「一人っ子」に伸びしろあり なのに「親たちがハマりやすい罠」を子育て専門家が解説

進学塾『VAMOS』代表・富永雄輔さん×教育ジャーナリスト・加藤紀子さん対談 #1 一人っ子の伸ばし方について

習い事よりも親子の対話を忘れずに

──一人っ子の習い事について先ほど出ましたが、周りの子がいろいろな習い事や、体験学習をしていると、自分もやってあげなきゃと焦る親もいると思います。

富永さん:そうですね。今の親御さんって、すごく真面目ですからね。あと、子育てにお金と時間をかけてあげることって、親にとっては自己満足感がありますから。

ごく一部の成功した人が、メディアなどで「これもあれもやってました」と語るから、それをやらせたら「勝ち」なんじゃないかと思うけど、それはあくまでも「one of them」の話であって、子育ては親子のコミュニケーションがすべてだと僕は思っています。お金もかからないし、対話をしっかりすることが一番大事ではないでしょうか。

「親子で何気ない時間を過ごすことが大事ではないでしょうか」(加藤さん)

加藤さん:いろいろと情報を集めるのもいいですが、目の前の子どもと何気ない時間を過ごしたり、食事しながらたわいもない話をしたり。そういう時間のほうが大事だと私も思いますね。自分にとって一番大切な存在であるお父さん、お母さんに話を聞いてもらえるって、伝わった! 自分を認めてもらえた! という自信にもつながります。

子どもも親に話を聞いてもらうことで自分の感情を表現することを覚えるし、対話をしていく中で成長していきますよね。

富永さん:親離れできないステレオタイプの一人っ子もなかにはいるでしょうが、きょうだいがいても親離れできない人はできないし、無理やり離したらいいのかというとそうではないですよね。

そういう意味で言うと、一人っ子の親はステレオタイプに当てはめてしまう人が多いのかなと思います。逆にそこさえ気をつければ、一人っ子の親御さんはすごくいい子育てができると思いますね。

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少しネガティブな印象を持たれがちな一人っ子ですが、今の一人っ子にはそれが当てはまらないことがわかりました。唯一あるとすれば、親の弱み。一人っ子親がハマりやすい罠に気をつければ、むしろ一人っ子はポジティブな点が多いと言えるでしょう。

次回2回目では一人っ子の中学受験について、引き続き富永さんと加藤さんに対談していただきます。

撮影/森﨑一寿美 取材・文/宇野安紀子

一人っ子の対談記事は全3回。
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(2回目は2023年5月9日、3回目は2023年5月10日公開。公開日までURLのリンク無効)

『ひとりっ子の学力の伸ばし方』著・富永雄輔(ダイヤモンド社)
『ちょっと気になる子育ての困りごと解決ブック!』著:加藤紀子(大和書房)
27 件
とみなが ゆうすけ

富永 雄輔

進学塾『VAMOS』代表

進学塾『VAMOS』代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する『VAMOS(バモス)』を設立。現在、吉祥寺、四谷、浜田山、お茶の水校を開校。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇り、日本屈指の“成績が伸びる塾”として「プレジデントファミリー」「アエラウィズキッズ」「日経キッズプラス」などに登場。 論理的な学習法や、子どもの自主自立を促し、圧倒的な支持を集めている。 主な著書に『ひとりっ子の学力の伸ばし方』、『男の子の学力の伸ばし方』、『女の子の学力の伸ばし方』(すべてダイヤモンド社)がある。 VAMOS https://vamos-edu.jp/

進学塾『VAMOS』代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する『VAMOS(バモス)』を設立。現在、吉祥寺、四谷、浜田山、お茶の水校を開校。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇り、日本屈指の“成績が伸びる塾”として「プレジデントファミリー」「アエラウィズキッズ」「日経キッズプラス」などに登場。 論理的な学習法や、子どもの自主自立を促し、圧倒的な支持を集めている。 主な著書に『ひとりっ子の学力の伸ばし方』、『男の子の学力の伸ばし方』、『女の子の学力の伸ばし方』(すべてダイヤモンド社)がある。 VAMOS https://vamos-edu.jp/

かとう のりこ

加藤 紀子

教育ジャーナリスト

1973年京都市生まれ。1996年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、子どものメンタル、子どもの英語教育、海外大学進学、国際バカロレア等、教育分野を中心に「プレジデントFamily」「NewsPicks」「ダイヤモンド・オンライン」「ReseMom(リセマム)」などさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。一男一女の母。 2023年4月に最新書『海外の大学に進学した人たちはどう英語を学んだのか』(ポプラ社)が発売された。 主な著書に『子育てベスト100 「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(ダイヤモンド社)、『ちょっと気になる子育ての困りごと解決ブック!』(大和書房) 過去の記事はこちら→【Facebook】https://www.facebook.com/iluv97magnolia/

1973年京都市生まれ。1996年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、子どものメンタル、子どもの英語教育、海外大学進学、国際バカロレア等、教育分野を中心に「プレジデントFamily」「NewsPicks」「ダイヤモンド・オンライン」「ReseMom(リセマム)」などさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。一男一女の母。 2023年4月に最新書『海外の大学に進学した人たちはどう英語を学んだのか』(ポプラ社)が発売された。 主な著書に『子育てベスト100 「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(ダイヤモンド社)、『ちょっと気になる子育ての困りごと解決ブック!』(大和書房) 過去の記事はこちら→【Facebook】https://www.facebook.com/iluv97magnolia/