夢中で読める極上のミステリーファンタジー「カトリ」シリーズ すべての謎がついに解き明かされる!

選考委員・如月かずさが語るシリーズの魅力と「講談社児童文学新人賞」挑戦者に伝えたいこと

作家:如月 かずさ

すべての画像を見る(全7枚)

今年(2025年)で第66回を迎えることになった講談社児童文学新人賞。応募総数560件と、多彩な作品が集まり、現在一次選考中です。

第62回講談社児童文学新人賞(2021年)で佳作を受賞した『カトリと眠れる石の街』(著・東曜太郎)はシリーズになり、25年4月に第3作『カトリと夜の底の主』を発売しました。当時から今まで選考委員を務めている如月かずさ氏に、1作目である応募原稿とはじめて読んだときの印象を振り返りながら、「カトリ」シリーズの魅力について教えていただきました。

選考委員という立場を忘れてしまった応募作〔如月かずさ〕

第62回講談社児童文学新人賞を受賞した、東曜太郎さんの『カトリと眠れる石の街』は、私が同賞の選考委員を務めることになった最初の年に、熱烈に賞に推した作品です。

19世紀後半のスコットランドはエディンバラを舞台に、対照的なふたりの少女・カトリとリズが、街にはびこる不気味な病の謎を解き明かす冒険物語。単行本の帯によせたコメントにも書きましたが、私は最終選考に残ったこの作品を、選考委員という立場も忘れて夢中で読みました

この作者がデビューしたら、次々に素晴らしい作品を書いてくれるに違いない。はじめて応募原稿を読んだときからそう思っていましたが、最新作『カトリと夜の底の主』を読み終えて、その予感は正しかったと、改めて強く感じています。

『カトリと眠れる石の街』
著/東曜太郎、イラスト/まくらくらま

前作『カトリと霧の国の遺産』の不穏なラストから待つこと1年半、満を持して発売されたシリーズ第3作『カトリと夜の底の主』は、これまでの事件をめぐる謎がすべて解き明かされる、エディンバラ編の完結作です。

『カトリと眠れる石の街』の「眠り病」事件と、『カトリと霧の国の遺産』の「霧の国」事件。このふたつの事件に共通の黒幕がいることに気づいたリズは、容疑者としてもっとも怪しい「マッセルバラの教区牧師」のことを調べようとしています。

一方、博物館で働くカトリは、資料室で古い手記と天体図を見つけ、それらについてのレポートを書くことになります。天体図の出所は偶然にも、リズが訪れようとしていたマッセルバラ。カトリはリズといっしょに、そのひなびた海辺の町に調査に向かいます。

町の子どもたちのあいだでは降霊術のような遊びが伝わり、町民は特定の話題に触れた途端、なにかに憑りつかれたように異様な反応を示すなど、奇妙な現象が起こります。調査を進めるうちに、カトリとリズは手記に書かれた昔話と、事件の黒幕につながりがあることに気づき、思いがけない手段で黒幕に接近しようとするのですが……。

『カトリと夜の底の主』
著/東曜太郎、イラスト/まくらくらま

前作の事件を経て成長したカトリ、超常の力に惹かれるリズ、そして事件の黒幕の目的とこの世界にまつわる大きな秘密。

見所満載で語られる第1期完結編は、高まりきった期待を裏切ることはありません。物語後半の怒濤の展開と衝撃的な結末に心をわしづかみにされ、第2期の幕開けが待ち遠しくなるでしょう。

何度も読める「カトリ」シリーズ 魅力の源泉に迫る!

前へ

1/2

次へ

27 件