
人気児童文学作家5人が、デビュー20周年で再集結! 競作シリーズ第5弾『もりもりの出版社』刊行に合わせ大いに語った、新人時代の思い出から創作の秘密、そして、児童文学の未来まで──。
デビュー20周年記念 スペシャル座談会
2026.07.23
イラスト:くまおり純
工藤純子・菅野雪虫・濱野京子・廣嶋玲子・まはら三桃──。
2006年デビューの5人の作家が、作家生活10周年に集まり、いっしょに創り上げたのが『ぐるぐるの図書室』。それ以来、『ぎりぎりの本屋さん』『じりじりの移動図書館』『くらくらのブックカフェ』と続いた競作シリーズの新作『もりもりの出版社』は、デビュー20年の節目の作品となりました。いまや児童文学の最前線を走る5人に、これまでの歩みと、これからの展望を語り合っていただきました。
とにかく一発屋で終わらないように
──みなさん、デビュー20周年おめでとうございます! まずは、この20年を振り返っていかがでしょうか?
濱野 まあ、早かったな、という思いです。それと、この「2006年組」という同期の活躍が刺激になって書き続けてこられたので、同期に恵まれていたなとも思います。
まはら デビュー直後、「新人作家は5年残ればだいじょうぶ」とアドバイスされたんですけど、村上春樹さんの『職業としての小説家』のなかに、20年、30年書き続けている人には、小説家としての「資質・資格」が備わっている、というようなことが書かれていて、20年たったいま、ようやく作家に向いているのかな、という気がしています。
工藤 デビューしたとき1歳だった娘が、先日成人式を迎えたんです。子どもの成長を目の前で見てきたからこそ、20年という時間の重みも感じます。
菅野 私も講談社児童文学新人賞を受賞したとき妊娠中で、出産後にデビュー作が刊行されたんです。20年を子どもといっしょに歩んできた気がします。先日、この20年間の資料や書類を整理したんですけど、FAXがメールになったり、契約書も電子書籍の関係のものが増えたりして、時の流れを感じました。
廣嶋 あらためて20年と聞くと、本当にびっくりします。デビュー当初は、とにかく一発屋で終わらないよう必死でした(笑)。企画を通すために、書いて書いて、編集者に読んでもらうの繰り返し。最近になってようやく楽しんで書けるようになった気がします。
会社見学で、大手出版社「森々館」を訪れた、
ユリア・陽向・真吾・夕凪・心春の五人。
出迎えてくれたのは、
アニメの主人公のコスプレをしたお兄さんと、
白いワンピースのお姉さん。
本を好きな子も、そうでもない子も、
さあ、魅惑の出版社見学ツアーの始まりです!
なにを書くべきか?
──この20年間で、執筆への取り組み方に変化はありますか?
廣嶋 昔は自分自身のアイディアを優先していたのですが、いまは出版社から「どんな本がほしいか」という希望を聞いてからアイディアを固めることが増えましたね。
工藤 私は最初の10年は、子どもたちに楽しんでもらいたくて、エンターテインメントものに重点を置いていたのですが、我が子を通して、子どもや学校の世界を見る機会が増えてくると、子どもたちの抱える切実な問題にも直面し、後半の10年はそれをテーマにすることが増えてきました。
菅野 私はデビュー作が幸運にもシリーズ化されたので、企画が通らないという経験をあまりしなかったのですが、東日本大震災以降、自分の作品がシリアスになりすぎてしまった気がしていて、もっと希望があるような作品を書くべきかな、と最近思っています。
まはら 3作目が明確なターニングポイントでしたね。1~2作目までは、自分の内面からわき出るものを書いていて、ちょっと行き詰まっていたんですが、当時の担当編集者から「外に材をとってみたら」とアドバイスをもらって、弓道を取材して『たまごを持つように』という作品を書いたんです。それがとても楽しかった。それから、興味があることを深く調べて書くようになりました。
濱野 最初の5年間は、会社員と作家を両立していたんです。そのころは会社の昼休みに書いたりもしていたんで、執筆のスタイルが大きく変わりましたね。それと、菅野さんがおっしゃっていた東日本大震災は、私にとっても大きかった。震災がなければ書かなかった作品もたくさんあるし、震災を機に、新型コロナなどの時事問題を作品に取り入れるようになったと思います。
2010年、スペインでのIBBYオナーリスト表彰式での濱野さん(左から2人目)。


































