最新事情「ランドセル」はスゴいことになっていた! 備えよ「ラン活」トレンド総復習

ラン活に備えてトレンドをおさらいしよう

ライター:遠藤 るりこ

ランドセルは昔と今でどう違う?

小学校に通う子どもたちといえば、背中にランドセルが定番。毎年、小学校入学を控えたシーズンになると、デパートの売り場には色とりどりのランドセルが並びます。

とはいえ、ランドセルはただのカバンではありません。子どもたちの6年間を、晴れの日も雨の日も支え続けるランドセルに求められるのは、頑丈さ。そして最近では軽量化されたものや、プラスアルファの機能を備えたもの、安価なものなど、さまざまなランドセルが登場しています。

この記事では昨今のランドセル事情について、今までの取材から振り返ります。

ラン活スタートは前年春! 新作キーワードは“多様性”

まずは、2023年のラン活から振り返ってみましょう。「工房系ランドセルメーカー」のひとつ、黒川鞄によると、最近では男の子の10人に1人が赤いランドセルを選択するとのこと。こうした多様性を受けて、黒川鞄や土屋鞄といった工房系メーカーでは「ジェンダーフリー」のランドセル開発に取り組んでいます。

個性を重視するのも最近の風潮。池田屋では全85色のラインナップを用意し、鞄工房山本ではクリスタルガラスをあしらったシリーズが人気となっています。

“収納力&背負いやすさ”を追求

一方、「背負いやすさ」という基本を突き詰めているのが大手メーカーの特徴です。

創業100周年のセイバンは、「天使のはね」と呼ぶ樹脂パーツをランドセルの両肩の付け根に使用。イオングループは「かるすぽ(かるがる背おえてすっぽり入る)」シリーズに、荷物に合わせてポケットが広がるモデルを追加しました。

業界で初めて「クラリーノ」を使用したクラレでは、クラリーノシリーズの全モデルにチェストベルトを採用しています。

ポロ ラルフ ローレン、ミキハウス、DIESEL、MARY QUANT 個性派ランドセルが続々!

アパレルブランドからもさまざまなランドセルが登場しています。たとえば「ポロ ラルフ ローレン」、「ミキハウス」、「DIESEL」、「MARY QUANT」などは、それぞれのブランドコンセプトを生かした個性的なランドセルを発売。

クラスメイトと被りたくない子どもやパパママの人気を集めています。

脱ランドセル派が狙う「新リュック型」

ランドセルというカテゴリーから飛び出していますが、ランドセルよりも軽く、丈夫なリュック型の通学鞄も人気です。ランドセルよりもはるかに安い点も人気の秘密でしょう。

リュック型通学鞄の歴史は意外と古く、1968年にマルヤスが発売した「ランリュック」までさかのぼります。通学途中の交通事故を心配する保護者のニーズを汲んで、ランリュックのモチーフは道路危険標識。黄色いシンプルなリュック型通学鞄は、多くの人に愛されています。

ランドセル買い足し便利グッズ8選

ランドセルとセットで使う便利グッズも見逃せません。「株式会社悟空のきもち」が開発した「さんぽセル」は、なんとリュックをキャリーケースに変身させるスティック型のパーツ。子どもたち自身のアイデアを形にした商品なのだそう。

ランドセルに入りきらない荷物を入れる補助バッグや、ランドセルでパソコンを持ち運ぶためのカバー、水筒用の外付けポケットなども、あると便利なグッズばかりです。

モンベルとファミリアの“新型ランドセル”が大人気!!

ここからは、2024年のラン活に向けたラインナップを見ていきましょう。まず注目したいのは、ランドセルの常識を破った2社の製品です。

ベビー服などで知られるfamiliar(ファミリア)のランドセルは、なんとナイロン製。天然革や人工革が当たり前のランドセル業界を驚かせました。

アウトドアメーカーのモンベルは、学習鞄の分野に初めて参入。立山町内の公立小学校向けに開発した「わんパック」の反響が大きかったことから、一般向けにも販売することになりました。

工房系ブランドも挑むサステナブルな新素材とは

近年のトレンドともいえるSDGsに配慮したランドセルが、廃棄漁網再生ナイロンを素材に使った「UMI(うみ)」。海洋汚染の原因のひとつとされる漁網やロープを回収して素材に加工することで、環境に貢献します。

衣料クズなどの再生ポリエステル繊維からつくる人工皮革を使ったランドセルは、老舗鞄メーカー池田地球の「地球NASAランドセルWWFモデル」。工房系メーカーの土屋鞄が23年のランドセルに採用した素材は、驚きの「キノコ」。キノコの菌糸体部分から生まれた新素材を原料とする「マッシュルームレザー」を使っています。

“新機能ランドセル”で使い方が激変

新しい機能を取り入れたランドセルもあります。そのひとつが、ランドセルのふた部分(かぶせ)を取り外せるランドセル。ノロッカが開発した「自由なランドセル」は、かぶせの上部を開閉できるため、ランドセルを立てたまま簡単に荷物の出し入れができます。

他にも徹底的に軽さを突き詰めた「ランドセルのようなリュック」や、洗濯可能な背あて、マグネットパーツで本体から着脱のできるペンケースなどを備えた「MORE」(いずれも株式会社タカアキ)など、ユニークなラインナップが揃います。

“セカンドランドセル”が広まる ランドセルは6年間使わない!?

ランドセルは6年間使うもの、というイメージがあります。しかしフットマーク株式会社が2022年に実施した調査によると、「ランドセルの買い替えを検討したい」という親は64.5%に上ります。

こうしたニーズを受けて、子どもの成長に合わせて買い替えることを前提にしたラインナップもあります。フットマークの「ラクサック」シリーズや、ミズノの「セカンドランドセル」がそれです。ミズノ・ライフ&ヘルス事業部の福井さんは「6年間ずっと大切に使っていただけるのは素敵なこと。しかし、小学生の心や身体は大きく成長するもの」と語ります。

無償配布やサブスク ランドセルの負担を減らす取り組み

さまざまなラインアップが登場するにつれ、ランドセルの平均価格も上がる一方です。そこで、家庭への負担を減らす取り組みもあちこちで行われています。

たとえば茨城県日立市では1975年から特注ランドセルの無償配布を行っています。他の自治体もこうした動きに続いており、2023年には新たに富山県立山町と山口県防府市が無償配布をスタートしました。

目新しい取り組みとしては、ランドセルのサブスクリプションもあります。コクホー株式会社では、月額990円のプランをはじめ3種類のプランを展開。同じプランを3年間継続すると、サブスク中のランドセルを無料でもらえるという特典付きです。

まとめ

最近のラン活トレンドを一気に振り返ってきました。新素材、新機能、そしてサブスクまで、2024年もランドセル業界はにぎやかです。子どもたちの新しい生活のパートナーとして、ぜひお気に入りのランドセルをみつけてください。

えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe