自閉症は隠さない! アメリカでの療育生活から見えてきた ネガティブを転換する子育て方とは⁉

GAKUが自閉症アーティストになるまで #1 パパ・佐藤典雅さんインタビュー

株式会社アイム代表:佐藤 典雅

彼に合わせて周りが環境を変えればいい

結局、日本へ帰国したのはがっちゃんが14歳のとき。「療育の効果はさておき、アメリカ生活で得られたことは大きかったですね」と典雅さんは言います。

典雅さん:アメリカ生活中のある日のこと、がっちゃんが家から15分ほど離れたコンビニに走って行ってしまったことがありました。僕がようやく追いついたら、すでに未精算でドーナツを食べてしまっていて、怒る店長に「この子は自閉症で、お金を払うということが理解できない。次からは僕が来たときにまとめて払うから」と説明したんです。

すると、「気にしないで、そういうことなら大丈夫!」と許容してくれたことがありました。そして次からは、「今日はこれを食べていたよ」とか「彼はこれが気に入っているみたい」なんて楽しそうに教えてくれるように。

がっちゃんのパパ・佐藤典雅さん。   撮影:葛西亜理沙

アメリカは多様性と個人主義の国なので、みんな違っていて当然。がっちゃんの自閉症は変わることない事実だけれど、がっちゃんが住みやすい環境に変えることはできる、と感じた経験となりました。

実は、典雅さんご自身も、ご両親の仕事の都合で子どものころから海外生活が長かったといいます。ロンドンやニューヨークと日本を行き来しながら育ちました。

典雅さん:海外生活が長いからか、いまだに日本人特有の感覚を不思議に感じることがあります。例えば日本人って仲間意識が強くて親切。共同生活に向いているでしょ。でも、「わが子が障害を持っている」ということは、みんな隠したがるんです。

でも、わが家にしてみたら、がっちゃんの変わった行動や理解不能な行動は、「笑いのネタ」。こちらから「わが家には、宇宙人がいるんだよね~」なんて軽く、隠さないことで、まわりや家族の気が楽になるし、がっちゃんの周りの空気が明るくなるんですよ。

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