良い意味か悪い意味かわからない「ヤバイ」
「自分の気持ちをいえない」「いつも黙っている」「質問しても答えない」とわが子の様子を見て、「このままでうちの子は大丈夫かしら……」と心配になる親御さんは多いものです。山口先生は、次のように話します。
「気持ちや状況を言葉にする力が育てば、内容を詳しく具体的にすることができて、自分の意見をしっかりと人に伝えられるようになります。すると、コミュニケーションが円滑になり、友だちとの誤解やトラブルが減って、学校や家庭生活がグッと楽しくなります。
たとえば、『ヤバイ』という言葉は、危険だ・まずい状況だ・カッコ悪い、という本来の否定的な意味から、楽しい・おいしい・カッコイイという肯定的な意味でも使われるようになりました。
確かに『ヤバイ』は非常に便利な言葉ですが、頼りすぎるのは要注意です。
なぜなら、『ヤバイ』のような否定と肯定の両方の意味で使われる言葉は、話の流れ・話し手の表情や声のトーン・ジェスチャーなどから、どちらの意味かを推測する必要があるからです。相手の受け取り方次第で、意味が変わってしまう恐れがあるので、誤解や誤認の原因になります。
どちらとも取れるあいまいな表現を繰り返すと、自分の気持ちを整理して感情を処理することができなくなっていきます。やがて自分の気持ちを言葉にするのが面倒になり、次第に自分がどう感じているのかさえ、わからなくなってしまうのです。
つまり、言語化力が低いと、友だちや先生とのコミュニケーションにも悪影響が出てきてしまうのです」(山口先生)
子ども同士のトラブルは、「なんでそんなことで」と思うような、ささいなすれ違いが原因になっていることが少なくありません。これは、SNSのチャットに見られる、単語やスタンプだけの言葉足らずの浅いやりとりと同様に、受け取る意味の判断を相手に任せた結果といえるでしょう。
使える言葉が伸びる土台は「家庭での会話」にあり
言葉にする力は、「とにかく話して表現することで伸びていく」と山口先生は続けます。
「言葉にして伝えるのは『アウトプット』、情報を仕入れるのは『インプット』といいます。アウトプットの前には、新しい単語を覚えたり、表現する語彙を増やしたりして、『この気持ちはこんなふうにいえる』などのインプットが必要です。
しかし、脳に情報を入れただけでは本当の意味でのインプットにはなりません。せっかく得た情報も、活用しなければ時間とともに薄れてしまいます。
脳に入れた情報を誰かに話す、書く、教えるなどのアウトプットをセットで行うことで、はじめて言葉は脳に定着して使えるようになります。それを繰り返していくうちに、覚えた言葉が自分の血となり肉となり、使える言葉の数が増えていくのです。
言語化力を伸ばしたければ、どんどんお子さんに話してもらい、自分の気持ちを具体的に伝えていく楽しさを体験させてあげましょう」(山口先生)
言葉の数を増やしていくのには、楽しみながらできるゲームがあります。それについては第2回で詳しくお伝えします。



































