
【ハチ対策】遭遇しても「手で払う」のは逆効果! 国立科学博物館の研究者が教える「正しい身の守り方」
特別展『いきもの超ワールド展』監修 井手竜也さんインタビュー #1
2026.09.04
©️国立科学博物館
夏から秋にかけては、アウトドアを楽しむ機会が増加。自然豊かな場所で気になるのが、虫への対策です。
とくに“刺す”ことで知られるハチに対して、私たちはどのように気を付ければいいのでしょうか。
国立科学博物館 動物研究部のハチ研究者で、特別展『いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!』では虫パートの監修も担当した井手竜也先生に、ハチの知られざる生態や巣の特徴、気を付けるといいポイントなどについてお話を聞きました。

働きバチは全員メス!? 意外と知らない身近なハチの生態
長崎県出身。国立科学博物館動物研究部 陸生無脊椎動物研究グループ 研究主幹。九州大学にて博士(理学)を取得後、森林総合研究所などを経て2017年より現職。専門はタマバチ科の分類および生態に関する研究。これまでに国立科学博物館が主催した特別展『昆虫』『毒』『昆虫MANIAC』などの監修に携わっている。著書に『昆虫学者の目のツケドコロ』(ベレ出版)、『ずかん ハチのおしごと』(技術評論社)などがある。
──私たちの暮らしの中でよく見かける代表的な昆虫といえば、ハチ。ミツバチ、クマバチ、スズメバチ、アシナガバチなどが有名ですが、その生態を詳しく知らないという人も多いと思います。そこで、彼らについての豆知識を教えてください!
井手竜也先生(以下、井手先生):蜂蜜をつくることで有名なミツバチですが、日本にはセイヨウミツバチとニホンミツバチの2種類しか見られません(※日本にいるミツバチ科ミツバチ属は、この2種類のみ)。
ミツバチの巣には女王バチ1匹とたくさんの働きバチが暮らしていて、働きバチはすべてメスです。女王バチは卵を産むのが仕事で、若い働きバチは、女王バチが産んだ幼虫の世話や巣の管理をします。
ベテランの働きバチは巣の外に出て花の蜜や花粉を集め、ほかの働きバチや幼虫たちのために巣に持ち帰るなどの仕事を行います。
クマバチは体や羽音が大きくて怖がられることも多いのですが、基本的には温厚な性格なので、驚かせなければ大丈夫です。胸部分に黄色の柔らかい毛が密生しており、足にはブラシのような毛が生えています。
ちなみにミツバチやマルハナバチなども、同じように胸部分や足に細かな毛が生えています。クマバチはミツバチのように大きな集団で生活することはなく、木に穴を開けて巣を作り、基本的には単独で生活します。
ミツバチ、マルハナバチ、クマバチはすべて、ミツバチ科に属しています。スズメバチとアシナガバチは、スズメバチ科です。
スズメバチの武器は毒針じゃない?
井手先生:スズメバチというと毒針のイメージが強いかもしれませんが、実は彼らの獲物は昆虫やクモなどで、それらを捕らえるためによく使われる武器が、鋭く大きく発達した大あごです。
捕らえた獲物を大あごを使ってかみ砕き、不要な部分は切り捨てて、あしで支えながら丸め、肉団子を作ります。これを巣に持ちかえり、自分と同じ女王から生まれた幼虫に食べさせるのです。では成虫は何を食べるのかというと、樹液や果物の汁、花の蜜などです。幼虫や成虫から栄養を分け与えてもらうこともあります。
ミツバチは花粉を集め、スズメバチは他の昆虫を捕まえるという違いはありますが、どちらも基本的には幼虫の餌のために使うという共通項が面白いところですね。
スズメバチと同様、毒針のイメージがあるアシナガバチは、スズメバチに比べてやや細身の体つき。彼らも巣を守るためとなれば攻撃的になりますが、基本的にはおとなしい性質です。
スズメバチほどあごの力が強くないので、毛虫や芋虫など柔らかい昆虫を中心に狩り、肉団子にして巣に持ち帰って幼虫に食べさせます。ミツバチやスズメバチと同様、群れで生活するハチです。
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