
𠮟られることが続けば、キレやすくなる
不注意な子は、気をつけていないわけではありません。本人なりに遅刻や忘れ物を防ごうとしています。それでも改善できないのです。本人もそのことに悩んでいたりします。そのつらさを理解する必要があります。
本人としては一生懸命やっているつもりなのに、大人にその努力を認めてもらえず、繰り返し注意されていたら、不満を感じるでしょう。その結果として、キレてしまうこともあり得ます。追いつめられて、不適切な怒りが出てしまうのです。
しかしそれは「発達障害の子はキレやすい」という話ではありません。発達障害の有無にかかわらず、自分のことが十分に理解されていない環境で、不当に𠮟られることが続けば、誰でもキレやすくなります。

不注意な子を見ると、大人は「気が抜けている」「よく言い聞かせなければ」と考えがちです。しかしその圧力で子どもを追いつめ、より一層キレやすくさせています。
そうではなく、問題につながりやすい部分をサポートする必要があります。これは発達障害に関係なく、どの子の養育にもいえることです。
キレる問題の背景を考える
もう一度言いますが、「発達障害だからキレやすい」ということはありません。発達特性は数ある要因のなかの一つです。「特性があるからキレる」「特性がなければキレない」という話ではないのです。
ですから発達特性があっても、キレる問題に対処していくことは十分に可能です。むしろ「発達特性がある」ということがわかれば、子どもがキレる理由を理解しやすくなることもあります。
発達障害がない場合でも、一つの要因のせいにしないことが大切です。それよりも、どのような背景があるのかを総合的に考えていきましょう。発達障害以外にも「勉強の難易度が高すぎて苦しんでいる」「いじめの被害にあっている」といった背景があって、キレやすくなっている場合もあります。
背景を理解しながら、できることを考えていく。そのような心構えを持って、対応していきましょう。