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意外すぎる夫の心理…「夫婦喧嘩の原因」共働き子育て家庭のモヤモヤ解決法を専門家が解説
2025.08.08

「日本で家族というと今でも、サザエさんやちびまる子ちゃんのような『3世代同居家庭』を想像する人がいます。家事育児をするのが母親だけではなく、おばあちゃんがいる家ですね」
「現代ではそのような家族は、日本全国で3%ほどに減っていて、ごく少数派です」
1980年代の日本には子どものいる世帯が多く、全体の4割を超えていました。ですが今ではそれが、全体の2割ほどまで減りました。代わりに「一人暮らし」の世帯が多数派になっています。
「かつての日本で主流だった専業主婦世帯も、現代では共働き世帯の半数以下に減っています」

「専業主婦が家事育児を担う家庭は、日本の高度経済成長期のモデル。その分、これまでは男性が長時間労働をしてきました。しかし、1990年代にバブル経済がはじけてから、女性も働かなければ日本経済は維持できなくなっています」
性別役割分業のモデルは、バブル経済がはじけた30年以上前からすでに、機能しなくなっています。なのに一部の社会の仕組みや意識が変えられずに残り、時代に追いついていないのが現状です。
特に労働や子育ての面で、「女性も働き、男性も育児をする」という現実とのズレによる不具合が起こり、そのしわ寄せが夫婦関係と子どもに及んでいます。
「悩み」は夫婦関係が前進するチャンス
「社会の変化に合わせてサバイバルできるよう、家族は形を変えていきます。今の日本社会ではその変化の中、仕事と家事育児の両立で、妻側への負担が増えている。それは諸外国に比べて明らかに短い、日本の母親の睡眠時間に現れています」
負担が増え、体を休める睡眠時間も少ない。こうして夫婦間のイライラ・モヤモヤを、妻の側が感じやすくなっているのです。
「ですが、このイライラ・モヤモヤは、夫婦の関係をよくするきっかけにもできます。悩みは夫婦が共に前進するチャンスですから」
多くの夫婦を見てきて、令和の親たちに布柴先生が伝えたいのは、二つ。
ひとつ目は、子育ては「未熟な男女が一緒に父母になっていく、一緒に育っていく過程」であること。
もうひとつは、育児に完璧を求めないでほしい、ということです。
「私のカウンセリング経験からも、子どもは本当にタフな存在だと実感しています。完璧な子育てをしなくても、十分に育ってくれる。親としては60点くらいでもいいのです」
「そして困ったときには、助けを求めてほしい。子育てで助けを求めることで、親の価値が下がることはありません」
効果的な「怒り方」ができると、しんどさが減る
その助けの一つが、今回の連載でお伝えしたような心理カウンセリングの手法です。なかでも「よい怒り方を身につけること」を、布柴先生は勧めます。
「怒り自体は決して、悪いものではありません。それを抑え込んでしまうとストレスになりますが、うまく表現して伝えるスキルをつけると、しんどさを減らせます」
「相手を傷つけずに私を主語にして伝える『アサーション・トレーニング』や『アンガー・マネジメント』によって、夫婦関係が改善し、子どもにもより安心な育ちの環境を作れます。仕事にも役立ちますよ」
子どもの誕生から始まる子育ての日々は、夫婦二人にとって、未知の体験と疲労の連続。大好きで「この人なら」と思い合っていたはずの相手でも、意図せず傷つけあってしまう状況にもなりえます。
その原因は個人ではなく、社会の構造にあるのかもしれない。そう発想を変えてみることで、イライラ・モヤモヤが減り、二人はパートナーとしてより分かり合える。
そう前向きに捉えて、この記事でご紹介した対策を試してもらえたらと願います。
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子育て世代にむけた「夫婦喧嘩のイライラ・モヤモヤ解決法」は全3回。
「夜泣き対応」などを取り上げた第1回、「危機感の違い」などを取り上げた第2回に続き、最後となるこの第3回では「夫婦の話し合い」を取り上げ、家族心理学者・布柴靖枝先生(文教大学教授)にお話を伺いました。
取材・文/髙崎 順子
参考・出典
結果の概要「I 世帯数と世帯人員の状況」P1
「表1 世帯構造別、世帯類型別世帯数及び平均世帯人員の年次推移」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa24/index.html

髙崎 順子
1974年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、都内の出版社勤務を経て渡仏。書籍や新聞雑誌、ウェブなど幅広い日本語メディアで、フランスの文化・社会を題材に寄稿している。著書に『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)、『パリのごちそう』(主婦と生活社)、『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(KADOKAWA)などがある。得意分野は子育て環境。
1974年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、都内の出版社勤務を経て渡仏。書籍や新聞雑誌、ウェブなど幅広い日本語メディアで、フランスの文化・社会を題材に寄稿している。著書に『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)、『パリのごちそう』(主婦と生活社)、『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(KADOKAWA)などがある。得意分野は子育て環境。
布柴 靖枝
文教大学人間科学部臨床心理学科教授、文教大学大学院付属臨床相談研究所 所長。 京都大学大学院博士後期課程修了。博士(教育学)。 家族心理学、統合的家族療法が専門。長年にわたりカウンセリングに従事。女性問題やジェンダーを基に生じる暴力(DV、ハラスメントなど)への支援を、心理臨床のみならず、国連の活動に関わり、グローバルな活動を展開している。 日本家族心理学会理事,認定NPO法人日本BPW連合会理事長,国連NGO国内女性委員会副委員長,内閣府男女共同参画推進連携会議議員,埼玉県男女共同参画審議会会長,一般社団法人DICTネットワーキング研究会共同代表理事(2025年7月1日現在) 資格:公認心理師,臨床心理士,家族心理士,社会福祉士,上級教育カウンセラー
文教大学人間科学部臨床心理学科教授、文教大学大学院付属臨床相談研究所 所長。 京都大学大学院博士後期課程修了。博士(教育学)。 家族心理学、統合的家族療法が専門。長年にわたりカウンセリングに従事。女性問題やジェンダーを基に生じる暴力(DV、ハラスメントなど)への支援を、心理臨床のみならず、国連の活動に関わり、グローバルな活動を展開している。 日本家族心理学会理事,認定NPO法人日本BPW連合会理事長,国連NGO国内女性委員会副委員長,内閣府男女共同参画推進連携会議議員,埼玉県男女共同参画審議会会長,一般社団法人DICTネットワーキング研究会共同代表理事(2025年7月1日現在) 資格:公認心理師,臨床心理士,家族心理士,社会福祉士,上級教育カウンセラー