親子で納得! 子どもの聞き分けが激変する「注意するときの心構え」

保育・子育てカウンセラー井桁容子さん「ノンストレス育児のススメ」#2〜子どものしつけ編〜

保育・子育てカウンセラー:井桁 容子

子育てで避けて通れない「しつけ」。親が意識するべき心構えを子育てカウンセラーの井桁容子さんに伺います。
写真:アフロ
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子育てとセットのようについて回るのが親のイライラ感情。そのままため込んでストレスを抱えてしまったり、つい感情的に子どもにぶつかってしまい自己嫌悪に陥ったりといった経験は、誰しも身に覚えがあるのではないでしょうか。

「非営利団体コドモノミカタ」代表理事を務める保育・子育てカウンセラーの井桁容子さんは、子育てに関する著書を多数執筆するほか、コメンテーターとしてメディアへ出演するなど幅広く活躍中。そんな井桁さんに、ストレスを抱えないための育児の考え方を伺います。

2回目は、子どもを注意するときの心構えを教えてもらいます(全4回のうちの第2回。#1を読む。)

注意の線引きは命の危機と他人への迷惑

第1回(#1)では、泣いてばかりいる子どもや、イヤイヤ期を迎えた子どもへの接し方について井桁さんに伺い、どちらの場合も子どもからすれば必ず理由があるので、親はまずそれを聞いてあげることが大切と教わりました。

とはいえ理由がわかっても、時にはそれを注意しなければならないこともあるのが子育て。子どもを注意するとき、イラだちや怒りの感情にまかせて声を荒げてしまうこともあるでしょう。

でも、それは子どもにとって逆効果になると井桁さんは言います。

子どもを注意しなければいけない場面になったとき、親が心がけるべきこととは何なのでしょうか。

「まずは子どもがやってしまったことに対して、『これくらいはだいじょうぶかな』『さすがにこれは指摘しよう』という、注意をするかどうかの線引きをする必要があります。

絶対に注意しなければならないのは、①命に関わること、②公共の場で他人に迷惑をかけることです。道路へ飛び出さない、電車のなかでは大声を出さないなど、社会生活のなかで守るべきルールを破ってしまった場合はしっかり注意しなくてはいけません。

そのときに大切なのは、『これはしてはいけない、なぜなら……』と理由を説明すること。普段から子どもの話にちゃんと向き合っていると、注意された際の子どもは『自分の思いをわかってくれる大人が、何かを真剣に伝えようとしている』と、理解しようとしてくれます。

子どもと向き合ったうえで、車は危ないから道路に飛び出してはいけない、電車には眠りたい人や静かに過ごしたい人も乗っているので、そういう人が嫌な気持ちになるから大声を出してはいけないなど、しっかり理由を説明したうえで注意をしましょう。

もし、注意をするときに説明の工程を省いてしまうと、“叱られるからやめる子”になってしまいます。そうすると、理由を理解していないので叱る人がいない場面では同じことをやってしまう可能性があります。理由を理解して納得できれば、やってはいけないことを何度もすることはないはずです」(井桁さん)

また、公園やスーパーなど公共の場では、周囲の目を気にして子どもを注意するべきか迷う親は多いと思います。

「親が子どもを叱っている姿は、周囲の人をヒヤヒヤさせたり、ストレスを感じさせたりするものです。一方で、人目を気にして叱らないでいると、今度は『子どもに好き勝手させている』と思われてしまう。こういった場合こそ、『なぜやってはいけないのか』をしっかり説明することが大切。

例えば、公園で子どもがボールではなくラケットを投げてしまったとします。『もし友達に当たったらケガをして危ないでしょう。これは投げたらダメよ』と説明したうえで注意をすれば、周囲の人にはストレスを与えずに、子どもにも伝えることができますよ」(井桁さん)

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