子どもが自分から話したくなる環境
子どもが自分の気持ちをアウトプットしていく練習は、学校や友だちの前では恥ずかしくても、家庭でなら安心してできます。これが子どもの言語化力を伸ばす近道です。
「たとえその場に合った言葉でなくても、いったことを茶化したり否定したりしてはいけません。そんな経験をしたお子さんは『どうせ否定されるからいってもムダ』『話しても良いことがない』と学習し、次からは話すのをやめてしまうかもしれません。
間違っていても良いし、うまくいえなくても良いのです。とにかく話してもらって、受け入れることが大切です。お子さんがうまくいえないときは、親御さんのほうから質問して頭の中にある言葉を引き出してあげましょう。
お子さんが一つでも気持ちや考えを伝えてくれたら、言語化力を伸ばすチャンスです。
話を聞くときは、良いか悪いか、正しいか間違っているかというジャッジをせず、『そう思ったんだね』と受け止めて、『おもしろい考えだね』といったポジティブな言葉を返してあげてください。
何か聞き返す場合もイエスかノーで答えられる質問だけではなく、お子さんが自由に答えられる質問もするように心がけます。
お子さんとのやりとりは、親の質問力や対応力も試されます。いつも同じ言葉しか返さないと、お子さんに『ちゃんと聞いてくれていない』と思われてしまうことがあります。
普段から質問やポジティブな声かけのバリエーションを増やしておくことをオススメします」(山口先生)
「正解をいわなきゃ」と自分の気持ちに蓋をして良い子を演じ、心のブレーキをかけることのないよう、子どもを全肯定して受け止めていきましょう。
話を聞くときの態度や表情も立派な会話
会話で相手に伝わる情報は、言葉そのものよりも「見た目」や「声のトーン」が9割以上といわれています。
「忙しいときに目を合わさずに返事をしたり、時間がないとイライラしながらしかめっ面で返答したりすると、相手にも不機嫌さが伝わります。同じ『そうなんだ』でも、うなずきながら笑顔でいうのと無表情でいうのとでは、伝わり方がまったく違うのです。
こうした非言語の情報は意外にも影響が大きいので、『あなたの話を聞いているよ』という気持ちを、表情でも伝えてあげてください」(山口先生)
子どもにバツが悪い質問をされたときの対応
子どもから質問を受けたときには、すぐに答えをいわないことも大切です。
正解をいち早く教えてあげたいと思うのは親心です。しかし、聞いてすぐに答えが返ってくれば、子どもは自分の頭で考えて言葉にする機会を奪われてしまいます。
「どうして」と自然に湧いてきた疑問に対して、子ども自身が仮説を立てて確かめていくことも、思考力・言語化力を伸ばすトレーニングになります。
「たとえば、『どうして大人はスマホを見るのに私はダメなの?』と聞かれた際に、『大人はいいの、それより宿題はやったの?』などと、はぐらかしたり逃げたりするのは良くありません。
大人でも回答に詰まる質問はあります。そんなときは『どうしてダメだと思う?』と聞き返し、お子さん自身が持つ考えを言葉にさせてみましょう。
もし『目が悪くなるからかな』と自分なりの考えをお子さんがいってくれたら、『いいところに気づいたね』などと褒めてあげてください。
その上で、『脳が成長段階にある子どもがスマホを使うと、脳の発達が遅れちゃうんだよ』などと、本当に伝えたいことを教えてあげてください」(山口先生)
親が先回りして最初から答え(正論)をいえば、会話は一瞬で終わります。しかし、子どもは単に答えが欲しいだけではないこともあります。親御さんとの会話の中で愛情を確かめ、言葉や考え方をも吸収しているのです。
子どもなりの論理的思考や想像力を奪わないよう、まずはわが子に自由に話させます。そのあと親子で一緒に考える時間こそが、子どもの考える力と心を育ててくれるでしょう。
取材・文/石牟礼ともよ
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◆山口 拓朗(やまぐち たくろう)
伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を経て独立。29年間で3800件以上の取材・執筆歴がある。現在は文章の書き方や伝え方など言語化やアウトプットの分野で、実践的なノウハウをセミナーやメディアを通して提供。NHK「あさイチ」ほかメディア出演多数。著書は『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)など、国内外で60冊以上がある。
AI時代に差がつく「一生モノの言語化力」の育て方の連載は、全3回。
第2回「言葉が増えるゲーム」を読む。6月3日よりリンク有効
第3回「言語化力の育て方」を読む。6月4日よりリンク有効





































