プロが教える“アリ飼育”のコツ 自宅で世界的大発見ができるかも!? 

「公園が100倍楽しくなる“アリ道”入門」#3〜アリの飼育編〜

やりたいことをやっているから 将来の目標はあまりない

さまざまなアリを観察してきた島田さんに“今、会ってみたいアリ”を聞いたところ、悩む間もなく答えてくれました。

「アフリカにいるサスライアリという種です。サスライアリの中には、小さい働きアリから、クワガタみたいな牙の生えた大きな兵隊アリまで、見た目も役割も異なる多様な種類がいて、数百万匹もの家族になるんですよ。

この大群が川のような行列をつくって、アフリカの森をずんずんと進んで狩りをします。ヘビやトカゲなども食べるらしく、すごい迫力があるみたいです。サスライアリは定まった巣を持たず、周辺の生き物を食べ尽くすとまた違う土地へ行きます。

大所帯で暮らすサスライアリは、一時的につくる巣の規模も大きいので、その巣の中でほかの虫までが一緒に暮らしているそうです。この虫を研究している人もいますが、まだ解明されていないことがとても多く、今後新発見がある可能性もあります。

いつかアフリカに行って、サスライアリと一緒に暮らしている虫も探してみたいですね」

アリの魅力を縦横無尽に語ってくれた島田さん。ですが、今後の仕事の目標について聞くと「えーと……」と言葉をつまらせます。その理由は、じつに島田さんらしいものでした。

「つねにやりたいことをやってきているので、『お店を持ちたい』みたいな将来の目標みたいなものはあまりなくて。今のまま活動を続けていけたらいいなと思っています」

島田さんへのインタビューを通じて、アリの飼育や観察のおもしろさとともに、好きなことを突き詰めている人の魅力も感じることができました。

親子でアリの写真集を見て、その種類や生態を知ると、いつもの公園の景色が変わって見えるもしれません。

アリの暮らしや飼い方などを写真付きで解説した『ぜんぶわかる!アリ』(島田拓/ポプラ社)

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取材・文/畑菜穂子


※島田拓さんのインタビューは全3回です。
#1 アリ探求家の仕事と好きを伸ばすヒント
#2 都会の公園でアリを子どもと楽しむ方法

30 件
しまだ たく

島田 拓

アリ探求家

アリ探求家。アリ専門店「AntRoom」代表。1981年、東京生まれ。2001年にアリ通販専門「AntRoom」を開業。著書に『ぜんぶわかる!アリ』、『アリとくらすむし』(ポプラ社)、共著に『アリのくらしに大接近』、『アリの巣のお客さん』(あかね書房)、『アリのかぞく』(福音館書店)など。 アリ専門店「AntRoom」 ブログ「ありんこ日記」

アリ探求家。アリ専門店「AntRoom」代表。1981年、東京生まれ。2001年にアリ通販専門「AntRoom」を開業。著書に『ぜんぶわかる!アリ』、『アリとくらすむし』(ポプラ社)、共著に『アリのくらしに大接近』、『アリの巣のお客さん』(あかね書房)、『アリのかぞく』(福音館書店)など。 アリ専門店「AntRoom」 ブログ「ありんこ日記」