4児のシングルマザーMALIA. 子どもたちに臆さず伝えた“お金”と“性”の教育とは?

モデルMALIA.流子育て論#2「お金&性の教え方」

モデル・実業家・タレント:MALIA.

起業前はお金に関しては無知だったMALIA.さん。自分で会社を経営するようになってから、本などを読み、独学でイチから学んだと言います。  写真:大門徹
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実業家、モデル、タレントとしてアクティブに活躍するMALIA.さん。この春上梓した著書『育児育自論』(A‐Works刊)では、子育て中は経済的に厳しかった時期があったことなども赤裸々に語っています。

また、子どもへの伝え方が難しい「お金」、そして「性」の話題について、MALIA.さんが家庭でどう向き合ってきたのか聞いてみました。

※2回目/全4回(#1を読む

MALIA.(マリア)PROFILE
本名・新保真里有(しんぼ・まりあ)。1983年生まれ。15歳でデビュー以来、多くの女性誌専属モデルを務め、テレビにも多数出演。長男(21)、次男(19)、長女(17)、三男(5)の4児の母。2023年末には長男に子どもが生まれ、1児の祖母にも。2009年に起業し、ブラジリアンワックスサロン他、EC事業など幅広く展開。2022年にドバイへ移住。

お金の苦労は子どもたちに見せなかった

いつも笑顔で明るく、ポジティブなエネルギーを放ち続けているMALIA.さん。「自分で思っている以上に、わたしはタフで前向きなキャラに映っているみたい」と著書でも描いていますが、そんなMALIA.さんも子育てでつらさを感じたことがあったと話します。

「経済的に苦しい時期があったのですが、お金がない状況を子どもたちには見せないようにするのがすごくつらかったかな。でも子どもたちがやりたがる習い事はなんでもやらせてきたから、彼らはたぶん『ママにお金がないときがあった』とは知らないと思います」

〈お月謝を捻出するために、大事にしていたバッグや時計を手放したことだって、一度や二度じゃない。買った時は高かったはずなのに、売るとなると二束三文にしかならなかったりしてね。
だけどそれが少額でもお金に換わって、こども達がやりたいことの足しになるのならそのほうがよかったし、彼らが喜んでくれるほうが幸せで。売ったもの、絶対に取り返すぞ! と、仕事を頑張る原動力にもなりました。〉──『育児育自論』より


「子どもたちに、お金に苦労しているところを見せたくない」という想いには、MALIA.さん自身が育ってきた環境、そして何よりも親としての意地がありました。

「上の3人は歳の近い子どもだったので、お金が必要な時期も重なります。私自身、母からいろいろな習いごとを好きにさせてもらってきましたから、自分の子どもにもそうしてあげたいと思いましたし、そうするといろいろ切り崩さなければならない時代もあったんですよね」

〈シングルマザーで3人を育てる過程では、経済的不安が不可避でした。でも、こども達には不安なところを見せなかった。お金に困っているように感じられる幼少期ではなかった自信があります。
実際は本当に厳しい時代がありました。ただわたしはどんな時も強い心を崩さなかった。それは、わたしが親として、絶対に守らなければいけない最大の責任だと思っていたから。〉──『育児育自論』より

「小さなころからなんでもオープンに話してきた、その積み重ねが子どもと私をなんでも話せる関係にしてくれたんだと思う」とMALIA.さん。

お金の教育は小学生くらいから

MALIA.さんは21歳のときに、経営者としての仕事もスタート。何の知識もなく、日々ぶっつけ本番で進んでいくなかで、お金の大切さや稼ぎ方、運用の方法などさまざまなことを学び、「子どもたちもお金に対する知識を備えてほしい」と思うように。そこで自分の知っていることは全て伝えたいと、子どもたちへのお金の教育を始めます。

「お金はどこかから湧いてもこないし、降っても来ません。私は自分がお金のことをちゃんと分かっていなくて大変だったから、子どもたちはちゃんとお金のことを学んでおくべきだと思ったんです。

だから、3人には小学生ぐらいからお金のことについていろいろ話していました。私が買い物のたびに領収書をもらうこと、それをペタペタ貼っていくのにはどういう意味があるのかを教え、そういうところから少しずつ自分の収支が見えるようになってほしいなと思っていました」

〈お金を知ることは、人生の選択肢が増えること。(中略)お金について話すのはタブーじゃないし、それって悪じゃない。正しい知識と価値観をこどもの頃から養っていくのは、親の義務だと思います。〉──『育児育自論』より

「子どもにはなるべく苦労させたくない」、「リアルを知るのは大人になってからで十分」など、日本ではとかく避けがちなお金の話題。しかしMALIA.さんは、自分のお金を増やすため、そして守るために知っておいたほうがいいことはたくさんある、と言います。

「私自身、銀行からお金を借りてブラジリアンワックスのサロンを始めました。“負債”というものを勉強して、『銀行からお金を借りるのは悪いことではない。ただ、自分の身の丈に合っていなければダメ。

きちんとプランを立てて、将来的にお金を返済できるのであれば、負債をもつことは悪くない』と理解したんです。私自身が負債を経験し、その内容がちゃんと分かったから、子どもたちにも伝えました」

次男は16歳で起業

MALIA.さんの実体験に基づいたお金の教育は確実に身を結んでいて、子どもたちには金銭感覚がしっかり備わっていると言います。

「2023年には会社『Anela Inc.』をホールディングス化しましたが、子会社のうちのひとつが次男の会社です。彼は16歳で会社を立ち上げて、今3年目。アメリカの大学に通いながら会社運営をしているので相当大変らしくて、ひいひい言っています。

グループ会社だから、私も『どうするの?』『プランを出して』とけっこう厳しいことを言っていますが、頑張っていますね。深夜と思われる時間にメールの既読がついたりして、『どうしてこんなに遅い時間まで起きているの?』と聞いたら『課題が終わらない……』って。

彼も生きるために必死でやっていて、『昔はそんなタイプじゃなかったのに、すごい!』と驚きます。厳しい環境が彼を育ててくれる部分も絶対にあると思うから、これからどうなるか、とても楽しみです」

23年末に誕生した初孫を抱っこして。末っ子のポコちゃんと歳が近いこともあり、「MALIA.ちゃん、5人目?」と聞かれることも。

物欲のない子どもたちから学んだ“本当に大切なモノ”

小さいころから『自分の身の丈に合ったお金の使い方』を学んできたMALIA.さんの子どもたちは、揃って物欲がないのだとか。そんな子どもたちから、MALIA.さん自身にも気づかされることがありました。

「5歳の末っ子・ポコちゃんはドバイにはない、日本のコンビニのウィンナーパンやパリパリ海苔のおにぎりが大好きで、それがあれば幸せみたい。ハデな感じの長女も、びっくりするぐらい全然お金を使わないの。

そんな様子を見ていると、『どうして私は若いころ、あんなにブランド品が欲しかったんだろう?』と思います。もちろん、そのブランドのデザイン性などが好きということもあったけれど、『何でもいいからブランドモノを持ちたい』という時期もありました。

今考えると、自分の心の何かが埋まっていなくて寂しかったから、モノで埋めていたのかなと思います。ポコちゃんは私と一緒にどこかに行けるとか、一緒に遊べるとか、そういうのが嬉しいみたい。心が満たされているから、モノで埋めなくていいということなのかもしれません」

いっぱい話すからこそ“性”の話もできる!

お金のことについて、子どものころからしっかり話をしている新保家。性についても親子でざっくばらんな会話が繰り広げられていて、著書ではそのエピソードもユーモラスに綴られています。

「原稿執筆中、『子どもとお金や性の話をしない、できない』という声をよく耳にしました。お金のことや性のことって、世間の風潮として『ある程度大きくなってから……』と考えるところがあるけれど、性なんてとくに、タイミングを見て話すのは無理だと思います。

普段からオープンに何でも話せる環境を作っていないと、ある日突然『さぁ、そろそろあなたも年頃になってきたから、性について話しましょう』と言っても、心を開いて話してくれる子どもはいません。性やお金の教育を学校に任せたい親御さんもいるかもしれませんが、学校ではそんなにディープに教えるのはたぶん難しい。

だからこそ、親子で話す時間をもったほうがいいと思います。私は、『まだ○歳だから言わない』『この子には分からない』といった決めつけはせず、普段からなんでも話すようにし、一緒に答えを考えてきました。親のその姿勢も、子どもたちにとって大切なのだと思います」

〈年頃になると性について聞かれることもありました。ここでも聞かれたことにはなんでも答えてきました。
「どうして赤ちゃんは生まれてくるの?」に対して、「コウノトリが運んできてくれるのよ」とか「結婚したら生まれるものなの」というような回答はしたくない。
正しいことを伝えるには、こどもが聞いてきたタイミングがチャンス! ですから。〉──『育児育自論』より

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噓やごまかしはせず、しっかり真実を伝えるMALIA.さんの家族への向き合い方には子育てへの強い意思と覚悟を感じます。

次回はドバイへ移住した理由、子どもとの距離のとり方と自立について伺います。

撮影/大門徹、取材・文/木下千寿

MALIA.さんが4人の子育てを通して学んだ“人生で大切にしなければならない16のこと”を記した『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(A‐Works刊)。子育てや生き方のヒントがぎっしり詰まっている。

※MALIA.さんインタビューは全4回です(公開日までリンク無効)。
#1
#3
#4

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マリア

MALIA.

モデル・実業家・タレント

新保真里有(しんぼ・まりあ)。1983年生まれ。実業家・モデル・タレント。4児の母。孫が1人。 MALIA.(マリア)として15歳でデビュー。以来、多くの女性誌専属モデルを務め、ファッションイベント等にも出演。その後、テレビ番組にも多数出演するなど人気を博す。 実業家としては、2009年に「Anela Inc.」を立ち上げ、ブラジリアンワックスサロン“Moalani(モアラニ)”他、多数のアパレルブランドディレクターを務め、ビューティーブランド“Anela Beauty”を手がけるなど、ANELAONLINEとしてEC事業を幅広く展開。 2022年に三男の進学を考えてアラブ首長国連邦の都市ドバイへ移住。2023年には「Anela Holdings」へと会社をホールディングス化し、ドバイにも会社を設立。 2024年3月、新保真里有として『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(A‐Works刊)を発売。躍進し続けている。 ・【公式】Instagram @maliarehman ・WebStore「ANELAONLINE」 ・ブラジリアンワックスサロン「Moalani」

新保真里有(しんぼ・まりあ)。1983年生まれ。実業家・モデル・タレント。4児の母。孫が1人。 MALIA.(マリア)として15歳でデビュー。以来、多くの女性誌専属モデルを務め、ファッションイベント等にも出演。その後、テレビ番組にも多数出演するなど人気を博す。 実業家としては、2009年に「Anela Inc.」を立ち上げ、ブラジリアンワックスサロン“Moalani(モアラニ)”他、多数のアパレルブランドディレクターを務め、ビューティーブランド“Anela Beauty”を手がけるなど、ANELAONLINEとしてEC事業を幅広く展開。 2022年に三男の進学を考えてアラブ首長国連邦の都市ドバイへ移住。2023年には「Anela Holdings」へと会社をホールディングス化し、ドバイにも会社を設立。 2024年3月、新保真里有として『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(A‐Works刊)を発売。躍進し続けている。 ・【公式】Instagram @maliarehman ・WebStore「ANELAONLINE」 ・ブラジリアンワックスサロン「Moalani」

きのした ちず

木下 千寿

ライター

福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。

福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。