今の中学校は昔と違う! 思春期の子どもに困惑する親たちにカリスマ塾講師が助言

思春期の子どもの態度に困惑! 中学を見据えた子育て#2

親にべったりだった小学生時代とは違って、中学生になると親とは物理的にも精神的にも距離をとり始めます。それは正常な成長です。写真:アフロ

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小学生から中学生へ。子どもは大人の思考へと自らを進化させていきますが、親の中にはその接し方をいつまでも変えず、子ども扱いを続けている方がいます。

また思春期の心の動きに対しても、我が子であることと、自分も通ってきた道であることから楽観視している方もいるでしょう。

しかし、現代の子どもの置かれている状況は親世代が過ごしてきた時代とは違います。特に中学生時代は、親は自分が経験してきたことに照らし合わせてしまうと子育てに行き詰まることも出てきます。

大手学習塾で多くの小中学生を指導しつつ、その保護者に向けて子どもの育て方や接し方をアドバイスしている大塚剛史先生に、現代の思春期の育て方をアドバイスしていただきます(全3回の2回目。#1を読む)。

我が子の態度が変わったとき親はどうすればいい?

小学生時代は学校や友達のことをなんでも親に話してくれましたが、中学に入ると次第に関係が薄まってきます。

親が「今日は学校で何をしてきたの?」「どんな勉強をしているの?」と問いかけても、「別に」「フツー」と素っ気ない言葉が返ってくることもあるでしょう。

子育ての中でも思春期という時期は、親の接し方次第で距離が縮まったり、離れたりします。ここからは子どもが多感な時期を迎えたときに親が対応に困るケースについて、大塚先生がアドバイスします。

学校に行きたくないと子どもから言われたときの対処法とは?

シリーズ第1回目(#1を読む)でも解説しましたが、思春期を迎えたら親は子どものサポーターとなり、その行動に対して「褒める」「認める」「受け入れる」ことを心がけてください。

ですから、高学年以降で学校に行きたくないと言われた場合もまずは行きたくない気持ちを受け止めることが大切です。「子どもは学校に行くのが仕事!」なんて圧力をかけて、理由を聞かずに無理に行かせようとするのはNGです。

思春期の子どもが登校したがらない理由の多くは、友達関係の小さなトラブルです。LINEのグループから外されていたから友達と会いにくいとか、冗談の延長で馬鹿にされたとか些細な出来事です。

暴力や一方的な嫌がらせを受けているのであれば学校への相談とその介入が必要ですが、子どもの話を聞いて本人が解決できそうなことは基本的に本人に任せましょう。

あるいは子どもから見て斜めの関係にあたるコーチ(#1を読む)に子どもを預け、話を打ち明けられる場とアドバイスを受ける機会を設けるのも手です。

私の教え子に小学5年生~中学2年生まで不登校だった子がいました。入塾したときにその理由を尋ねたところ、子ども同士のちょっとしたトラブルに親が介入したことがきっかけで学校に行きづらくなったと話してくれました。

親御さんは多少、過干渉気味だったので、コーチである私が親と子どもの間に入ることで距離を作ることにしました。高校に行きたいという明確な目標を持った子であったので、指導と本人のやる気が功を奏して無事に高校受験もパスし、問題を解決したことがあります。

軽視できないいじめに関しては別ですが、思春期になったら親が前に出るよりも、子どもが主体となるような接し方が重要です。

親との会話が少なくなるのが心配……

親との会話が少なくなる……、これはズバリ正常な成長です。塾に来ている中学生を見ていても、親と話をすることが照れくさいとかカッコ悪いなんて感じて、どの子も基本的に親とは距離をおこうとします。

しかし気恥ずかしさの裏では、自分の中でさまざまな出来事を咀嚼していますので、どうか物事を考えるようになったと受け止めてあげてください。

それでも思春期の子どもとコミュニケーションを図りたいのなら、幼かったときと同じ質問をするのはNGです。「今日、学校はどうだった?」「何を勉強してきたの?」など、小学校中学年以下と変わらない会話をしないことです。そんな質問をしても「別に」「またその会話か」と素っ気ない態度をとられるのがオチです。

思考が成長していくと、子どもは仕事や人間関係、恋愛など、社会で起こっているリアルな会話を求め始めます。それは自分が大人になる際に必要な知識だと本人たちが感じているからです。

私は以前、中学生にどんな話を大人に聞いてみたいか? というアンケートをとったことがあるのですが、お金と恋愛の話がダントツでした。

アンケートを受けて私が子どもたちに「君に家族があって家を借りて住もうと思ったら、ひと月どのくらい生活費がかかると思う?」と質問をしたところ、「8万円あれば生活できると思う!」という返答がありました。

「都心で家族住まいなら、その金額じゃ家賃にもならないよ!」と返したら、食費や学費、給料のことまで次々に話題が広がり、会話が大いに盛り上がったという経験があります。

子どもたちは親が思っている以上に、現実の生活や自分たちの現状を知りたがっています。ネットにはさまざまな情報が溢れていますが、親との会話のほうがリアルです。

思春期になると親子の会話が減っていくのは正常ですが、大人になるための知識については子どもたちは食いついてきます。会話も子ども扱いしないことがポイントです。

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