キリスト教の「神」は発音できない!? 誰かに話したくなる〈目からウロコのキリスト教〉

『Wonder! 目からウロコのキリスト教』

関西学院中学部宗教主事:福島 旭

写真:Batsuamaru_Photo/イメージマート

「キリスト教」と聞くと、何を思い浮かべますか? 実はクリスマスやカレンダーなど、私たちの日常はキリスト教由来の文化であふれています。そんな教えが記された世界最大のベストセラー『聖書』は、「いつ、どこから読んでもいい」多彩なジャンルを網羅した本。

関西学院中学部で聖書科を担当する「ポン先生」こと福島旭先生によれば、キリスト教を知ると、見慣れた世界がガラリと変わって見えると言います。この記事では、福島先生の著書『Wonder! 目からウロコのキリスト教』の一部を抜粋し、日常や文化を形づくったキリスト教の驚きのエピソードや歴史を紐解いていきます。

今回は、「<神>という呼び名」についてお伝えします。

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それぞれの「神」

キリスト教と神道はなぜ同じ「神」という呼び名を使うのですか?

キリスト教では「神」という一般名詞をラテン語で“Deus”、英語では“God”と表記します。

宣教師が日本を初めて訪れたとき、日本人信者が通訳を務めました。彼はキリスト教の言葉を日本人にわかりやすく伝えようと、Godを「大日(如来)」、聖母マリアを「観音(菩薩)」、天国を「極楽(浄土)」と通訳したため、日本人はキリスト教を仏教の一種だと思い込んだ、というのは有名なエピソードです。

しかし、それではキリスト教の本質が伝わらないということで、その後、「天道」「天主」「天神」「天帝」「上帝」といろいろな呼び名が使われました。

19世紀以降に「神(最初はシンと読まれたようです)」という訳が定着していきましたが、日本で「神」というと「神道における神」を指していたため、聖書に書かれている「神」と混同してしまう人が多かったのではないでしょうか。

イラスト:一ノ瀬 かおる

現在、三重県の伊勢神宮のパンフレットでは「神」の英語表記が“kami”に統一されています。

キリスト教圏の人々にとって“God”は「唯一神」です。一方、日本の神は「八百万の神」と言われるようにたくさんおられるという考え方です。

日本の神を理解してもらうためには日本語のまま、“kami”と覚えてもらうほうがよい、という判断のようです。

さて、キリスト教の「神」はヘブライ語で「YHWH」(神聖四文字と呼ばれます)と書き、「ヤハウェ」あるいは「ヤーウェ」と発音するという説が有力です。

ヘブライ語は母音を表記しないため、本来はこの語をどう発音すべきなのかわかっていません。

『出エジプト記』20章で、神はモーセに守るべきこと(十戒)を伝えました。

そこに「あなたは、あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。主はその名をみだりに唱える者を罰せずにはおかない」があり、これを守った結果、どのように発音すればよいのかわからなくなったのかもしれませんね。

いずれの宗教にもとても大事にされている部分があります。その宗教を信じていなくても、敬意を持って扱う─それが多様な社会でのマナーのひとつだと思います。

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福島 旭(著)  谷口 雅美(著)  一ノ瀬 かおる(イラスト)

発売日:2026/02/19

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福島 旭
ふくしま あきら

福島 旭

Akira Fukushima
関西学院中学部宗教主事

京都市出身。関西学院大学大学院修了後、島根、広島で牧師および幼稚園園長を務め、現在は関西学院中学部宗教主事・人権教育主任・教諭、関西学院会館宗教主事、関西学院大学講師。冠句作家。保護司。琉球音楽ユニット“Sari Sari Moon” のギター& ボーカル担当。著書『GOODNEWS ~新約聖書』、『EXODUS ~旧約聖書』( 共に新教出版社) 他。

京都市出身。関西学院大学大学院修了後、島根、広島で牧師および幼稚園園長を務め、現在は関西学院中学部宗教主事・人権教育主任・教諭、関西学院会館宗教主事、関西学院大学講師。冠句作家。保護司。琉球音楽ユニット“Sari Sari Moon” のギター& ボーカル担当。著書『GOODNEWS ~新約聖書』、『EXODUS ~旧約聖書』( 共に新教出版社) 他。

谷口 雅美
たにぐち まさみ

谷口 雅美

Masami Taniguchi
作家

兵庫県尼崎市出身、神戸女学院大学卒業。第44 回創作ラジオドラマ大賞と第58 回講談社児童文学新人賞でそれぞれ佳作に入選。著書は『大坂オナラ草紙』『私立五芒高校 恋する幽霊部員たち』『わたしのカレーな夏休み』『殿、恐れながらブラックでござる』(全て講談社)など。戯曲やラジオドラマの脚本も執筆。

兵庫県尼崎市出身、神戸女学院大学卒業。第44 回創作ラジオドラマ大賞と第58 回講談社児童文学新人賞でそれぞれ佳作に入選。著書は『大坂オナラ草紙』『私立五芒高校 恋する幽霊部員たち』『わたしのカレーな夏休み』『殿、恐れながらブラックでござる』(全て講談社)など。戯曲やラジオドラマの脚本も執筆。