〔海外移住の現実〕子ども3人をバイリンガルに ニュージーランド移住の日本人夫婦「意外な子育てルール」

ニュージーランドの教育は悪くいえば「放任」良くいえば「自由」!? 海外で日本人夫婦が子育てをするコツ #2

山口家では海外で生活しているからこそ、日本の文化を大切にした子育てをしています。見よう見まねで剣道をする次女・はるかさん。 写真提供:山口静

海外で子育てをする理由は、各家庭でそれぞれです。仕事の都合で海外に行かざるを得ない場合もあれば、子どもの伸びやかな育ちやグローバル社会への対応を考え、子育てによりよい環境としてあえて海外生活を選択する場合もあります。

移民大国として知られているニュージーランドに約19年前に移住し、この土地で17歳、15歳、8歳の3人の子どもたちと暮らす山口静さんと夫の一夫さんは、家族との時間を確保するために海外移住を選択した一家です。

海外で日本人夫婦が子育てをする際の心得や、ニュージーランドの教育事情、医療事情などを紹介します(全2回の2回目、#1を読む)。

◆山口 静(やまぐち しづ)
埼玉県出身。ニュージーランド(NZ)・ハミルトン在住。
2005年に日本人の夫とNZ・オークランドへ移住。2006年に長女を、2008年に長男を日本に一時帰国して出産し、NZで子育てをする。2009年、夫の仕事の都合でNZ・ハミルトンに引っ越す。2014年に永住権を取得した翌年、次女をNZで出産する。現在、17歳、15歳、8歳に成長した子どもたちを夫とともに二人三脚で子育て中。

【ニュージーランド移住者が語る 海外で日本人夫婦が子育てをするコツ:第1回を読む】

日本人夫婦が海外で子育て 山口家の育児ルールとは?

ニュージーランド第4の都市であるハミルトンで17歳、15歳、8歳の3人の子どもを育てる山口静さんと一夫さん夫婦。

移住した一番の目的は子どもとの時間を確保するためですが(#1を読む)、海外で子どもを育てるうえでの山口家のルールも作っていきます。

「我が家のルールは、日本的なしつけを大切にすることです。挨拶や食事など、日本ではごく普通にマナーとして教えていることを子どもたちに伝えています。うちでは夕ご飯も家族全員で食べることにしています」(静さん)

山口家の周囲にはニュージーランド人家庭だけでなく、夫がニュージーランド人、妻が日本人という家庭もありますが、そのほとんどが家族バラバラで食事をしたり、マナーの甘さが見られるそう。

日本人夫婦から生まれた子どもは見た目が日本人。だからこそ……

子育てのルールに関しては一夫さんも次のように加えます。

「日本人夫婦から生まれた子どもは、当たり前ですが、見た目が日本人です。ニュージーランドで子どもたちが何かをやれば『日本人だから』と、人種ごと良くも悪くも思われる可能性があります。だから、マナーの部分は厳しくしています。

それと日本語教育も大切にしています。我が家は、家族内の会話は日本語です。

日本人顔で日本語が話せないのは恥ずかしいということもありますが、何よりも日本語も英語も話せれば、子どもたちがこれから自分の人生を歩むのに選択肢が広がるからです。

日本語を使う必要がない人生も確かにあるけれど、バイリンガルであれば職には困らないと思っています」(一夫さん)

山口家の3人の子どもは全員、現地の学校に通い、頭の中で考える言語(思考)は英語です。しかし、家族内では日本語を基本にすることで、バイリンガル教育を成功させています。

また、日本語の定着を図るために、日本人コミュニティーでボランティアに参加させるなど、日本語力を高める機会も積極的に与えています。

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