中・高・大学 受験経験者の親がハマる落とし穴
「小受では、“小1プロブレム”対策ができているかどうかも見られます。
“小1プロブレム”とは、黙って授業が受けられない、集団行動が取れない、授業中の立ち歩きなどのことを指します。試験の際に、“我が子にはその心配はありません”ということを、学校側に示さなければいけないのです。
テスト中の姿勢や指示理解力だけでなく、近年、重要視されているのが論理的思考力の有無です。たとえば先生が“静かにしてください”と言ったら、“なぜ静かにしなければいけないのか”を考え、理解し、実行しなくてはいけないからです。
幼少期から小学校入学にかけての子どもは、直感的思考から理論的思考への移行時期になります。簡単にいえば、直感的思考だと“失敗して終わり”ですが、理論的思考になると、“失敗の原因”や“失敗したあとの対策”を考えられるようになります。
小学校以降は、“なぜそうなるのか”や“どういう仕組みか”を学ぶことが多く、意味を理解した上での思考力を求められるため、日々の生活の中から目の前にある事象の意味や意図を親が説明し、理解させる必要があります。
近年では面接でマナーや約束などを深掘りし、子どもに質問をする学校が増えています。このことからも、近い将来、ひとりで行動するようになることを見据えて説明する必要があると考えます」(宮澤先生)
その上で、多くの家庭で陥りがちな「学力受験の経験値を活かす指導は厳禁だ」と宮澤先生は続けます。
「中・高・大と受験を経験した親御さんは、その成功体験を小学校受験に踏襲しようと考えがちです。しかし、小受は試験範囲が決められたテストのようにはいきません。
言語の発達と理論的な思考力、他者との協調の3点を、総合的に理解しバランスよく成長しているかどうかが問われるからです」(宮澤先生)
志望校に特化した準備を行う期間も異なります。中学校受験などでは約半年前から過去問題に取り組むことが推奨されますが、小学校受験においての志望校対策は受験直前になります。
「志望校に特化した対策は、正直、受験前の最後の1〜2ヵ月で十分です。志望校を決定するのは、極論、半年前でも問題ありません。ただ、学校見学の日程が被る学校もあるので、早い段階から受験を考えているなら、年中時に見学を申し込んでおくといいでしょう」(宮澤先生)
家での過ごし方は家族も要注意!
受験準備期間中の“家での過ごし方”は、“親子面接”に直結します。小学校受験を経験した筆者の息子が通っていた塾では、「家での過ごし方に注意しましょう」と繰り返し言われていました。
家で親や兄姉が「ヤバい」と言えば、子どもは真似をして、受験時の面接でその言葉を口にします。また、休日にゴロゴロしている父親の姿を見ている子どもは、「お休みの日にお父様は何をしていますか?」と試験官に問われて、「ゴロゴロしています」と答えることもあるでしょう。
つまり、受験が終わるまで、親は子どもの前では片時も気を抜けません。
「受験は長くても1年半、だいたいは1年で終わります。この限られた期間で大切なのは、親が受験を乗り切る覚悟を持つことです。
親御さん自身の軸がぶれると、子どもも振り回されてしまいます。小学校受験を考えているのなら、親である自分の生活を律し、“嫌なことも辛いことも、諦めずに一緒にやろう”という確固たる決意を固めてください」(宮澤先生)
家の中でも気が抜けないのでは、親も子どもも互いにピリピリします。筆者が通っていた塾では、試験前の夏ごろから「チック症」を発症する子が急増しました。
「お子さんのチック症に気づいても、絶対に指摘しないでください。その癖を治そうとすればするほど、余計ひどくなります」(宮澤先生)
周囲が気づかないフリをして、普通に接することが一番の治療法です。試験までになんとかしたいと考えがちですが、「仕方がないこと」と割り切り、自然に軽減・治癒するのを待ちましょう。

































