
「キレやすい子ども」と信頼関係を築く3つの方法 親が変わるべき「𠮟り方」と「ほめ方」[専門医が解説]
#4児童精神科医が説く「キレる子ども」の受け止め方~キレにくい親子関係の築き方~
2025.07.21
児童精神科医:原田 謙
親も自分を大事にする
周囲の人に愚痴をこぼしながら、サポートを得ながら対応していても、うまくいかないこともあると思います。親も一人の人間です。完璧ではありません。子どもの発言や態度を許せなくて、怒ってしまうこともあるでしょう。
そういうときには自責の念にかられるかもしれません。「私は親失格だ」「俺が未熟なんだ」と落ち込んでしまう人もいると思います。しかし自分を責めないでください。

親もときには怒ってもかまいません。感情的になりすぎたときには、あとでそのことを振り返って、「あの言い方はよくなかった」「次はこうしよう」と考えればよいのです。
そして、子どものよい面をほめるときと同じように、親も自分の失敗のなかに「がんばったところ」を見出すようにしましょう。
子どものほめ方で「子どもが25%、4回に1回できていればほめる」という意識を持つことをおすすめしています。例えば宿題を毎日こなすのが当たり前だと考えるのではなく、25%、4日に1回できていればほめるのです。そのくらい基準を下げると、子どもをほめやすくなります。
この考え方は親にも当てはまります。親も「25%ルール」で、キレる行動に4回に1回でもうまく対応できたら、自分のことをほめましょう。そしてまた次の対応へ進んでいきましょう。
親子には似ているところもありますから、暴力や暴言に対応していくなかで、子どもの短所が自分の短所と重なって見えてしまうこともあるかもしれません。子どもに「キレないように」と言いながら、自分が何度もキレてしまって、親のほうが精神的に落ち込むこともあります。キレる子どもへの対応というのは、難しいものなのです。
だからこそ、親も自分のことを大事にしてほしいと思います。できていないことがあっても、否定的にとらえないようにしましょう。この本を手に取ったということが、あなたが子どものために心を砕いている証拠です。
できているところに目を向けて、自分をほめながら、いろいろな方法を試してください。うまくいかないときには家族や周囲の人とお互いの努力をねぎらい、励まし合うことも大切です。支え合いながら取り組んでいきましょう。
構成/佐々木奈々子
───◆─────◆───
■今回ご紹介の書籍はこちら
『キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』(著:原田謙/講談社)
児童精神科医の著者が25年以上の臨床で培ってきた、キレる子どもへの対応・支援法を、マンガを交えて解説します。
「暴力の止め方」「話の聞き方」「ほめ方・𠮟り方」「発達障害の場合」など、ノウハウ的な接し方だけでなく、子どもと向き合うときに意識したい大人側の心構えも重要。ブレない姿勢で、子どものこころに寄り添いながら対応をしていくことで、キレる行動は減っていくでしょう。本書では事例をマンガで紹介しながら対応のしかたを解説。子どものこころに寄り添う対応法がわかります。

連載は全4回 (※公開時よりリンク有効)
原田 謙
長野県立こころの医療センター駒ヶ根子どものこころ診療センター長、副院長。信州大学医学部臨床教授。全国児童青年精神科医療施設協議会代表。 1962年東京都生まれ。1987年信州大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センター、国立精神・神経センター国府台病院、信州大学医学部附属病院などを経て、2014年から現職。専門は児童精神医学。研究テーマは発達障害の二次障害(特に反抗挑発症、素行症)。 著書に『「キレる」はこころのSOS』(星和書店)、 『キレる⼦どもの気持ちと接し⽅がわかる本』 (講談社)など。 成人した2女の父であり4人の孫がいる。趣味はサッカー日本代表の応援、テニス、カラオケ。
長野県立こころの医療センター駒ヶ根子どものこころ診療センター長、副院長。信州大学医学部臨床教授。全国児童青年精神科医療施設協議会代表。 1962年東京都生まれ。1987年信州大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センター、国立精神・神経センター国府台病院、信州大学医学部附属病院などを経て、2014年から現職。専門は児童精神医学。研究テーマは発達障害の二次障害(特に反抗挑発症、素行症)。 著書に『「キレる」はこころのSOS』(星和書店)、 『キレる⼦どもの気持ちと接し⽅がわかる本』 (講談社)など。 成人した2女の父であり4人の孫がいる。趣味はサッカー日本代表の応援、テニス、カラオケ。