
「キレやすい子ども」と信頼関係を築く3つの方法 親が変わるべき「𠮟り方」と「ほめ方」[専門医が解説]
#4児童精神科医が説く「キレる子ども」の受け止め方~キレにくい親子関係の築き方~
2025.07.21
児童精神科医:原田 謙
𠮟るときは「次につなげること」を意識する
キレる子どもへの対応では、𠮟りすぎないことが大切です。しかしそれは「𠮟ってはいけない」ということではありません。危険なことがある場合や暴力がある場合など、𠮟るべきところは𠮟りましょう。
子どもがキレて暴れてしまったときには、まず暴力を止めます。そしてクールダウンやタイムアウトなどの方法で、気持ちの切り替えを促します。
その際、親として子どもを思う気持ちから、𠮟ることもあるでしょう。人の子ではなく自分の子どもだからこそ、𠮟るのです。その気持ちまで押し殺す必要はありません。
𠮟るときのポイントは、ほめるときと同じです。子どもを曖昧(あいまい)に𠮟るのではなく、具体的な行動を𠮟ります。「あなたが悪い、ダメだ」「どうして優しくできないんだ」などと言って、その子の存在を否定してはいけません。「相手の子を叩いてはいけない」「死ねというのは暴言です」といった形で、行動の問題を指摘します。
子どもが落ち着いてきて、キレたときの行動を振り返るときには、どうしても不適切な行動を話題として取り上げる必要があります。そのときは、否定的な面だけを伝えるのではなく、子どもがよくがんばっていたところを言葉にするのも大切です。
例えば、「騒いじゃったけど、そのあとは落ち着いていたね」と言って、行動を修正できたことをほめます。𠮟るというマイナスな対応に、プラスの要素を付け加えるのです。その一言が、子どもの次の行動の改善につながります。𠮟るときには、「次につなげること」を意識しましょう。

プラスの要素が見つからない場合には、振り返りのあとにも、子どもの行動をよく観察してください。「よいところを探そう」と思いながら、様子を見守ります。そうすると「物を倒したけど、あとで自分で片付けた」「友達を叩いてしまったけど、あとで謝罪できた」といった形で、肯定的な面が見えてくるものです。