「子どもがウソをついたら」𠮟る前に親がやるべき2つのこと

人生相談本コレクター・石原壮一郎のパパママお悩み相談室【16】「子どもがウソをつく」

コラムニスト&人生相談本コレクター:石原 壮一郎

ウソを怒るより親はウソをついた理由を考えてみる

〈石原ジイジの結論〉
子どもはウソをつく。大人もウソをつく。お互い様という意味では、強く責められないし、深刻にとらえすぎないほうがいいじゃろう。

まして、現実と想像の区別がついていないが故の「ウソ」の場合は、いっしょに楽しく盛りあがりたいものじゃ。

自分が子どものころを思い出してみても(かなり遠い昔だが)、ウソをついたときの罪悪感やドキドキは半端ではなかった。まわりの大人にどう言われたかは覚えていないが、たぶん子どものウソに気づいていたじゃろう。

もし追い詰められるような𠮟られ方をしていたら、反省する前に「次はもっと上手にウソをつこう」と思ったかもしれん。

「ウソを許すのか!」「ウソが癖になったらどうするんだ!」という声も飛んできそうである。あまりにも度を越した場合は問題じゃが、躾とはけっして子どもを押さえつけることではない。そもそも子どものウソは、大人がつかせているという一面もある。

「我が子のウソ」が気になったら、次の2つを考えてみよう。

その1「親がプレッシャーを与えて、子どもにウソをつかせてしまっていないか」

その2「ウソをつくことで我が子は何を得たいのか。自分への関心? 優越感?」

ウソをついたことを𠮟ったり問い詰めたりするのは、これらをじっくり考えたけど、やっぱり見過ごせないと思ってからでも遅くはない。その1にせよ、その2にせよ、思い当たる節があったら、親の側の対処が先である。

人生相談の森では子どもの側からの「大人はなぜウソつきなの?」という相談も、ちらほら見つかった。遊園地に連れていくという約束を反故にしたり、何かを買ってあげると言って買ってあげなかったという類いのウソは、どの親も身に覚えがあるじゃろう。

けっして最初から騙すつもりではなく、都合が変わるなど仕方ない事情があるはずじゃ。しかし、多くの親は、親という立場に甘えて理由をしっかり説明しない傾向がある。

それによって子どもは親や大人に不信感を持ち、ひとつ間違えるとウソをつくことへのハードルを下げてしまう。くれぐれも気をつけよう。

親は「自分につくウソ」にも警戒が必要じゃ。わざわざ「子どものため」と自分に言い聞かせてやらせること(習いごととか)は、たいていは「自分(親)のため」である。どうせ子どもに見抜かれるなら、最初から自覚しておいたほうがきっとマシである。

子どものウソも親のウソも、「たまには仕方ない」ぐらいの付き合い方がちょうどいいかもしれん。

【石原ジイジ日記】
おしゃべりが増えたF菜だが、滑舌はまだ発展途上である。保育園で「ゆあちゃんと遊んだ」と言いたいのに、大人たちは「ゆみちゃん?」「ゆりちゃん?」と的を外してばかり。泣きながら「ゆ・あ・ちゃん!」と叫ぶF菜。そっか、そうだよね。大人だって自分が言いたいことは、そのぐらい一生懸命に伝えないとね。

石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
コラムニスト&人生相談本コレクター。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。現在(2022年)、3歳女児の現役ジイジ。

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いしはら そういちろう

石原 壮一郎

コラムニスト

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか