認可保育園の入園申し込み期間は、10月~12月が一般的。来年度の保育園入園を目指している家庭にとっては、秋は本格的に保活に取り組むシーズンです。
そんななか、保育園ママたちを悩ませている「使用済みおむつ持ち帰り」の問題があるのを知っていましたか?
今回は、2021年6月からこの問題に全国規模で取り組む、「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」にインタビューを敢行。
保育園選びをしているママパパも、持ち帰り問題に悩んでいるママパパも、今一度きちんと知っておきたい「保育園の持ち帰りおむつ」の現状と、保護者・保育者どちらにとっても持続可能なおむつとの関わりを考えます。
※全4回の1回目。
約6人に1人が使用済みおむつを持ち帰り
コクリコでは今回、「AnyMaMa(エニママ)」(※)登録者で、保育園に子どもを通わせている保護者たちを対象に、おむつに関するアンケートを実施しました。
※「AnyMaMa(エニママ)」は、株式会社アンダースタンドが運営しているママの社会復帰を支援するサービスです。このアンケートは、「AnyMaMa(エニママ)」登録者を対象に2022年7月25日~2022年8月4日インターネット上で実施。有効回答数は73件。
すると、全体の約17%(13/73人)が、「保育園におむつを持参し、使用済みおむつを持ち帰っている」と回答。この調査では、約6人に1人が使用済みのおむつを家庭に持ち帰っていることになります。
一体なぜ、使い終わったおむつを家に持ち帰らなければいけないのでしょうか。
「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」は、大阪に本社を置くBABY JOB(ベビージョブ)株式会社が主となって運営している団体です。
同社マーケティング部の東(あずま)ネネさんは、「多角的に子育てサポート事業を行っていくなかで、保育園から使用済みおむつを持ち帰らなければいけない保護者がいるという実情に気がついた」と言います。
全国規模の調査から見えてきた実態
「保護者は、登園時に記名したおむつを持参し、保育者に渡します。保育時間に交換した使用済みのおむつは、保育者が園児ごとに管理し、降園時にまた保護者が持ち帰ります」(東さん)
使用済みおむつ持ち帰りについては、園ごとのルール。そのため、この「使用済みおむつの持ち帰り」は今まで、保育の中の課題として大きく取り上げられてこなかったのが現状でした。
「まずは、このおむつ持ち帰りの実態が全国どれだけの保育園で行われていることなのかを調べることにしました」(東さん)
同会は、2021年4月、関東4県と関西4県の約360自治体に独自でアンケート調査を開始。その後も、全国の公立保育園を有する1400超の自治体に対して、独自の電話調査を続けます。
「全国的なデータが集まったことで、自治体ごとの対応の違いが可視化されました。私たちの調査では、全国自治体の39パーセントが、使用済みおむつの持ち帰りをしていることが明らかになったのです」(東さん)
保護者と保育者 持ち帰りは双方の負担に
多くの保護者と保育者が、おむつの持ち帰りを負担に感じていることは、同会がTwitterの「#おむつ持ち帰り問題」で集めている声から分かります。
「保護者からの声でもっとも多いのが、衛生面での不安です。重いし、臭いし、汚いし……。使用済みおむつって不衛生で、あまり気持ちの良いものではないですよね。
『子どもをお迎えしたあと買い物をして帰りたいけれど、うんちやおしっこの入ったおむつを持っているから行きづらい』なんて声もあります」(東さん)
ほかにも、「公共の交通機関で帰宅するので臭いが気になる」、「きょうだいで通園させているので、おむつも2倍の量で重いしかさばる」など、保護者の負担は明らかです。
さらに、使用済みおむつの管理をし、保護者に持ち帰ってもらう側の保育園も大変です。
「保育者たちは、持って帰ってもらうためにそれぞれのゴミ箱やビニール袋の中に使用済みおむつを入れるのですが、その仕分けに時間と手間がかかるのです」(東さん)
特に入園児が多い4月は、おむつ交換で赤ちゃんとおむつの名前が一致せず、保育者たちの混乱は必至だと言います。
「どんなに気をつけていても、おむつを入れ間違ってしまうことがある。使用済みおむつ管理に時間と手間がかかり、本来子どもにかけるべき時間や労力を割かれてしまっているのです」(東さん)