今の中学校は昔と違う! 思春期の子どもに困惑する親たちにカリスマ塾講師が助言

思春期の子どもの態度に困惑! 中学を見据えた子育て#2

成長するにつれて一人でいることが多いような……友達が少なくなったらどうする?

思春期の時代に出会った友達は一生の友達ともいえます。だからこそ、一人でいることが多くなった我が子を見ると親としては心配です。

友達が少なくなったら、親ができることはある?

コロナ禍となってメディアでは友達ができないと悩んでいる若者のニュースが流れました。しかし、中高生に関してはそこまで深刻ではありません。

個人的には大学生や新社会人など、まったく見知らぬ土地に転地したり、身分も人間関係もガラリと変わったりした方のケースだと感じています。

ではなぜ、親が思春期の子どもの友達関係を急に不安に思うのでしょうか。それは目に見える交流が少なくなるからです。

幼いころは自宅や友達の家を行ったり来たりするほか、外で集団で遊んだりして子どもの友達関係が見えたことも多かったでしょう。しかし、思春期を迎えるといろいろな意味で行動範囲が広がり、リアルな世界だけが交流の場ではなくなります。

LINEをはじめ、ゲームのチャットに参加するとそこにはいつものメンバーがいて、オンラインの世界で深く語り合っていることがあります。

ネット社会になったことでコミュニティーが多岐にわたり、かついくつかの小さな集団に参加していることもあります。

今の子どもたちは、分散している小さなコミュニティー内だけで分かり合っていればいいという感覚を持っています。親御さんは学校やクラス単位でリアルにつながっていないと不安に感じるかもしれませんが、オンライン上も交流の場と受け止めましょう。

また、リアルな友達じゃないとコミュニケーションが不得意になるのでは? と心配する親御さんもいますが、子どもはその世界でさまざまな情報を得て思考を深めています。

親世代はここでも、今の子どもの感覚にアップデートする必要があります。

親の目の前で友達遊びをしなくなったから、友達が少ないというわけではありません。写真:アフロ

すべてに「ダルい」と言う子になったら?

何をするにも面倒になって、中学では無気力になる子もいます。そういったとき私は、「ネガティブな言葉を使うと、そういう人間になってしまうぞ!」と伝えて、まずは言葉自体を使うのを禁止します。

「ダルい」という言葉を口に出したところで、ダルさが解消されるわけではありませんし、言葉に引っ張られることがあるからです。

では、どうしたら無気力な子どもにやる気を持たせてあげられるのか。それは熱中することを見つけてあげることです。

ただし、親が「○○してみたら」「△△してみたら」と口やかましく言うと思春期の子どもは天邪鬼な行動をとりかねませんから、コーチ(#1を読む)を使うといいでしょう。

スポーツでも音楽でも、創作でも、子どもが興味を持ちそうなものをコーチから聞き出してもらったり、活動を促してもらったりするのです。

また、熱中するものができたら親はそれを簡単には奪わないことが大切です。熱中するものを過去に奪われたから、子どもが無気力になった可能性もあるからです。

子どものやる気は夢中になれる体験から育っていきますから、「好き」を増やして集中力を高めてあげましょう。

やるべきことから目を逸らしているときに子どもの意欲を高める方法

「これはある中学生のエピソードです。その子は地理が苦手で、どうしても興味が持てず成績も芳しくありませんでした。これを知ったお父さんは、家族旅行がてら名所を巡り、その土地の文化などを子どもにさりげなく教えて、地理への関心作りをしました。

その子は旅行がとても面白く、ほかの土地にも興味が湧いたからもっと地理を勉強してみようかなと思う、と私に話してくれたのです。『いいお父さんじゃ~ん』と伝えたら、『ん、まぁ』と素直じゃない返答がありましたが、きっかけ作りとしては成功したといえます」(大塚先生)

勉強など、やらなければならないと子ども本人がわかっておきながらも目を逸らしていることがあるなら、親が行動で興味が持てるようにサポートしてあげるという方法もあります。

これを大塚先生は「親の背中を見せる」と表現しますが、多感な思春期はガミガミ指示を出したり、ストレートな言葉を使ったりするよりも有効に働きます。

また、「親が何かに熱中するなど、自身の生活を楽しんでいる姿」を見せることも大切だそう。親の集中している姿が、子どもの興味と意欲を搔き立てます。

子どもが成長するとともに親は一歩引いた立場となり、間接的なサポートを心がけることが親子のいい距離感となるのです。

次回はこれから勉強嫌いにならないためには、あるいは勉強と趣味や部活が両立できないときの対処法など、勉強を中心に親の対応をアドバイスします。

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大塚 剛史
花まる中等部部長。スクールFC教務部副部長。筑波大学第一学群社会学類卒業。大学時代に中学生や高校生の家庭教師を始める。その経験から現代の教育に強い問題意識を持ち、子どもたちに自学できる力と将来を見据えた自立する力を与えたくて花まるグループにて教育に携わる。現在は子どもの勉強の指導だけでなく、年間1000回の面談を行って生活面もアドバイスしている。また、保護者に向けて思春期の子どもについて子育てアドバイスや講演を行っている。

【主な共著や監修書】
『だれもが直面することだけど人には言えない 中学生の悩みごと』
『中学生 中間・期末テストの勉強法』
『中学生 高校入試のパーフェクト準備と勉強法』(すべて実務教育出版)


取材・文/梶原知恵

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かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。