幼児食のプロが教える「子ども用食器の選び方」と「食が進むアイデア」

星野 早百合

カラフルなプラスチック、本物志向の陶磁器、ナチュラルな木製……など、素材ひとつとってもさまざまな子ども用食器。ひとりで食べ始めたばかりの子どもには、何を基準に選んだらいいでしょうか。

「どの素材にも、それぞれ長所・短所があります。プラスチックは軽くて割れにくい素材ですが、表面に傷がつきやすいのが欠点。陶器や磁器は耐久性に優れ、長く使えますが、使い方次第で割れたり欠けたりすることも。

<これがいい>と決められたら楽なのですが、時と場合によってお子さんに合う食器は変わるので、成長に合わせて、いろいろなものを使ってみるのが一番だと思います。例えば、まだ自分で食器を持てない時期なら、プラスチックより重さのある陶器のほうが安定して、ひっくり返しにくいかもしれません。でも、物をポイポイ投げる時期になったら、陶器だと投げたり落としたりしたとき、割れる危険もあるわけです。

<わが子に本物を使ってほしい>という気持ちは、とてもすてきです。ただ、<大事な器が割れちゃった……><どうしてうちの子はうまく食べられないんだろう>とお母さんが落ち込んでしまい、食事の時間がつまらなくなってしまったら、それは正解ではありませんよね。ひとつに決めず、お子さんの様子を見ながら柔軟に使い分けてはいかがでしょうか」(川口由美子先生)

【子ども用食器に使われる主な素材の特徴】
●プラスチック・メラミン
ほかの素材に比べて軽く、割れにくいので、扱いが楽。一方、表面に細かい傷がつきやすく、濃い色の料理や食材をのせたとき、色移りすることも。メラミンは表面をコーティングしているので、プラスチックに比べると傷がつきにくい。
●陶器・磁器
表面に傷がつきにくく、耐久性に優れて長く使える。磁器の器はほとんどの場合、電子レンジや食洗器に対応。重さがあるのは安定する反面、デザインによっては持ちづらく、割れたり欠けたりしやすいのが欠点。
●木製・竹製
口あたりが柔らかく、熱の伝わりがゆるやかなので、熱さを感じにくい。ただし、洗った後に水分をしっかり拭き取って乾燥させるなど、管理が難しい点も。表面のコーティング剤には何が使われているか、確認すると安心。

食が進まないときは器や食べる環境を変えてみよう

食事に興味のない子どもが増えているともいわれる昨今、「子どもがごはんを食べてくれない」という声をよく聞きます。食器という視点から、この悩みにアプローチする方法はあるのでしょうか。

「<キャラクターものの食器は、意識が散漫になるのでNG>という話もあるそうですが、私は上手に使えばよいと思います。例えば、好きなキャラクターが描いてあるプレートの上にご飯やおかずを盛り付けて、<何が出てくるかな?><全部食べたら○○が出てくるかもしれないよ>と声を掛けてはいかがでしょう? お花が好きなお子さんならお花でもいいですし、ウサギやクマといった動物でも、いいと思いますよ」(川口先生)

ときには、子ども用以外の器を使うのも効果的、と川口先生は続けます。

「自分のごはんには手をつけないのに、<ちょうだい!>と、大人の器に手を伸ばすことってありませんか? 不思議なもので、お子さんは、お父さんお母さんが食べているものがおいしそうに見えるようです。そんなときは、大人用の器に盛り付けて出してみる。すると、案外、すんなりと食べてくれることもあります。

お弁当箱もおすすめです。おかずは同じなのに、お弁当箱に詰めてあると特別に感じるのは、大人も同じですよね。普段はイスとテーブルだけど、床にレジャーシートを敷いて座って食べたら、ピクニック気分でさらに楽しいかもしれません。

離乳食を終えたばかりの時期は、いろいろなものが食べられるわけではないですし、レシピがマンネリするのは当たり前のこと。お母さんも楽しみながら、<いつものごはん>がおいしく見えるアイデアを探してみてくださいね」(川口先生)
川口先生のアドバイスを参考に、編集部でおすすめの子ども用食器をピックアップしました!

編集部が厳選!「こぼしにくい」「楽しい」「機能性」の器BEST3

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日本の伝統産業の職人技を取り入れた、ていねいで便利な暮らしを提案する『0歳からの伝統ブランドaeru(アエル)』の「こぼしにくい器」シリーズ。器の内側に“返し”があり、子どもでもすくいやすいデザインで、<自分で食べたい>欲求を満たします。もし割れてしまっても、「金継ぎ」「銀継ぎ」などでお直しできるサービスも(有料)。上質なものを大切に使い続けることの魅力を、お子さんに伝えたい方におすすめです。(編集部)

写真は「京都府から 京焼の こぼしにくい器」(3点セット1万9910円、ボウル(小)6270円、深皿(中)6820円、平皿(大)7370円)。ひとつひとつ職人の手作りで、内側の“返し”は、職人の熟練したろくろを挽く技術によって作られています。シリーズは、ほかにも愛媛県の砥部焼、栃木県の益子焼など、全9産地12種類。
写真提供:(株)和える
●0歳からの伝統ブランドaeru オンライン直営店  https://shop.a-eru.co.jp


パズルのピースのようなプレート3枚がセットになった『アグニー』の「ジグソープレート」。レイアウトのパターンは、120通り以上。配置によって印象が変わるので、いつも新鮮な気持ちで食事を楽しめます。素材は、自社育成の天然孟宗竹を使用。職人がていねいに磨き上げ、手の温もりが伝わるような、なめらかで柔らかな質感です。遊び心とオシャレさを備えたデザインで、盛り付けるのも楽しくなりそう。(編集部)

「ジグソープレート」(4400円)は、写真のレイアウトで24.5×24.5×高さ2.1㎝。同ブランドの「カトラリーSセット」(1760円)は約11㎝で、小さな手でも握りやすい形に仕上げてあります。表面は6層コーティングで、天然素材ながら、油やしょうゆなどの汚れもスポンジで落とせます。食洗器OK。レーザーによる名入れサービスもあり。
写真提供:アグニー

●agney*(アグニー) オンラインショップ https://www.agney.jp/item-all.html


食事の後片付けがラクになると評判なのが、『ezpz(イージーピージー)』の「ハッピーマット」と「ミニマット」。プレートとランチョンマットが一体になったオールインワンデザインで、マットが食べこぼしをキャッチします。テーブルにピタッとくっつくシリコン製だから、プレートが動かずに料理をすくいやすく、食器のひっくり返しを防げるのもポイントです。便利さを追求したい方はぜひ!(編集部)

「ハッピーマット」(左3960円)は約38×25㎝で、全7色展開。「ミニマット」(右3300円)は約27.5×20cmと、ベビーチェアのテーブルにフィットするコンパクトサイズで、全14色展開。豊富なカラーバリエーションとスマイリーなデザインが、食卓を楽しく演出します。どちらも3つに仕切られたワンプレートで、電子レンジ対応、食洗器も可。
写真提供:エデュテ

●エデュテ本店 https://www.edute.jp/

※価格は全て税込みです

お話を伺った管理栄養士の川口由美子先生
写真提供:本人

PROFILE
川口由美子(かわぐちゆみこ)
管理栄養士、一般社団法人母子栄養協会代表理事、女子栄養大学生涯学習講師、離乳食アドバイザー、幼児食アドバイザー。大学で小児栄養学を研究後、育児用品メーカー勤務を経て独立。テレビや雑誌、WEBサイトを中心に離乳食・幼児食のレシピ提案、コラム執筆、栄養監修などを行っている。二児の母。
【主な著書】
『脳とからだが育つママとパパのためのフリージング離乳食』朝日新聞出版/『フリージング幼児食-1週間分作りおき』大泉書店/『子どもの身長ぐんぐんメソッド』主婦の友社
一般社団法人母子栄養協会 https://boshieiyou.org/
一般社団法人母子栄養協会Twitter https://twitter.com/BOSHIEIYOU
一般社団法人母子栄養協会Instagram https://www.instagram.com/boshieiyou/

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ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。