「胎動」赤ちゃんが「動かない」のは大きな危険の可能性も? 名専門医が解説

産婦人科医・安達知子に聞く「妊娠中に注意したい症状」 #3 胎動の変化はなぜ起こる?

総合母子保健センター愛育病院名誉院長:安達 知子

胎動を感じる時期は、だいたい妊娠18~20週ごろです。個人差が大きいため、妊娠16週から感じる人も、20週を過ぎても胎動がわからないケースもまれにあります。特に初産婦さん(初めて出産する人)の場合、胎動のイメージがつかないことも少なくありません。

妊婦健診に訪れた妊婦さんに「赤ちゃんが動くのがわかりますか?」とたずねても、「わかりません」と答えられることもしばしば。「おなかの中で腸がコポコポと動くことはありませんか?」とたずねると、「それだったらわかります!」とイメージしていた胎動とは違って驚かれることがあります。

また、胎動の感じ方も人それぞれです。ひどい便秘でおなかにガスが溜まっている場合や、お母さんが肥満である場合、胎動を感じにくくなることがあります。仕事や環境の変化など気を取られていることが多いと、赤ちゃんに注意が向かず胎動に気づかないことも。

私自身も妊娠中、仕事が忙しくてなかなか気づかず、2人目の妊娠であったのに、妊娠20週を過ぎてから「あ、胎動だ」と気づいたエピソードがあります。

このように胎動の感じ方は人それぞれなので、18~20週で胎動を感じないからおかしいということはありません。

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赤ちゃんが深く眠っているときは胎動が少ない

おなかの中の赤ちゃんは「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返しながら、ずっと眠っているといわれています。レム睡眠は、大人でいえば浅い眠りで夢を見ている時で、寝言を言ったり寝返りしたりしている状態ですね。レム睡眠の時間は、胎児や新生児は大人と比べて長く、特に胎児は夜間にこの睡眠が多く、お母さんが休んで活動していない時間帯ですので、酸素をたくさんもらうことができて、神経などの形成や発達に大切なのです。

おなかの中の赤ちゃんもレム睡眠のときによく動くので、胎動として感じやすくなります。反対に、ノンレム睡眠のときには深く眠っているため、胎動を感じにくいでしょう。レム睡眠とノンレム睡眠があることで、胎動が活発なときと静かなときがあるのです。

病気が理由で胎動が少ないケースも

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