4児のシングルマザーMALIA. ガチギレしながらも“自立できる子ども“に育てる距離感

モデルMALIA.流子育て論#3「子どもとの距離感と自立」

モデル・実業家・タレント:MALIA.

「シングルマザーで『できない』なんて言える環境になかったから、どうやったらできるかを考えて、チャレンジするの繰り返し。自然と鍛えられる環境にいたんだと思います」。 (MALIA.さん) 写真:大門徹
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4児のシングルマザーでモデルかつ実業家のMALIA.さんは2022年にドバイに移住、今は三男と長女の3人で暮らしています。この春には子育てを通じてわかった、子どもと自分が幸せになるヒントを記した著書『育児育自論』(A-Works刊)を上梓。

仕事と子育ての両立、そして子どもが大きくなるにつれて気になる親子の距離感と自立について、MALIA.さんなりのスタンスや思うことを語ってもらいました。

※3回目/全4回(#1#2を読む)

MALIA.(マリア)PROFILE
本名・新保真里有(しんぼ・まりあ)。1983年生まれ。15歳でデビュー以来、多くの女性誌専属モデルを務め、テレビにも多数出演。長男(21)、次男(19)、長女(17)、三男(5)の4児の母。2023年末には長男に子どもが生まれ、1児の祖母にも。2009年に起業し、ブラジリアンワックスサロン他、EC事業など幅広く展開。2022年にドバイへ移住。

子育てを嚙みしめるためドバイ移住

MALIA.さんが海外移住を漠然と意識し始めたのは36~37歳、2018年に末っ子の三男が誕生して少し経ったころのことでした。2022年に長女がカナダで高校生になるという決断をしたこともあり、本格的に海外移住へと動き出します。

「末っ子のポコちゃんを出産して、まだまだバリバリ仕事もしなければいけないけれど、ポコちゃんの子育てはあと10年くらいで終わってしまう。『これが最後の子育てになるかもしれない』と考えたときに、仕事とのバランスが取れる環境で子育てを大切に嚙みしめたいと思いました。いろいろな移住先を検討したのですが、最終的にドバイになりました」

〈ドバイに決めた理由のひとつは、人口の約90%が外国人ということ。学校の数も多くカリキュラムが多彩なことがありました。(中略)ポコちゃんは日本、パキスタン、ブラジルというmix blood。世界のいろいろな国の文化に触れてもらいたいし、様々な言語も学んで欲しいと思っていたので、ドバイはピッタリという訳なのです。〉──『育児育自論』より

リモートワークが進む昨今、日本でも子育てにフォーカスを当てて引っ越す“教育移住”や“離島留学”に注目が集まっています。こうした流れについて、MALIA.さんも「すごくいいと思います!」と大きくうなずきました。

「子どもとのプライベート、家族との時間を大切にするってとても大事なこと。“残業しないのは悪”みたいな時代はもう終わるべきだと思います。会社や社会が、子育てを応援する環境であってほしい。10~20年と子育てを頑張った方も、そこから復帰してバリバリ働くこともできますから」

MALIA.さんが子育てに重点を置いた生活を優先する理由のひとつには、彼女自身も子ども時代、親の不在に心細さを感じたり、寂しい思いを味わったりした背景がありました。

「私の母も働くシングルマザーだったので、私は小学4年生ぐらいまで学童保育に通っていました。学童に行けば、みんなが『おかえり』と言ってはくれるけど、やっぱりママの『おかえり』とは違ったような気がするんです。学童から家に帰れば1人だったし、たまに母の帰りが遅くなるときもあって、そうすると不安に襲われることもありました」

上の子ども3人が小さいころのMALIA.さんは、会社を軌道に乗せるため、とにかくがむしゃらに働く日々。超多忙な中でも、できる限り自宅でリビングワークをして、「ただいま」と「おかえり」を交わしてきました。

「小学校3~4年生ぐらいまでに、子どもたちにかける時間と熱量、声かけとハグが子どもたちの安心感を育む」というのが、MALIA.さんの持論。

ハグしたい気持ちに素直になって!

新保家(MALIA.さんの本名)は周りの知人・友人たちにも驚かれるほど、親子の距離が近いと言います。子どもとの距離感に悩む親は多いですが、MALIA.さんはどう考えているのでしょう。

「子どもたちとの距離感は、おうちそれぞれでいいと思います。ただ、最近のママたちの話を聞いていると、『子どもに近づきたいけど、距離を縮められない』『ハグしたいけどできない』という声が多いんです。

私は『(ハグ)したいなら、したらいいのに』という考え(笑)。『子どもも小学校に上がったし、いつまでもベタベタするなんて……』というのもひとつの価値観だけど、『子どもに近づきたい』という自分の気持ちをもっと大切にしていいし、親にハグされて嬉しいと思う子どももいるはず。

私たちが子どもだった時代は、親子や家族でのハグがスタンダードではなかったかもしれないけれど、自分の育った環境だけが正しいわけではないし、子育てを経て自分の価値観に変化が出るのはいいことだと、私は思うんです」

なんだかんだと理由をつけて「できないから、やらない」と親自らが結論づけていることは、思っている以上に多いのかもしれません。MALIA.さんの考え方には、自分が無意識のうちにかけてしまっているブレーキを解除してくれる、そんなヒントがあります。

「『どうしよう、できない』で立ち止まっているのはもったいない! 私はもともと何に対しても『できない』と思わないんですよね。自分の中で限界を作ってしまったら、それ以上先には行けません。

だから『できない』じゃなくて、『どうすればできるかな?』と逆算して考える。仕事もプライベートも、そういう思考で動いています。

『育児育自論』を読んで『子どもと触れ合ってみたい』『もっとディープに話してみたい』と思ったら、それは子どもとの関係性を変化させるチャンス! この本が皆さんにとって、そういうキッカケになったら嬉しいです」

子どもを自立させたいなら親自身も自立を

“子どもとの距離感”に加えて親として気になるのが、子どもの自立。『自立させなければ』と思う一方で、もどかしさが先に立ち、親がつい先回りしてやってあげてしまったりすることも少なくありません。

MALIA.さんは自身の子育てで、赤ちゃんのうちからずっとひとり寝をさせる(子どもは子ども部屋で寝るという習慣づけのため)、なるべく早いうちから、子ども自身にさまざまな決断をゆだねるといったことを実践してきました。そのうえで親にも“ある意識”が必要だと言います。

「子どもを自立させなければと思うのなら、まず親が自立しなければいけないと思います。私も自分に『自立しなきゃ』という想いがあったから、子どもたちを自立させることができたかなと思っています。早いうちから、子どもに対して1人の人間として接してきました。4人はみんな、いつまでも私の子どもだし、ずっと大切だけど、でも子どもの人生は子どものもの。そこの線引きはキッチリしています」

〈親子っていろいろだけど、どっちかが寄りかかったり頼りきったりじゃなくて、お互いがいい意味で支えあえるのがベスト。それが私の考える、究極の“自立した親子像”。〉──『育児育自論』より

長女のありあさんとの2ショット。ときにはぶつかり合うこともあるけれど、ありあさんはママが大好きで、ママと同じ髪色にしたりするそうです。  写真提供:Anela Holdings

1人で親二役をやるには“𠮟る”も必要だった

子育てでは「褒めて褒めて褒めまくる」も基本にしてきたと話すMALIA.さん。やみくもに褒めるのではなく、タイミングを見極め、経過も含めて褒めることが、子どもたちの自己肯定感を高めることにつながったと振り返りますが、一方で最近話題になっている「𠮟らない育児」への懸念についても話してくれました。

「最近は子育てに関して“褒める”や“𠮟らない”といったワードが出ていて、私の考えとしては“褒める”は大賛成、でも“𠮟らない”のは疑問です。𠮟られずに育った子どもは、将来どうなってしまうのだろうと思います。

“𠮟る”という言い方がキツく響くのかもしれないけれど、子どもが分かっていないときに厳しく言うのは必要なこと。私自身は、子どもたちに対してガチギレしつつ育ててきたから、子どもたちは『ママはマジ怖い』とビビり倒しています(笑)。

もちろん大好きでいてくれているし、『こういうところでは、ママって甘いよね』と思っている部分もあるだろうけど、根底の部分で“怒らせたら怖い”存在ではあるはず。それは、私が1人でパパとママの二役をやらなければいけなかったということもあります。

次男の友達にも、彼らがやんちゃな時代は『親にもこんなに怒られたことないんじゃない?』というぐらいガチギレしたことがありました。それでもいい関係性は続いています。だから、大切なのは“伝え方”ではないかと思っています」

家族だからこそ、厳しいこともビシバシ言う。ときには感情を激しくぶつけ合うこともある。親も完璧な人間ではないからこそ、子どもと一緒に育っていく──。著書からは、MALIA.さんが全力で子どもたちに向き合い、さまざまなことを学びとってきた様子が伝わってきます。

長女の反抗期は体当たりで!

自分が費やしたことに対し「元を取りたい」「見返りがほしい」と考えるあまり、さらなるマイナスをうむ“サンクコストの呪縛”も、MALIA.さんが子育てを通じて自覚した“親の身勝手な想い”のひとつでした。

「ちょうど『育児育自論』を書いていたころと重なった娘の反抗期は本当に大変すぎて、まさに体当たりの日々でした。『言っても分からないから、体でぶつかるしかない』みたいな(笑)。

私が彼女に対して『こんなにやってあげたのに!』という“サンクコストの呪縛”にとらわれ、彼女の言動にイライラ……。でもそれは、『やってあげたのに』という気持ちを持っていた、私の側の問題だったんですよね。

今でもたまに娘の言動を振り返って『あのときのこと、許せない』と思うことはありますが(笑)、そういう気持ちも娘と率直に言い合える今の関係性でいいのかなと思っています」

〈要するに、サンクコストにとらわれるのは親の勝手。違うと気がついたら次のステップへ動く手助けをいち早くしてあげること。
そしてこれだと思ったらそれを信じ抜き、モチベーションを保つための応援をしてあげることがこどもの正しい巣立ちのために必要だ、と経験から学びました。〉──『育児育自論』より

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子どもの成長をそばで見守りつつ、親自身も心の奥にある本音を見つめ、子どもとの向き合い方をアップデートしていくことが大事なのだと気づかされました。

最後に、MALIA.さん自身のこれからについて伺います。

撮影/大門徹、取材・文/木下千寿

MALIA.さんが4人の子育てを通して学んだ“人生で大切にしなければならない16のこと”を記した『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(A‐Works刊)。子育てや生き方のヒントがぎっしり詰まっている。

※MALIA.さんインタビューは全4回です(公開日までリンク無効)。
#1
#2
#4

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マリア

MALIA.

モデル・実業家・タレント

新保真里有(しんぼ・まりあ)。1983年生まれ。実業家・モデル・タレント。4児の母。孫が1人。 MALIA.(マリア)として15歳でデビュー。以来、多くの女性誌専属モデルを務め、ファッションイベント等にも出演。その後、テレビ番組にも多数出演するなど人気を博す。 実業家としては、2009年に「Anela Inc.」を立ち上げ、ブラジリアンワックスサロン“Moalani(モアラニ)”他、多数のアパレルブランドディレクターを務め、ビューティーブランド“Anela Beauty”を手がけるなど、ANELAONLINEとしてEC事業を幅広く展開。 2022年に三男の進学を考えてアラブ首長国連邦の都市ドバイへ移住。2023年には「Anela Holdings」へと会社をホールディングス化し、ドバイにも会社を設立。 2024年3月、新保真里有として『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(A‐Works刊)を発売。躍進し続けている。 ・【公式】Instagram @maliarehman ・WebStore「ANELAONLINE」 ・ブラジリアンワックスサロン「Moalani」

新保真里有(しんぼ・まりあ)。1983年生まれ。実業家・モデル・タレント。4児の母。孫が1人。 MALIA.(マリア)として15歳でデビュー。以来、多くの女性誌専属モデルを務め、ファッションイベント等にも出演。その後、テレビ番組にも多数出演するなど人気を博す。 実業家としては、2009年に「Anela Inc.」を立ち上げ、ブラジリアンワックスサロン“Moalani(モアラニ)”他、多数のアパレルブランドディレクターを務め、ビューティーブランド“Anela Beauty”を手がけるなど、ANELAONLINEとしてEC事業を幅広く展開。 2022年に三男の進学を考えてアラブ首長国連邦の都市ドバイへ移住。2023年には「Anela Holdings」へと会社をホールディングス化し、ドバイにも会社を設立。 2024年3月、新保真里有として『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(A‐Works刊)を発売。躍進し続けている。 ・【公式】Instagram @maliarehman ・WebStore「ANELAONLINE」 ・ブラジリアンワックスサロン「Moalani」

きのした ちず

木下 千寿

ライター

福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。

福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。