スマイリング https://momsmile.jp/
認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長 1996年一橋大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。メディアプロデュース、人事、ダイバーシティ推進業務に従事。先天性疾患を持つ娘を出産後、育児休暇中に亡くした経験から、2014年11月に現団体の設立、理事長に就任。 病児と家族の応援の輪を広げるため、企業や学校、イベントなどで講演も多数行っている。 東京大学医療政策人材養成講座(HSP)3期生、キャリアカウンセラー、認定ファンドレイザー。 キープ・ママ・スマイリング https://momsmile.jp/