
夏のクマは特に注意!! キャンプで子どもを守る「遊び場選び」と「必携クマ対策グッズ」とは[専門家が解説]
#1 夏の子連れレジャーの“クマ”対策「準備編」岩手大学農学部 山内貴義准教授インタビュー (2/3) 1ページ目に戻る
2026.08.02
岩手大学農学部准教授:山内 貴義
山の食べ物が減る8月は受難のとき
猛暑が続く夏は涼を求めて、キャンプや川遊び、ハイキングといった山間部へ家族で出かけたくなる季節です。しかし、私たちが何気なく楽しんでいるその裏で、夏のレジャーエリアは“最悪の条件”が重なる場所にもなり得ます。
まず、出かける前に確認するべきなのが、目的地周辺のクマ情報です。自治体のホームページやクマ出没マップなどで、最近の出没情報を確認すること。目的地周辺で出没が相次いでいる場合は、場所やタイミングを変更することも検討してください。
なぜなら夏は、クマの行動が活発になる季節だからです。そこには生態に関わる理由があります。
「6~7月の繁殖期は、雄グマが、雌グマを探して広範囲を移動します。この時期に、もっとも警戒すべきなのが『子連れの母グマ』です。
雄グマには、自分の子孫を残すために血縁のない子グマを排除して、母グマを再び発情させようとする習性があります。そのため、子育て中の母グマは周囲への警戒心がいっそう強くなり、我が子を守ろうとして、人間を脅威と判断すると攻撃してくることがあります」(山内准教授)
さらに8月のクマは、空腹状態にあります。
「8月は、葉が硬くなるなど山の食べ物が減るため、常に腹を空かせた彼らは、エサを求めてより広い範囲を動き回るようになります。トウモロコシやスイカなど、農作物の被害が増えるのもこの時期ですね」(山内准教授)
そこへ格好の相手として現れるのが、食材やお菓子、ゴミを無防備に放置するレジャー客です。
キャンプのNG お菓子やゴミの放置がクマを呼ぶ
「エサを必死に探しているクマにとって、食材やゴミの匂いは強烈な誘惑です。管理をおこたる人間の油断が、クマを呼び寄せる最大の原因になります」(山内准教授)
クマは、遠くからでも匂いを嗅ぎ分ける優れた嗅覚と、食べ物への強い執着心を持つ動物。いったん「エサのある場所」と認識すると、繰り返し同じ場所へ現れるようになります。だからこそ徹底したいのは、「匂い」の対策です。
キャンプなどで親が無意識にやりがちなのが、お菓子やジュースを出しっぱなしにすること。たとえ中身が空であっても、匂いでクマを引き寄せます。
「お菓子を含む食材、ゴミなどは、匂いが外に漏れないよう、密閉性の高いプラスチック袋などに入れて外に放置しないことです。テントや車内に保管するか、施設のゴミ箱を利用してください。食料やゴミ、使用済みの食器類を外にそのままにして就寝することは厳禁です」(山内准教授)
アメリカの国立公園などでは、丈夫で匂いの漏れない耐クマ容器「ベアキャニスター」を使用し、さらにクマの手が届かないよう木の高い場所に吊るすなどして保管するのが一般的です。日本でも近年、頑丈な「フードロッカー(専用食糧庫)」を設置するアウトドア施設が増えています。こうした施設を積極的に選びましょう。
また、意外な落とし穴も。
「クマは揮発性(きはつせい)の物質が大好きなんです。香水やアロマオイルなど人工的な強い香りにも興味を示すことがある。ハチやアブなどの虫も引き寄せるため、山での使用はおすすめしません」(山内准教授)
子どもがうるさいと逃げていく?
匂い対策を徹底したら、次に重要なのは「どこで遊ぶか」。クマと遭遇しにくい遊び場を選ぶことも、家族を守る大切な備えになります。
キャンプ場やバーベキュー場などアウトドア施設を利用する際は、管理者による対策、例えば「電気柵」の設置や、見通しをよくするための「草刈り」、「定期的な見回り」などがされているかをチェックしましょう。
「実際、クマが多数出没しているエリアでも、安全管理が行き届いたキャンプ場では被害はほとんど起きていません。
近くまで来てはいるようですが、適切に人の手で管理された領域であれば、クマは基本的に人間を嫌がって近づかないのです。また、川沿いはクマの通り道になりやすいため避けるのが賢明です」(山内准教授)
クマ対策の本質は「ここに人間がいる」ということをクマに正しく認知させ、クマから自発的に避けてもらうことにあります。その意味では、「静かにしなさい!」と注意したくなるような子どものうるささも、必ずしもマイナスではありません。
「クマは本来、臆病な動物です。実際、子どもの被害が比較的少ないのは、よく声を出していることも一因かもしれません」(山内准教授)


































