消えたドグウちゃんの行方
星がちろちろと輝く夜がやってきました。ひんやりとした空気の中、手作りの栗バズーカを持って待ちかまえる4人。でも30分たっても、1時間たってもジョモルイはすがたを現しません。
「ジョモルイ、来ないねー」
さんまるは首をかしげました。来るはずのジョモルイが来ないことで、かえって不安になってきます。でも、そんなさんまるの不安も、むーもんのむじゃきな声が吹きとばしました。
「もしかして、犯行予告はウソだったのかもしれないモン♡」
「そうかもねー!」
このままだと、縄文ヒーローズの出番は来ないかもしれません。
みんながすっかり油断しかけた、そのとき──。
「ああ! 大変だるん!!」
いのるんが、突然さけびました。みんなびっくりです。
「い、いのるんどうしたの?」
「ドグウちゃんが……ドグウちゃんが……」
ふるえる声を出しながら、展示ケースを指さすいのるん。なんと、そこにドグウちゃんの姿はありませんでした。
「えぇぇえーっ!?」
みんなの悲鳴が、夜の展示室にこだまします。
「こんなのありえないよー! 展示室にはだれも入ってきてないのに!」
あたふたするさんまる。そのとき、こまっくーがハッと目を見開きました。
「ねぇ……ジョモルイは、『時空をかける怪盗』なんだよね」
さんまるがうなずくと、こまっくーは少し声をひそめて言いました。
「もしかして……もしかして、だよ? ジョモルイは、過去にタイムスリップしてドグウちゃんをぬすんだんじゃない?」
「るん!?」「モン♡!?」タイムスリップと聞いて、両手をほっぺたにあてておどろくいのるんとむーもん。さんまるも、頭を抱えてさけびました。「ひゃー! どうしようー!」
ジョモルイは、時空をかける大怪盗。タイムスリップしてお宝をぬすむこともできるのです。
「い、祈りのパワーでジョモルイがどこでドグウちゃんを盗んだのか見てみるるん!」
いのるんが結んだ手にぎゅっと力をこめると、みんなの頭の中にイメージが伝わってきます。青空の下、一生懸命土を掘る人たち。どうやら遺跡の発掘調査をしているようです。土の中から出てきたのは……。
(ドグウちゃんだ!)
すごい土偶が出てきたと大さわぎするみんな。そんな人々の間をすり抜け、黒マントの男がドグウちゃんをうばって空へと向かい──。
「そうか! ジョモルイは、ドグウちゃんが土の中から出てきたときにタイムスリップしてぬすんだんだ!」
みんなが大あわてする中、さんまるはぎゅっとこぶしをにぎりしめました。
「……ひとつだけ、ドグウちゃんをとりかえす方法があるよ!」
3人は、ハッとしてさんまるを見ます。さんまるは、胸をたたいて言いました。
「さんまるパワーで、縄文時代の三内丸山遺跡に行くんだよ!」
「そっか!」
3人の声が重なりました。実は、さんまるには現代と縄文を行き来できる力があります。ジョモルイがドグウちゃんを盗んだ時代よりももっと前、縄文時代まで先回りしてドグウちゃんを見つければ、きっと守ることができます!
「みんなついてきてくれる?」
「もちろんだモン♡」
「一緒に行くるん」
「ぼくも!」
4人が手をつなぐと、目の前がぴかっと光りました。次の瞬間、まばゆい光の中に大きなトビラが現れます。
「よーし、みんなで行っちゃうよー!」
「おー!」
4人は、歩幅を合わせて時空のトビラを開きます──!
縄文ヒーローズは縄文時代へ! ドグウちゃんを無事にとりかえせるのかな? 第2回は3月13日更新!
三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき)
青森県青森市にある縄文時代前期~中期のとても大きなムラのあと。縄文時代の家やお墓、大型掘立柱建物(おおがたほったてばしらたてもの)と呼ばれる大きな建物のあとなどがたくさん出てきて、大昔の人々がここに集まって長く住み続けた様子がわかるんだ。2021年には、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つとして、世界文化遺産に登録されているよ!
大型板状土偶(おおがたばんじょうどぐう)
三内丸山遺跡で見つかった「大型板状土偶」は、縄文時代に作られたとても大きな土のお人形。高さは約32センチ。長い間、頭と体が離れた状態で土の中に眠っていたけれど、今では修復されて、縄文人のくらしや思いをつたえる大切な発見として展示されているんだ。それにしても、どうして頭と体が離れた状態で出てきたんだろう。わざと壊されたのかも……ミステリー!

































風祭 千
青森県青森市出身・在住。青森公立大学地域みらい学科卒業。東北児童文芸サークル「みちのわ」メンバー。 作品に「チューニング!」(文芸社)、「真夜中を切り裂け!僕らをつなぐビブリオバトル」(文芸社)がある。東津軽郡外ヶ浜町の観光パンフレット「つむぐ外ヶ浜」に短編小説「今日、風の岬を目指す者は」を寄稿。
青森県青森市出身・在住。青森公立大学地域みらい学科卒業。東北児童文芸サークル「みちのわ」メンバー。 作品に「チューニング!」(文芸社)、「真夜中を切り裂け!僕らをつなぐビブリオバトル」(文芸社)がある。東津軽郡外ヶ浜町の観光パンフレット「つむぐ外ヶ浜」に短編小説「今日、風の岬を目指す者は」を寄稿。